デビルドラゴン、解散する
そんなある日の昼休み、学校全体に衝撃が走った。
後期生徒会役員選挙の副会長に、何故か、森 星明が
立候補しなかったのである。当然、会長には、林崎
武が立候補している。
あれから、昼休みの中庭で武とのツーショットが
見られなくなっていたので、やっぱりねえ~と、
二人の間に何が起こったのかと、学校はワイドショーを
楽しむお茶の間と化していた。
そんな中、真剣に額を突き合わして、相談している
三人組の姿があった。そこら辺のワル、ヤンキー、
不良から恐れられているヤンキー娘たちである。
白木 龍美、(たつみ)、緑川 葵あおい、
中野 紅子べにこ。
大三元、大惨龍と呼ばれているが、本人たちは、
デビルドラゴンを名乗っている。
「おい、あいつだけ立候補を取りやめたなんて、
うちらの面子が立たねえと思わないか。」
「まあ、確かに・・・」
「言われてみれば、そうですかね・・・・」
葵と紅子は内心、何を言い出すんだと釈然としないが、
リーダーには文句言えない。
「そうだろう、それでうちの提案だが、ひとまず
デビルドラゴンを解散しようと思うんだけど。」
「え~。」「マジっすか。」
衝撃と緊張が、走る。
「お言葉ですが、あの高慢ちきな女が立候補しなかったのは、
姉さんとの決闘のせいだとは決めつけるのは、どうですかね。」
「そうですよ。そもそも姉さんが負けでもいいからって言ったのを
引き分けにしたのは、あの女ですよね。」
「確かに、お前らの言う通りだけどよ、何か後味が悪いじゃんか。
それにだ、うちらももう卒業を控えて、真面目に進路を考えなければ
ならない時期じゃんか。いつまでも、このままヤンキーしているわけには
いかないでしょ。」
いつにも増して熱く語る龍美の言葉はまともなので、返す言葉がない。
葵は、心の中では、『決闘で頭の打ち所が悪かったんだ。』と、思った。
紅子は、『いや、いや、やっぱり悪霊にとり憑かれたんでしょ。』と思い、
二人で顔を見合わす。
「どうした、言いたいことがあれば、遠慮せずに言えよ。怒らないからよ。」
「怒りませんか。」
「あ~、約束する。」
「殴りませんか。」
「しつこい、うちは、嘘と坊主の頭はゆったことがない。」
「それなら聞きますが、解散して、どうするんですか。」
葵が斬り込んだ。
「新しいチームに生まれ変わるんだよ。」
龍美は、胸を張って答える。
「え~、そりゃあスゴイ。流石、姉さんだ。」
紅子は、飛び跳ねて喜んだ。
「当たり前だのみつよだ。うちらの固い絆は、永遠だ。」
三人は、肩を抱き合い、文字通り、自慢の胸を躍らせて喜びあった。




