【No.104】春のシソ科祭り③ 雅な名前 ジュウニヒトエ
ジュウニヒトエ(シソ科)
Ajuga nipponensis
十二単。
平安時代の公家の女性の正装だったという豪華な衣装。実際には5枚を重ね着していたようですが、この衣装が流行った最盛期には本当に12枚重ねていたんだとか。重さは20kg(!)程になったそうです。10kgの米袋2つ分。その重さを着用して、果たしてまともに動けたんでしょうか。それとも、平安時代の公家の女性はものすごく体力があったとか………。
まあ、そんなヨタ話は置いといて。その雅な衣装の名をもらった花がこの「ジュウニヒトエ」です。
明るい雑木林の林床や林縁に生えます。4~5月頃、白紫色の1cm弱くらいの花を、数cm~10cmほどの高さの、塔のような花序に多数咲かせます。葉は意外と毛むくじゃら。
生えている環境は、樹林の中でも、木があまりない明るい場所。下草も少ない崩壊斜面のような所で良く見かけます。ガラガラの斜面に良く生えているのは、エイザンスミレなんかの森林性のスミレと似ていますが、スミレよりも不安定な立地に生えるような気がします。
ところで、何が「ジュウニヒトエ」なのか?それはこの塔みたいな花序を十二単にたとえたもの。
となれば、本当に12段あるのか、気になりますよね?
ちょっと数えてみました。
<何段あるかな?>
まだ咲いてない小さなつぼみもあって、正確に数えるのは難しかったんですが、11~13段くらいは確認できました。「十二単」の名は、伊達じゃありませんでした。
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ジュウニヒトエの学名は、アジュガ ニッポネンシス。
属名のアジュガ、園芸や造園やる人は良くご存知の名前だと思います。日陰のグラウンドカバーなんかに使われる、背の低い草花。色はジュウニヒトエと違って濃い紫などですが、姿は確かに似ています。
このアジュガ属、日本にも何種類か自生しています。その中で、一番身近なのはこれでしょう。キランソウ。
キランソウ(シソ科)
Ajuga decumbens
地面や石垣に張り付くようにして生える背の低い草で、3~5月頃、濃い青紫の花を咲かせます。人里でよく見かける、割とありふれた雑草ですが、花色が鮮やかなので、小さいながらなかなか綺麗なものです。平らで地面にはりつくような草姿から「ジゴクノカマノフタ」という別名もあります。人家の石垣や道端なんかに生えます。
ちなみに、「キランソウ」という名前の由来は、良くわかっていないんだとか。
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日本のアジュガ属、他にも10種程あるんですが、代表的なところをあと2種ほどご紹介します。
ひとつはこれ、ニシキゴロモ。北海道、本州、四国、九州北部の主に日本海側に分布します。茎はジュウニヒトエ程ではないけれど、キランソウよりは少し立ち上がる感じ。樹林の林床に生えます。花はわずかに紅色が入った白で、葉の葉脈に沿って少しだけ紫色が入ります。なかなか上品な美しさがあります。
ニシキゴロモ(シソ科)
Ajuga yesoensis ver. yesoensis
で、このニシキゴロモの変種で、関東~四国の太平洋側に分布するのがこのツクバキンモンソウ。姿形は良く似ていますが、区別点は花。花びらは小さな上2枚と大きな下3枚の裂片に分かれるんですが、その小さいほうの上2枚が、ニシキゴロモはやや大きめ。ツクバキンモンソウはだいぶ小さめ。以上。
ツクバキンモンソウ(シソ科)
Ajuga yesoensis var. tsukubana
まあ、ほぼ一緒ですよね。こんな感じです。
日本のアジュガ属、どれも小さいけれどもきらりと光る、そんな感じの美しさを持っています。
次回、伊豆の……じゃないけど、そんな感じの名前のアレです。




