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48話 「九尾は狐の長です」

門星学園 生徒会室


俺「疲れたぁ……すいません。今日はまだ仕事あるので、ここで寝ます……」


九尾「そうか……まあ、好きにするがいい」


会長からの許可が下りたので、礼を告げ、首をぐるりと回す。


雪女「肩ほぐしてやろうか?」


俺「いや、大丈夫」


そして床に敷かれている暮露暮露団……のとなりにあるソファに倒れこんだ。


暮露「……」


俺「……」


暮露「……使ってもいいのよ?」


俺「やだ」


しかし、学園祭が始まってからも仕事はまだまだある。


例をあげればアイドルのライブの裏方、劇、生徒会相談受付などだ。特に生徒会の方は他の世界軸のお客さんも来るわけだから既に緊張している。


雪女「……もうだいぶ暑くなったな」


俺「……そうだな。やっぱ雪女だと苦境なのか?」


雪女「いやそんなことはないのだが……もうすぐ長期休暇だからな」


俺「あー、そうか」


長期休暇……俗に夏休みと言われるおよそ一ヶ月に渡る長い連休。

多分故郷に帰ることはあるだろうが、大体は学園寮で過ごすことになるだろう。

そういやタウロさんと買い物に行ったとき、海に行こうとか話したな。また誘わないと。


あとはそうだな……せっかくの異世界なのに何も異世界らしいことしていないの哀しいものがあるし、観光に行くのもいいかもしれない。

浮遊大陸とかウユニ塩湖みたいなところとか探せばあるだろう。


九尾「俺くんよ。休暇に思いふけるのもええが、今大事なことを忘れてはならんぞ」


俺「はい」


心読まれてた。

仕方ないか……初日学園祭の整理でもしてみよう。

まず最初にオープニングセレモニーとしてETOのデビューライブが行われる。そして、ライブ終了後校舎の解放が行われるため混雑を避けるために来客の誘導をする。その後、時間があれば遊びたいけど無理なら露天で適当に買い生徒会室へ。食後は仕事の整理をして平行世界の雰囲気に近いか調査……学園広い分移動とかも含めると、これで一日潰れそうなんだが。


まあ7日もあるから、どれかは楽しめるだろう……。


俺は今はほとんど使うことのなくなった携帯のリマインダーにスケジュールを打ち込むとそのままドッと眠りについた。


******



ホテル 個室


ヤマ「結構美味しかったな!晩飯」


エリ「ですね。見た目に惑わされるのはあまり良くないです」


フカザワ「……お腹すいた」


ビュッフェスタイルの食事から帰った3人はそれぞれ感想を述べながらベッドに座った。


ヤマ「フカザワ。もしものためにカップ麺持って来たからそれやるよ」


フカザワ「……ヤマに祝福あれ」


フカザワはヤマからカップ麺を受け取るとお湯を沸かすため、備え付けのキッチンに向かった。


エリ「おお。まだ学園の中継してますよ」


ヤマ「おーすげぇ。もう並んでる人とかいるんだな」


エリ「私たちも早めに行った方がいいのでしょうか」


ヤマ「いや。ミヅキ……じゃなくて俺くん曰く学園広いから満員にはそうならないらしい」


ヤマは欠伸をすると、首を傾けながら携帯をいじる。電波が届くが彼がしてるのはリマインダーの設定である。


ヤマ「とりあえず明日は7時起きな」


エリ「えっ? 早いですね」


ヤマ「まあな。スクールアイドルのETOっていただろ? あれ、あいつがプロデュースしたアイドルらしくてな。8時からオープニングライブするんだって」


フカザワ「単純に他種族の女の子を拝めたいだけじゃないの?」


そう言いながらカップ麺を片手にしたフカザワが戻ってきた。


ヤマ「まあそれもあるぞ」


エリ「……否定はしないんですね」


ヤマ「むしろそれの方が理由としては優勢だ」


フカザワ「……」


ヤマの答えにより暫しの沈黙が訪れる。

静寂を破ったのはエリだった。


エリ「そ、そのあとはどうします? 私はカエデちゃんのクラスも見たいです」


フカザワ「うん、そうだよヤマ。エリちゃんの意見も聞かないと」


ヤマ「そうだな。じゃあ妹ちゃんのところにも行くか」


ヤマが追加でリマインダーを書いた様子を見てエリは内心ホッとした。


******


翌日、朝5:30

門星学園 外部


俺「寒っ……夏とはいえこの時間は冷えてるな……」


早朝、俺は学園祭の最終準備に当たっていた。これは生徒全員の仕事らしく殆どの生徒が眠たそうに目をこすっている。


タウロ「俺くんおはよう」


俺「うんおはよ……タウロさんは眠たくないの?」


タウロ「武人たるもの朝夜関係ないからな。いつでも戦に行けるようにはしているぞ」


えっへんと大きな胸を張るタウロさん。最近また一回り大きくなったように見える。


ラミアさんは……と聞こうとしてやめる。変温動物の彼女はまだ布団の中だろう。


タウロ「しかし、学園祭一つでここまで大袈裟に変わるとはな」


俺はタウロさんの後ろに見えるメインステージを見て納得する。


俺「あんなのは俺も初めて見た」


タウロ「だろうな」


俺「平行世界がテーマなんだけどな」


俺がボヤくとタウロさんも苦笑した。


タウロ「でもあの立派な舞台を最初に使うのはETOだろ。さて頑張れ、俺くん」


俺「頑張るのは俺じゃなくて『皆』だよ」


それはETOというわけでなく、生徒全員という意味を込めて言ったが、どうやらタウロさんには伝わってくれたようだ。


タウロ「そうだな……『皆』だ」


異世界張りの不思議な朝焼けも既になくなり、青空が広がろうとしている。


門星学園の象徴でもある校門の前には多くの人が立ち並んでいる。


さて、開演(スタート)だ。

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