第三百二十八話:狂気のグランドオープン。神話級・伊勢海老と黒アワビの地獄焼き、そして暴走する集金システム
「……見ろよ、ガリウス所長。これが『絶対的な権威』に群がる、哀れで最高に愛おしいカモたちの群れだ」
雲一つない青空と、エメラルドグリーンに輝く海。
俺たちが1500万ポイントという巨額を叩き込んで買収し、チートDIYでゼロから作り上げた最強のプライベートリゾート『最強農園・シーサイドリゾート』。
そのグランドオープンの日、完成したばかりの巨大なオーシャンビュー・レストランのテラスから、俺は不敵な笑みを浮かべて入り口のゲートを見下ろしていた。
そこには、王都から何日もかけて馬車を走らせてきた大貴族や大商人たちの豪華な馬車が、砂埃を上げて長蛇の列を作っていたのだ。
「ル、ルークス君……。いくら『国王陛下御用達』の極印を押した招待状をばら撒いたとはいえ、これは異常だぞ! このリゾートの敷地に入るための『入場料』だけで、一人につき『100万新ポイント』も設定したんだぞ!? ただ門をくぐるだけで100万だ!」
「所長、あんたはまだ富裕層の『見栄と欲』ってやつを舐めてる。奴らにとって、100万ポイントなんてのはただの紙切れだ。それよりも『国王陛下が認めた最強のリゾートに、誰よりも早く足を踏み入れた』という絶対的なステータスの方が、何千倍も価値があるんだよ!」
ゲートを通るたびに、俺のシステムウィンドウには「チャリンッ! チャリンッ!」と、入場料の100万ポイントが次々と、息をするように振り込まれていく。
中に入ってきた貴族たちは、砂を溶かして錬成した巨大な一枚ガラス(パノラマウィンドウ)から見える絶景と、神話級の黄金ヤシの木が立ち並ぶ南国の完璧な空間に度肝を抜かれ、完全に圧倒されていた。
「す、素晴らしい……! 王都の澱んだ空気とはまるで違う! ただ息をしているだけで細胞が若返るようだ!」
「入場料100万など安いものだ! この景色だけで元が取れるわ!!」
客たちはすっかり上機嫌で、ビーチに設置された純白のパラソルの下へと陣取っていく。
完全に、場の空気と主導権を支配した。
俺は、漆黒のギャルソン服を脱ぎ捨て、荒々しい黒のエプロン姿になると、拡声器代わりの魔導具を手に取った。
「――王都の経済を牽引される、選ばれし超富裕層の皆様! 本日は『最強農園・シーサイドリゾート』のグランドオープンへようこそ!! 本日は、皆様の胃袋と理性を完全に破壊する、特別な『海の歓迎会』をご用意いたしました!!」
俺の背後、真っ白な砂浜の上に特設されたのは、長さ十メートルにも及ぶ『超巨大BBQグリル』!
その中には、最高級の備長炭が真っ赤に熾り、すさまじい熱気を放っている。
「今日は、気取ったナイフとフォークは不要です! ドレスが汚れることも気にしないでいただきたい! 皆様には今から、海が育んだ『命』そのものを、もっとも残酷で、もっとも美味い方法で直接食らっていただきます!!」
俺が指を鳴らすと、波間からザバーッ!と巨大な水しぶきを上げてフェンが飛び出してきた。
その背中と口に咥えられていたのは……。
「な、なんだあのバカでかいエビは!? 丸太のように太いぞ!!」
「そっちの黒い岩みたいなものは……アワビ!? 人間の顔よりもデカいじゃないか!!」
貴族たちが悲鳴のような歓声を上げる。
用意したのは、魔力が最も濃い深海でフェンが乱獲してきた『神話級・暴君伊勢海老』と、漆黒の殻を持つ『神話級・大王黒アワビ』だ!
「さあ、上品な料理はおしまいです! これが、漁師が愛する究極の調理法……『命の地獄焼き(残酷焼き)』だァァァッ!!」
俺は、まだ元気に触角を振り回している丸太のような伊勢海老と、ウネウネと巨大な身をよじらせている黒アワビを、生きたまま、真っ赤に熾った炭火の極太の網の上へ、ドカンッ! ドカンッ!!と容赦なく叩き乗せた!!
――ギュイィィィィィィィィッ!!!!!
