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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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明かされる真実

「そこから先は、私がお話しします。

 奏絵様の妹様の様子があまりに怪しいので、私はもしやと思い、

失礼を承知で問いただしました。

 事の仔細をお聞きしましたが、どうやらまだ妹様はまだ隠している

様子でした。それは、ご想像通り、妹様もまた義明様を深くお慕い

申し上げていたことを、打ち明けられたのです。

 青天の霹靂、私は驚きましたが、お家を守るためにも、奏絵様の

幸せのためにも、心を鬼にするよう、かつ、御自分の心に素直に従うよう、

ご忠告いたしました。

 意を決した妹様は、私に秘かにお願いしました。

 信用のできる腕利きを集めてくれと。」

 執事が語り出した真実に、奏絵、キラちゃん、僕は全身耳と化し,

一語一句聞き漏らさないという真剣な表情だった。

「そして、奏絵様がお見合い相手と結婚することを決めたので、邪魔になった

義明様に自分に付きまとわないように差し向けたことにして、偽りの13人の

刺客部隊を送りました。各武術、武道の腕利き、そろいもそろって金は要らぬ、

「今惣角」と謳われる義明様と真剣勝負ができるならと喜んでと集まってくれた

武術馬鹿ですよ。義明様にとっては地獄からの悪鬼、悪魔だったでしょう。

 雪降る中、身も心も凍えそうになっていましたが、そこは奏絵様と妹様が

惚れたおとこ、義明様は命の炎を燃やすがごとく闘い、次々と倒しましたが、

最後の一人、居合術の達人には苦戦しました。真剣白刃どりを見事にやって

のけたのですが、雪で真剣が滑って、重傷を負ったのです。

 それでも倒したのは、流石でした。あれこそ、皮を斬らせて肉を斬るの

上を行く、肉を切らせて骨を斬るでしょう。私は、遠くから見ていて、魂が

震えましたよ。

 義明様の凄いところは、重傷の体でも、奏絵様を信じて待っていたことです。

 血を流し、気を失うような痛みに必死に耐えていたのです。

 そこへ、妹様が現れ、奏絵様の心変わりが本当であると告げ、妹として

申し訳ないと涙を流して、土下座して侘びました。その瞬間、義明様は遂に

身も心も折れて、妹様の胸に倒れ込みました。三日三晩、生死の境を

彷徨いましたが、妹様の懸命なる看病によって、この世に舞い戻りました。

 後は、奏夢様、あなたの知っている通りです。」

 今度は、僕が号泣してしまった。祖父の孫として、同じ男として、そして、

祖父が何故位牌に向かって語りかけるのか。

 今こそ、わかったのである。今は亡き祖母は、奏絵の妹だったんだ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

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