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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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ナマハゲ流拳法で挑発する

『もしかしたら、勝てるかも。』

 星明の気が若干、怒りで乱れている。

 やっぱ、年頃の乙女だな。胸のサイズって、重要なんだね。

『これは、チャンス。』

 武術家の闘いに、卑怯もクソも無いというのが、僕の祖父の

口癖だ。ひっかかる奴が悪い、そんなことで負ける奴は、

弱いとも言っている。

 何を隠そう、祖父はかの有名な剣豪、宮本武蔵のクソリアリズムが

大のお気に入りだ。祖父こそ、生まれてきた時代を間違えた武士もののふだと

僕は常々思っている。

「ナマハゲ流拳法、倶利 伽羅。胸の小さな娘っ子は、いねえーが。」

 男鹿市の誇るべき伝統行事・重要無形民俗文化財「男鹿のナマハゲ」が、

「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に提案された

ことをネットで見たばかりだったので、僕は、こう名乗りを上げた。

 適当にナマハゲをイメージして拳法風に構えてみる。

 僕も大東流合気柔術をやっていることはご丁寧に教える必要もないし、

相手を怒らすのが目的だ。

「土下座しても、許してあげないから。」

 ここまで馬鹿にされたことはないだけに、星明は怒りがMAXだ。

 神速で間合いを詰めると、両腕の拳、手刀、肘の全てを使い、

変幻自在で僕のあらゆる急所に当身を入れてくる。当身で崩して、

投げや関節技に持っていこうとするのではなく、当身だけで僕を

倒そうとする気満々だ。実際、一撃でも喰らえば、昏倒する。

 昏倒したら、絶対に顔面に踵を蹴り込むだろうな。

 僕は必死になってかわし、そらし、避けるが、攻めることが

できないでいた。闘いの場では男も女も関係ないというのは、

わかっているつもりだが、どうもその気になりきれない。

 祖父に知れれば、甘い、未熟者と頭を竹刀で叩かれるだろう。 

 言い訳すると、どうやって倒せばよいか、攻め悩んでいた。

 大東流合気柔術の達人の星明には、簡単に技は極まるまい。

 

 

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