【No.17】でも頼りっぱなしのやつもいて ナンバンギセル
ナンバンギセル(ハマウツボ科) Aeginetia indica
道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何をか思はむ
(訳:道端のススキの根元に思い草が咲いている。これを見るとあの人のことを思いだすけど、まあなんていうか今更よね。)
ナンバンギセルです。寄生植物その2ですね。
秋に、ススキの根元に紫色の筒状の花を咲かせます。漢字で書くと南蛮煙管。南蛮といっても別に外来種というわけではなく、要は花の形がパイプに似ているのでこの名があります。
上記の歌は万葉集のもの。作者は不詳。うつむき加減に咲くことから「思ひ草」と呼ばれていたようです。
ナンバンギセルは主にススキに寄生して、秋に花だけを咲かせます。ヤドリギと違って緑の葉を付けません。必要な栄養分を宿主に全面的に頼って生活します。
じゃあススキ枯れちゃうじゃん?とか思ったりしますが、実は種子の発芽率は余り良くありません。あと、種子を散布する能力も余り高くないようで、生えている所には沢山あるのですが、ちょっと離れた所では全く見られなかったりします。
この花、寄生植物としては珍しく、観賞用に栽培されることがあります。白花の園芸品種まであるくらいです。
栽培するには当然、宿主のススキも育てなければなりませんが、普通のススキではちょっと大きすぎるので、「ヤクシマススキ」という矮性のススキに寄生させて鉢植えにします。庭が広ければ普通のススキに寄生させても良いかも知れませんが、管理が多分大変。
一年草なので毎年種を蒔きますが、土の上に蒔いても発芽率が低いので、根に種子をまぶすようにして蒔きます。この発芽率の低さで、宿主のススキを枯らさずに何とか共存しているのかも知れません。
写真は栃木県某所で撮ったものですが、珍しいことにススキではなく孟宗竹に寄生していたものです。




