濃い化粧は恋化粧
「ヘックション」
僕が教室で笑いものになっている頃、
登校途中の龍美は、大きくクシャミをした。
「大丈夫ですか。姉さん。」
「昨夜の決闘の疲れで、風邪をひいたとか。」
「それは、ない、ない。馬鹿は風邪をひかないから。」
「そうですね。」
「違いない。」
バシッ バシッ
龍美は、葵と紅子の頭をどつく。
「馬鹿、そこはフォローしねえか。」
「すんません。」
「アハハ、つい、うっかり。」
朝から、お笑い芸人バリバリのノリの良さであった。
「ところで、姉さん、今日は一段とメイクが濃いみたいな。
アチキの気のせいですかい。」
「そう、アタイもそう思ってたんですよ。」
「馬鹿野郎、昨夜の疲れで肌が荒れてて、化粧のノリが
悪かったから、いつもより濃くなったんだよ。」
昨夜、コンドウムこと近藤奏夢の首筋に
キッスマークをつけたことは、この二人に絶対に秘密。
いくら、固い絆で結ばれた仲間でもな。
『コンドウムのくせに、生意気に、あの高慢ちきな女と、
私の眼の前であんなイヤらしいことをしやがって・・・。
つい、対抗意識じゃなくて・・、そう、あれよ、
お仕置きをしてやってしまったじゃねえか。 』
思い出して、つい顔が赤くなってしまう。
泣く子も黙るデビルドラゴンのリーダーでも、一人の
乙女。あの日、自分の心に芽生え、秘められたもの、
日々成長しているものには気づかないし、気づいたとしても
素直に認めることができない年頃である。
葵と紅子は仲間だけに、いつもと違う龍美の様子に
悪霊にでも憑かれたのではないかと心配していた。




