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悪徳商会編①


「……ナミは、やはりおかしいですわね」


エルデシュタイン侯爵家の応接室。

重厚な調度品に囲まれ、

ヴィオラ様は優雅に紅茶を傾けていた。


ルチアが答える。

「はい〜ヴィオラ様……ほぼ間違いないかと……」


「もし、そうだとすれば」


「ナミ……!!……ただじゃ済まなくてよ……!」


ヴィオラから笑みが消える。


「すぐに、ナミを呼びなさい」


不穏な空気を感じ取るナミ。


「えっ、なに!?私、何かしましたか?

いや、何もしてないからか?」


「ナミ。正直に答えなさい。……あなた」


え?なんかめちゃ睨んでる!!


どーするどーしよ?


私の異世界モブ生活


どーなっちゃうの〜?!!








時は遡る――



エルデシュタイン領・商業区。

街の中心に鎮座する、

ひときわ大きな建物。

《グランツ商会》

最近この街に来た新興商会だ。


「ここが噂の拠点だね〜」

ルチアが看板を見上げる。


「輸入禁止品を扱ってる可能性あり。

買い占め価格操作、中抜き、転売……

噂だけなら真っ黒」


今日はルチアと共に領地内で

最近幅を利かせているという

何やら悪いうわさの商会に調査に来ている。


とは言っても剣も魔法も掃除も料理もできない私は

何かしらの役に立てればとは思いながらも

ただの荷物持ちの取り巻きモブを満喫していた。


この国。

思ってたよりかなり広い。


教会本部があるので

実質世界一と言われているこの国は

面積はおそらく日本の本州程度の大きさはある。


例えるなら王都が東京。

魔法学園のある魔法都市が隣の神奈川。

そして我が主のエルデシュタイン領地は

その隣なので千葉くらいの位置づけ。

貴族はその土地の領主なので

ヴィオラ様は国会議員であり知事みたいなものだ。


海に面しているので漁業に強い。

特産品は魚介類というわけ。


ルチアとのデートはとても楽しい。

この子はほんとにコミュ力が高い。

まるで昔からの親友だったんじゃないかと

勘違いさせる程の猛者。

教室の隅で1人スマホをいじっていただけの私を

まるで陽キャラかのように扱ってくる。


「ナミちゃん調査終わったらカフェに行こ〜♪」

「ワーイ行こいこ〜☆」


もしも、このルチアが悪徳商人なら

私はきっと見事に騙されて

高額な謎の絵とか買わされるんだろうな。


「ナミちゃんは横にいるだけでいいからね」


「はーい♪」


「ただ、前みたいに何か思うことあれば」


「ほえー?」


「こっそりウチにだけ伝えてくれたらOKだよ〜」


「わかったぉ☆」


仕事で来ているのに私を見事に自堕落させる

この子はもしかしたら詐欺師かもしれない。


ちなみに以前ポン酢を提案した時のことを言っている。


そう、提案だけなら出来るかもしれないのだ。


難しいことはわからないが

高そうなアクセサリー沢山つけて

ブクブク太っているおっさんが

越後屋、お主も悪よのう

って言ってたら、そいつが犯人なのである。

越後屋が何なのかはもちろん知らない。


頑張って役に立つぞ!


一通り情報を集めた私たち二人はカフェへ。


「ナミちゃん、はい、あーん♪」

「あーん♡」


デザートを私の口に運んでくるこの大親友は

私をこんなに惚れさせてどうする気だろうか。


「ん〜、あきらかに悪どいやり方はしてるけど

うまいこと法のスレスレをかいくぐってるね〜」


ふむふむ。

なんとか役に立ちたいな。

でも結局しっぽを掴まないと

疑惑でしかないんだよね。


「ナミちゃん今日はこっちで1泊していくよ〜」

「きゃー♪」


おいおい。本気か?

お友達とお泊まりパジャマパーティだと?

なんだこのリア充イベントは。

興奮しすぎて気を失うかもしれない。

ダメだ。しっかりしろ。

せっかくの初めてのパジャマパーティだぞ。

意識をしっかり保て。負けるなナミ。


「ウチ実家がそもそもこっちなんだ♪」


しかも親御さんに挨拶させていただけるだと?

なるほどこれが結婚てやつか。

この異世界は女同士でもいけるのかな?


こうして親御さんへの手土産のクッキーを買い

カフェを出た私達は

ルチアの実家へ向かおうとするが


「こんにちはー♪彼女たちどこいくのー?」

前を塞ぐチャラい男2人。


す、すごい!


陽キャになると声かけられるんだ!

これが噂のナンパ!!

うひょー!!


当然ナンパなんてされたことのない私は

慌てふためいて思わず少しヨダレをたらしていた。


「ナミちゃん逃げて!!!」

「……はへ?」


気づいた時には後ろから現れた

数人に取り押さえられ、

見事に縛られ動けなくされてしまった。


「ん〜!!ん〜!!」

「……!!……!!」


「……嗅ぎ回りやがって」

こいつ、さっきのグランツ商会で見かけた……


私とルチアはあえなく捕まってしまった。





浮かれてた私よ。


おおいに反省しなさい。


ほんとにごめんなさい。






読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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