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☆第一話☆ 再会

地球がブークモールと融合してから1ヶ月が経った。サトルはリナやレーンと過ごす自分の生活に満足していたが、リンゴを殺した黒騎士すなわちユウトへの怒りが募っていくのを感じていた。それが地球とブークモールの融合を阻むためであってもだ。


ある日、一匹の猫みたいな生物がサトルのもとへやって来た。ご丁寧にインターホンを押して。尻尾は3本ある真っ白な生物だ。


「こんにちは、サトルさん」

「なぜ、僕の名前を知っている?」

「私は過去に魔法軍に捕らえられていてね。そこにあった資料で知ったんだ」

白い生物は極めて紳士的な語り口で話し始めた。


「私の白眉の邸宅(ステイ・ホーム)という特殊魔法は顔と名前さえ分かれば、その人物を指定した場所に呼び出すことができる。ただし、一人の人物につき一回までしか使えないが。この特殊魔法を使い、君が呼ぶところの黒騎士つまり高橋ユウトに一泡吹かせないか」

「どうやって?」

女神の科白(ラストボイス)という、私のもう一つの特殊魔法を使う。高橋ユウトのクラス3年B組の生徒全員に白眉の邸宅(ステイ・ホーム)をかける。資料を入手しているので顔も名前も大丈夫。指定する場所は、ある島の中の学校跡地の教室だ。そこに、「この島からは殺し合って生き残った一人しか出られません」と放送をかける。女神の科白(ラストボイス)の魔法をかけながら、な。女神の科白(ラストボイス)は自分の発した言葉を真実にすることができるんだ。ただし、この特殊魔法も一人の人物に対して一回までしか使えないけどね」

「なぜ、僕にそれを頼む?」

「それは、地球とブークモールが融合した世界である"アースモール"では、サトルさんの想像した方に事が進みやすいからだよ」

白い生物はさも当然といった風情で答えた。


「それだったら、殺し合って生き残った一人にするんじゃなくて、島からは誰も出られないことにした方がいいな」

サトルはふと思いついて白い生物に問う。


「そうすると、制限時間が来るまで島で生きようってなるでしょ。ユウトを苦しめて殺すにはクラスメイトを殺させるのが一番いい」

「そうか。そういうものか。そういえば、僕の仲間だったダイゴ、チャゲ、シマダは黒騎士と同じクラスだったはず。この三人を生かすことはできないの?」

「でも、ダイゴとチャゲとシマダはユウトの親友のはず。ユウトが苦しむには、ユウトに彼らを殺させるのが一番だと思うよ」

「まあ、僕には彼らへの執着や愛着なんてないしね。分かった。君の話に協力しよう。ところで、君の名は?」

「ありがとう。シロマだよ」


「サトルをよろしくね!」

リナとレーンは玄関でサトルを見送った。


しめしめ。これで上手くいったぞとシロマは思った。


シロマは指定された空間の人間の感情をエネルギーにできる、アカマやクロマと同じ"ルーシュの一族"だ。島で行われる殺し合いからは、莫大な感情エネルギーを吸収できるはず。


思春期の生徒は元々感情の振り幅が大きいから感情エネルギーは大きくなる。そして、魔法軍によって選抜された生徒たちが3年B組になっていることからも分かるとおり、彼らは感情エネルギーが大きいから強力な魔法が使える。


感情エネルギーをたんまりと貯め込んだ後は、魔法軍からの追走を振り切ることに使えば良い。これでしばらくは安泰だと、シロマはほくそ笑んだ。シロマは魔法軍領地内で犯した過去の罪により、魔法軍に追われていた。



それから一日後、太平洋にある孤島にて--


ユウトたち3年B組の生徒たちは、学校跡地の教室で目覚めた。


「ここはどこだ?」

目を覚ましたばかりのダイゴが周りに聞く。


「分からない。どこかの教室みたいだけど…」

不安な様子でチャゲが答える。


「チャゲに分からないなら、みんな分からないな。

ウィードントノーアットオール!!」

シマダがわざと明るい調子でおどけて言う。


「みんな…、久しぶり…!」

ユウトがそう言うと、

「良かった! 生きてたんだね!」

「ユウトだけ別行動だから死んだかと思っていたよ」

あちこちでユウトの生存と再会を喜ぶ声が聞こえた。ユウトは3年B組の生徒とは別行動で"アースモール"から地球に戻す方法を探っていたのだ。


「だけど、ユカはいないみたいだね」

ユウトが残念そうに言う。


「魔王軍に連れ去られたと聞いたけど」とチャゲ。


「魔王軍はスケープゴートで、実際は魔法軍に連れ去られたんだ。ユカは蘇生魔法が使えるから目をつけられてね」

ユウトはうなだれる。


「でも、ま、ユカ以外のみんなはここにいるじゃん。アースモールになってからのモンスターとのバトルにも負けずにさ」

ダイゴはユウトを励ますように言った。


その時だった--。


「みんな、こんにちは」


声に振り向くと、教室の入り口にユカが立っていた。


「どうしてユカが!?」

「良かった、生きてたんだね!」


疑問の声と歓声が上がる。


「この教室から離れた部屋で、アカマみたいな、でも全身真っ白の生き物に言われたの。これから、この教室のある島で殺し合いを始める、って。君は蘇生魔法を使えるから私のもとにいてもいいよとも言われたけど、私はみんなのことが気になって…」


ユカがそう言った後、間髪入れずに放送が始まった。


「3年B組の皆さん、ようこそ、絶海の孤島へ! この島からは殺し合って生き残った一人しか出られません。殺し合いに与えられた時間は一週間です。一週間経つと、この島は爆破されて水没します」


優雅な語り口調で声が聞こえた。

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