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第7話「底歩」

———


 梨緒:「大丈夫だった?歩」

 

 梨緒:「ねぇ!捕まっちゃった?」


 陽向:「遅いから捕まったんじゃね?」


 歩:「無事」


 梨緒「良かったぁ!!」


 歩「変な人いる。newold集合」


 陽向「newold?なにそれどこ?」


 梨緒「おっけい!古着屋だね!」


———


 歩はメールを送り終えると、ポケットにスマホをしまう。


 これで、数分もしたら集合できるだろう。

 集合場所は、ここnewold。


 まぁ、古着屋だ。

 

「え、えーと?なんて呼べばいいっすか?」


 俺を助けてくれた男。

 坊主頭に、学ランを着ている。


 見た目は中学生。

 まぁ、高校生の可能性もあるが……

 どちらにせよ、俺より年下なのは間違い無いだろう。


「玉川先輩で」


「先輩って……

一応確認っすけど何年っすか?」


「高三だ」


「玉川先輩!俺ずっと1人で寂しかったんすよ!

なんなんすかこのデスゲーム!?」


 聞き分けのいい後輩だ。


「そんなの俺にも分からないよ。

ちなみに、お前の名前はなんだ?」


「あ、そうだったっす!

俺は、歩田 創(ほだ はじめ)っす!

高校一年っす!」


「そうか、じゃあ歩田。

お前の能力を詳しく教えてくれ。」


「俺も使えるようになったのがついさっきで、あんま分かんないっすけど……」


パチンッ!


 歩田は指を鳴らす。


 すると、歩田の身体からぬるりと歩田が出てくる。


 どういう原理だ?


 いや、多分原理とかない。

 デスゲームの時点で常識とかは無くなっているんだ。


「ねぇー!歩ぅー!

いるのぉー!梨緒だよぉー!」


 梨緒の声。

 もう到着したのか。

 さすが高校陸上、中距離全国一位の女。


「おーい、こっちだぁー」


「あ!いたいた!

——って!いた!変な人!!しかも2人いる!!」


「な、なんすか、玉川先輩……

もしかして、彼女っすか?」


「そ、そんなぁ〜!彼女だなん——」


「——香月 梨緒(こうづき りお)

俺と同じ、高校三年生だ」


「も、もう!」


「べっぴんさんっすね!香月先輩!」


「うるさいわね!あんた誰よ!」


「ヒィー!先輩怖いっす……!!」


 歩田を睨みつける梨緒。


 まぁ、今のは褒めていた気がするが……。


 分身共に驚いている歩田。

 リアクションが2倍だと少しうるさい。

 

「こいつは、歩田。まぁ、後輩だ。

今は分身しているが……詳しいことは陽向が来てから話す」


「分かったわ!歩!

とりあえず無事で良かった!!」


「なんすか?

香月先輩、俺の時と態度違うくないっすか?」


ギロッ……


「ヒィー!やっぱり怖いっす!!」


 睨みつける梨緒。

 どうやら、バカ同士は相性が悪いようだ。


「おぉ!いたいた!探したぜ!

……って、変な人って双子のことか?」


「おぉ、陽向。

こいつは歩田。お前と同じ異能力者で分身ができるんだ」


「分身!!まじかよ!!

いいなぁ〜!忍者みたいでカッケェーじゃん!!」


 歩田にペタペタと触る陽向。


 だが、そっちは分身じゃなくてオリジナルだ。


「ちょ、ちょっと……!

今度は誰っすか?玉川先輩!!」


「こいつは、桂木 陽向(かつらぎ ひなた)

高校三年で、天才発明家だ!」


「どうなってんだ?これ!!

分身って実態あるじゃんかよ!細胞分裂ってやつか?」


パチンッ!


 指を鳴らす歩田。

 それと同時に分身は消える。


「って、分身じゃねぇーのかよ……!

なぁ、もう一回出してくれよぉ!分身!!

俺の超能力も見せるからさぁ!」


「もう、出さないっす……!

って、桂木先輩も異能力持ってるんすか!?」


「あぁ!俺の超能力は……

そうだな……」


 店内を見渡す陽向。

 マネキンを見つけると右手を触れる。


「よぉーく、見ておけよ後輩くん!」


 陽向は異能力「入れ替え」を発動し、マネキンと位置が入れ替わる。


「す、すごいっす!!

場所を入れ替われるんすか?」


「どぉーだ!すごいだろ!!これが俺の超能力!」


 天才発明家とバカ後輩。

 天才とバカは紙一重。

 

 こっちは相性良さそうだな。


 雑談はさておき……


 この一連の流れで歩田の異能力「分身」について、少し分かったことがある。


 ①梨緒が睨んだときに、分身も驚く挙動を見せていたことから分身にも感情はある。


 ②この一連の流れで一言も発していないことから、会話はできない。


 ③発動条件は指パッチン。


 まぁ、今のところはこれぐらいだろう。

 分身にも実態はあるかなど、色々聞いてはいきたいが内通者と疑いをかけられることは避けたい。


「ちょっと!バカ2人!じゃれあわないで!

それより歩!こっからどうするの?」


「あぁ、とりあえずミッションをクリアしないことには、このデスゲームは終わらない」


「そうだな、鬼の討伐と内通者だろ?

鬼の討伐はできないことはないけど、内通者ってのが難しすぎるぜ……」


「そうだな、東京全域の中から1人の内通者を探すのは容易ではない。

とりあえず、鬼討伐のミッションを進めたほうが良さそうだな……」


「そうだな!歩!

俺と後輩くん、2人も超能力者がいるんだ!

鬼なんて、楽勝だぜ!

まぁ、作戦はお前に任せるけどっ!」


「確かにそうだな……」


 分身と入れ替え。


 確かに、人間離れした能力だが直接的に鬼にダメージを与えられるような能力ではない。


 だとすると今は……


「よし、まずは東京にいる異能力者を見つけよう!」


 これが、ミッションをクリアするための最善策だ。

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