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ライジング・サーガ ~初心者エルフとチート魔人~  作者: 秋原かざや
第4章 偽りの王女奮闘記

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SAVE23 ファーストレインで、キミの名は?

 ぽわわわーん!!

 お茶会最中にファーストレインの町が襲われているなんて、緊急伝令をもらった私達は、セレさんの転移魔法で、その町へと向かったんだけど……。


「本当に、襲われてる……」

 モンスターがいっぱい居て。

「キャー助けてー!!」

 襲われてます、町の人が!!

「大変っ!!」

 私が呪文を唱える前に。

「ミラージュアタック!!」

 いくつもの幻を纏いながら、キッドが強烈なアタックをかまし。

「クリムゾンローズ!!」

 真紅の薔薇を撒き散らしながら、カインさんが華麗なレイピア捌きで、モンスターの息の根を止めた。

 私の出番は、なしですか?


 そう呆けてたときだった。

「グオオオオ!!」

 後ろからの攻撃に、私は防御も取れずに!!


 がきーーーんっ!!


 だけど、モンスターからの攻撃は、なかった。

「バカ、ちゃんと周りを見てろ! バトル中だぞ!!」

 フードを被った少年が叫ぶ。

 そう、彼の二つの剣がモンスターからの攻撃を守ってくれたのだ。

「サイクロンウェーブバスター!!」

 剣から繰り出す竜巻で、モンスターは宙に放り投げられ、消え去った。

「あ、あのっ……」

 お礼を言う間もなく、彼はいつの間にか、どこかに去っていって。

「サナっち、こっち!!」

「はい!!」

 キッドに呼ばれて、私はバトルに戻った。


 もう、かなりのモンスターを倒した。

 これでもかってくらい。

「ねえ、キッド。聞いても良いかな? ファイヤーアロー!!」

「いいよ、サナっち。行ってみなよ」

 回し蹴りを見事に敵に当てながら、キッドが振り返る。

「ライジングって何?」

 ずごっ!!

 キッドは見事に転んだ。それはもう、芸人さんもびっくりするくらい。

「そういえば、サナは初心者の館をパスしてしまったって言ってたね。ローズトゥローズブレイド!!」

 カインさんも華麗なレイピアの技で、一気にモンスターを5匹も倒した。

「ライジングっていうのは、この世界を造った太陽神さんだよ」

「ついでに言うと、ライジングと対で聖母神ディアナも存在する。こっちは闇を司っているんだ」

「へえ……だから、ライジング・サーガなんだ」

「い、今更、かい?」

 思わず、カインさんもずっこけた。こっちは何か、優雅に見えた。

「だから、ライジングの名前がある技や武具は、ライジングの加護があるから、強力なものばかりなんだ。覚えておくといい」

 カインさんにそう教わって、私は5かしこさがアップした気がした。


 敵の半数は、たぶん、倒したと思う。

 けれど、敵はまだまだいる。

 既に何個かセレさんのポーションを使っていた。嬉しいことにHPだけでなくMPも回復してくれるので、私はすっごく助かる。それでも貴重なものだから、私だけでなくみんなもギリギリまで使うのを待ってから、使っていた。

 途中、何度もレベルアップの音を聴いた気がするけど、気にしてられない。

 だって、もう、たっくさん来るんだもの!!

「はあ、はあ……」

 だから、また気がゆるんでたんだと思う。

 どんっ!!

 気がついたら、空を舞っていて。

 どさっ!!

 HPが残り僅かで。ステータスが危険な色をしていて。

「グルルルゥ……」

 強そうな敵がゆっくりと迫ってきていた。

 体が動かないのは、マヒみたいのがかかってたんじゃないかな。

 瞳を閉じて、覚悟した。


 キイイイイン!!!

「何してんだ、バカ!!」

「バカは余計!!」

 思わずつっこみしてしまった。

 命を助けてくれた、相手に向かって。

「レイジングサンダーブラズマ!!」

 稲光がモンスターを貫き、丸焦げにしてしまった。

 その際に、ふわりとフードが落ちた。


 ラナ、君?

 でも違う。若すぎる。

 だって、背が小さいし。

「悪かったな、小さくて」

「ごめん、聞こえてた?」

 彼は私に近づくと……。


 ええええええっ!!!!


 キス、した……。

 ちょ、ちょっと待って!?

 私、まだ、ファーストキス、してなかったような……あれ、あれあれあれ!!!???

「これで、回復しただろ?」

「ふえ?」

 彼の言うとおり、回復していた。MAXまで。

 立ち去ろうとする彼の手を、私は握ってて。

「待って、名前! 名前教えて!!」

 驚いたように振り返って、でも、すぐに嬉しそうな笑みを見せた。

 その笑みが、とっても可愛らしくて。

「ダーク。ダークって呼んでよ」

 そういって、彼はまた消えてしまった。


 戦いも終盤。

 だと、思う。

 だって、まだまだ減らないんだもん!!

 お陰でレベルがガンガン上がって、さらに強くなってるけど、そろそろ面倒になってきた。

 キッドもカインさんもだ。

 なんていうか、もう限界だ。

 なにもかも、限界だった。

 精神的にも肉体的にもモンスターの顔を見るのも。

 だから願った、これを一気に倒せる力が欲しいって。


『いいでしょう、力を貸しましょう』

 とたんに女性の声が聞こえた。

 優しくて、けれど、気品のある凛とした声だった。

 私の心の中で、言葉が紡がれる。


「ライジング・ディア・ランサー!!」

 強烈な鮮烈な超特大稲光と。

 それを宿した巨大な槍が、大量に居たモンスターを一匹残らず貫いた。

 とたんに晴れていく、青い空。

 ああ、どこまでも青く澄んでいて、綺麗……。


 私はそんな呪文を放って、ばったりと気絶したのでした。

 それはもう、見事に後ろにばったりと。

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