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菫の部屋

一旦治たちの方に戻ります。変な区切りかたをしてすみません。

俺たちはルピナスの案内のもと菫さん(『楓のお母さん』だと少し長い)の部屋に行っている。

菫さんは『錬成師S』という通り名で呼ばれており、そこそこ有名だったらしく仕事場はどんなものなのか同じ物作りをする者としては非常にきになる。菫さんはルピナスが入れないように結界を張っていたらしく、ルピナスは約95年間全く掃除ができなかったらしい。

不思議なのはルピナスだけが入れなくなるような結界だったこと。単純な『魔術・スキル付与』スキルだけでバイクを作れるような人がなぜ対象をルピナスだけにしたのか。必要であれば自分以外の誰にも通れないようなものを作れそうなのに。


「……ここ。」


ルピナスは一見何もないような壁を指差す。まあ俺たちはその奥でドバドバと溢れるような魔力が存在してるのを感じられるから疑ったりはしないが。


「確かに魔力を感じるな。」

「……わかる?」

「ああ、楓もわかるよな?」

「うん、結構な量だよこれ。」

「確かに神気に似たものを感じますが少し暗いですね。これが魔力ですか。」


そう俺たちが答えてるのを聞きながらルピナスが白い壁に手を置く。すると壁に光の筋が何本も現れる。すると光の筋は治たちの前にある部分に長方形を描く。

壁はその長方形にぴったり合わせた形の横開きの扉に変わる。それはまるで光の筋が壁を綺麗に切り取ったようで、精密さが伺える。


「……あなたたち何者?このドア結構『魔力隠蔽』されてるって言ってたんだけど?」

「そうか、お前も仲間になったんだよな。あとで『逸材』を『譲渡』してやるから訓練しろよ?」

「私もう『才能』なら持ってるよ?」

「俺の『譲渡』は『究極化』済みだ。そのまま『譲渡』されるから『才能』に劣化することはない。でも『才能』も上位のユニークスキルじゃないか。お前ひょっとしてかなり強いのか?」

「私の『才能』は職業:勇者だったお父さんから『天才』を譲渡してもらった時に劣化したやつ。強いかどうかって質問だけど、上位のユニークスキルを何個も使えるあなたよりは多分弱い。」

「え!お父さんって勇者だったの?!勘違いとかでこの世界の人に迷惑かけたりしてないよね?!」

「勘違いっていうのはよくわからないけど、だいたい100年前の魔王討伐で有名。」


歩きながらも話は進む。

また100年前と言っているので。やはり先ほどのは間違えではないのだろう。

『才能』とは『天才』か『逸材』を『譲渡』した際に劣化した姿でもあり、『天才』には劣るがあらゆることでそれなりの才能を発揮し、『逸材』には劣るもののそこそこ早く成長するという二つのハイブリットが劣化したようなもので、『天才』や『逸材』よりも使い勝手がいいことから『天才』よりもすごいと言われることもあるスキルだが、『天才』と『逸材』の二つを持っている俺からしたらいらないスキルだ。

と、解説をしている間に部屋に到着する。入り口のギリギリに結界は貼られているらしく、ルピナスはここから先には行けないらしい。

部屋はよくドラマで見る社長室ぐらいの大きさで、部屋の真ん中にはでっかい社長机ではなく作業机が置いてあり、両隣に3メートルはあるでっかい本棚が置いてある。本好きの血が騒ぐのは仕方がないことで、膨大な質量により空間が捻じ曲げられていると思わせる軌道を描いて俺は本棚に行ってしまう。自分の体が操れないなんて本当に情けない。

本棚にはアームのようなものがそれぞれ取り付けられていて、高いところの本も作業机から指示一つで持ってくることができるらしい。

菫さんは重度の活字中毒で常に生徒に教えるための知識を身につける教師の鑑のような存在だったらしく、転移された際もたくさんの本を持っていたのか、本の中には時折地球の本も入っていて、中学の技術も教えていたということもあってか技術の教科書だったり英語で書かれた雑誌だったりがある。今の俺には『全言語理解』があり英語もスラスラと読めるので、読んでおけば次に作るもののアイディアになるかもしれない。俺も菫さんとお話してみたかった。


「治くん、これみて!」


本棚を物色しながら菫さんの人柄を想像していると楓から声が掛かる。俺は言われた通りに近づいてみるとそこにあったのは古い映画の投影機のようなもので、日本語で(・・・・)


『メッセージ用魔道具      ※楓しか起動させられません』


と書いてあった。俺は楓に起動させるように促すと楓はスイッチに手を触れる。投影機は楓がスイッチに触れた途端に光りだす。


〈ヒシサイシュ……完了。マスターノイデンシトショウゴウカイシ……完了。カエデノソンザイヲニンシキ。ボタンヲオシテクダサイ〉


短い時間で光は収まり機会の音声が流れる。

遺伝子照合とか言ってたけど多分菫さんが『創作』した魔術だろう。

楓は言われた通りにボタンを押し込む。すると投影機の上にある二つの円盤がぐるぐると回転を始め、しばらくするとレンズから光が現れ楓によく似た整った顔立ちの女性が現れる。その顔はルピナスの記憶を見たことがあるのですぐに菫さんだとわかった。


「お母さん!」


てっきり壁に映像を映す魔道具だと思っていたが、遺伝子照合とか色々やってた菫さんがそんなものを作るはずもなく、この魔道具はまるでスター○ォーズに出てくる通信機のように空間に映像を投影するというものだった。


『これが見られているってことは楓がそこにいるってことだよね?私の見立て通りだと100年ぐらい立ってると思うけど、あなたは元気?』


『見立て通り』という何やら聞き捨てならない言葉とともに映像は始まった。

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