リザルトタイム!
「星空のヘアピンが手に入ったぞー!」
「ドンドンパフパフー!」
イベント報酬が無事に配布され、サナダたちの元にも星空のヘアピンが届きました。満天の星空が封ぜられた圧倒的ビジュアルに二人共大はしゃぎです。
「やっほーい! やほほほーい!!」
「イェーーイ!!」
いつものように手を繋いでクルクルと跳ねて回る二人。きゃっきゃ、きゃっきゃと三半規管の限界まで回り続けて……床に倒れ伏しました。そら目を回しますわな。
「うぎぎぃ……目が回るぅ…………」
「おごご……きもちわるい…………」
手を繋いだまま横になって呻き声を上げる様は実にアホっぽいです。でも子供らしくはしゃぐ様は微笑ましいですね、かわいい。
そうして少し経ち、落ち着いたマリーが起き上がりました。
「ふぅ……あのね、サナダ」
「何……? できれば回復してからにして……」
「今回さ、私のために頑張ってくれたでしょ?」
「容赦がない…………」
目を回したサナダに構わず、マリーちゃんが言いたいことを一方的に話しています。
「マリーちゃんすっごく嬉しかったなー、私にこのヘアピンをプレゼントしてくれて本当に嬉しかったなー!」
「うん……喜んでくれてよかった……待ってくれるともっと嬉しい……」
「大好きだよぉサナダ! ねっ、サナダも私のこと大好きだよね! ねっ!?」
「そうだね……大好きだよ……だからちょっと待ってて…………」
迂闊なこと言ってますねー、そんなこと言ったら思春期に入った頃に「サナダは私のこと大好きって言ってたもんね~? ほらほら大好きなマリーちゃんに何か言うことは無いのかー? ん~~??」とか揶揄われることになりますよ。あっテキトーなこと言ってると思ったでしょ、ガチですからねこれ。私の演算では90%くらいの確率で一言一句違わず言われますからねマジで。
「やはーっ! 嬉しい! 嬉しいぞー!!」
「待っ……せっかく落ち着いてきたのに揺すらないでェ……」
テンション上がっちゃったマリーがサナダを抱き起してぐわんぐわん揺すっています。これによりサナダは回復が遅くなり、更に長時間目を回し続けることとなりました。哀れな。
「さてマリー、何か言いたいことは?」
「すいませんでした」
サナダが一通り揺すられ苦しんだ後、正座させられたマリーが説教されています。
「すごく嬉しくて……本当に嬉しかったから…………つい、やっちゃったんです」
「気持ちは嬉しいけど、ダウンしてるとこに追撃するのは勘弁してください。次からは回復するまで優しくして、いいね?」
「はい……」
「よろしい」
お説教、僅か15秒で終了。あっさり許しましたね、あんま怒ってなかったのか、それともマリーに甘いだけか。
「……ねえ、サナダ」
「なんじゃ?」
「あのさ、これを……つけてほしいなって」
そう言いながら、マリーがおずおずと自分のヘアピンを差し出します。
「……? マリーの分を僕がつけても仕方なくない?」
「そうじゃなくてっ、これを私に付けてほしいの!」
そう言うとマリーが少しうつむき、前髪をサナダに差し出しました。しかし彼はピンと来てない様子、風情の分からんヤツめ。
「何故……?」
「強いて言うならプレゼント感を増す為、してくれると私が嬉しい」
「厳密には運営がくれたんだけどね? まあ、それならやって進ぜよう」
差し出された前髪が左側に寄せられ、留められました。オシャレに疎いサナダがした割には様になってますね、上出来です。
「はい出来た、よく知らないからテキトーにやったけど大丈夫?」
「大満足~!」
マリーちゃんが「ムフー!」と満足気にニコニコしています、心の底からの笑顔です。いやぁ、幸せそうで良いですねぇ。我々はロビーをある種の天国として運営していますから、ここの住民たちには幸せでいて欲しいのですよ。
そんなわけで、今マリーちゃんにヘアピンを装着させられてるサナダ君にはこれからも頑張っていただきたいですね。私は二人を応援してますよ。
「おそろい~、おそろい~」
「そうだねぇ。というか、男なのに髪留め付けても仕方なくない?」
「いやいやイケるって! サナダはカワイイ系だから全然イケてるよ! 100人に聞いたら90人は「いいね!」してくれるって!」
「そうかなぁ……?」
「そうだよぉ!」
「そっかぁ」
実際似合ってます。彼はカワイイ系の顔ですから、見た目も全く問題ありません。まあ現世では浮いてるかもしれませんけど、ロビーはコスプレ大会みたいなトコありますから大丈夫です。少なくとも軍服やセーラー服で出歩く人たちに比べれば全然普通の見た目ですよ。
「それじゃ外行くよサナダ! おニューのアクセを見せびらかして悦に浸るぞー!」
「おニューとか今日び聞かないなぁ、んじゃまあ行こっか」
マリーがウキウキの足取りで、家の外にサナダを引っ張って行きました。
こうして、サナダたちによるイベント攻略大作戦は幕を閉じたのです。おかげ様でイベントが上手くいってポョムもご機嫌です。アイツ最初の方はイベント失敗確定と思い込んで寝込んでましたからね、そこを救ってくれた戦争推進委員会の皆様には感謝です。