「うおおおおおっ!! 見ろ!! アワビが!! 熱さで巨大な身を悶えるようにくねらせ、網の上で踊り狂っている!!」
生きたまま炭火で焼かれるアワビが、自身の水分と海水を吹き出しながら、グツグツと激しく泡を立てる。命が美味さへと昇華していく、残酷にして最も贅沢な瞬間だ。
隣では、暴君伊勢海老の分厚い殻が、強烈な炭火の熱を受けて、一瞬にして鮮やかな、目が痛くなるほどの『真紅』へと染まっていく!
「仕上げだ!! この匂いで、お前らの理性を完全に焼き切ってやる!!」
俺は、神話級のジャージーミルクで作った『極上無塩バター』の特大の塊を、踊り狂う黒アワビの上にドカンと乗せた。
さらに、アワビ自身の肝をすりつぶし、熟成たまり醤油と合わせた『最強農園特製・極濃肝醤油』を、バターの上からダバァァァッ!!と回しかける!!
――バチバチバチッ!! ジュワァァァァァァァァァッ!!!!!
「嗅げ!! この暴力的な匂いを嗅げェェェッ!!」
炭火に滴り落ちたバターと肝醤油が焦げ、白煙を上げて大爆発を起こす!!
むせ返るような磯の香りに、バターの芳醇すぎる乳脂肪のコク、そして肝醤油の焦げた野性味あふれる香ばしさが混ざり合い、ビーチ一帯の空気を完全に支配した!
「同時に、伊勢海老も焼き上がりだ!! 殻が割れ、頭の中から黄金色の『特濃ミソ』がマグマのように溢れ出してきているぞ!!」
「完成だ!! 『神話級・伊勢海老と黒アワビの地獄焼き・極上バター肝醤油』!! 手掴みで、火傷しながらかぶりつけェェェッ!!」
◇
「お、おおおおおおっ……!! なんという残酷で……なんという暴力的なまでの匂いと視覚の暴力だ!!」
目の前のテーブルに、まだジュージューと音を立てるアワビと、真っ赤な伊勢海老がドカンと置かれ、王都の超富裕層たちの残された僅かな理性は、完全に、跡形もなく崩壊した。
彼らは最高級のシルクの服が汚れるのも構わず、素手で熱々のアワビを殻から引き剥がし、野獣のように大きく口を開けて丸かじりした!
……ブリュンッ!!
ジュブァァァァァァァッ!!!!
「んんんんんんんんんッ!!!!??」
貴族たちの目が、眼球が飛び出すほどに見開かれた。
美味い!! 生きたまま焼かれたことで、旨味が一切逃げていない!
噛みちぎった瞬間、人間の歯を押し返すような「ブリュンッ!」という圧倒的で暴力的な弾力! そして、分厚い純白の身から、海のミネラルを濃縮したような極上のエキスが口の中に怒涛の勢いで溢れ出す!
そこに、バターの濃厚すぎるコクと、肝醤油の『ほろ苦くも奥深い強烈な旨味』が完璧に絡み合い、アワビの淡白さを、永遠に咀嚼していたくなるほどの「旨味の爆弾」へと強制的に昇華させるのだ!
「う、美味ぇぇぇぇぇぇっ!! なんだこの弾力は! 噛み切る快感と、肝の苦味がたまらん!! 上品なフレンチのソースなど泥水だ!!」
さらに彼らは、軍手をはめた手で伊勢海老の真っ赤な殻を「バキィッ!」と豪快に割り開く!
中から現れたのは、湯気を上げる、プリップリに引き締まった純白で巨大な海老の身だ。
それを、頭の殻の中でグツグツと煮えたぎっている『黄金色の特濃ミソ』の海へ、ドップリと、これでもかと沈め込み、口の中へ放り込む!!
……プリッ!
トロァァァァァァッ!!!
「おおおおおっ……!! 甘い!! 身が信じられないほど甘い!!」
伊勢海老の極上の甘みと圧倒的な弾力。そこに、カニミソとは次元が違う、海のすべてを煮詰めたような超濃厚なエビミソが、ソースとして完璧に、絶望的なまでに絡みつく!
バター肝醤油のアワビ、そして特濃ミソを絡めた伊勢海老。
この『残酷なる海の命の暴力』は、王都で気取った食事ばかりをしていた富裕層たちのDNAを強制的に書き換え、彼らをただひたすらに「旨味」を貪る狂鬼へと変貌させていた。
◇
「美味い!! 酒だ!! この圧倒的な海鮮の旨味を流し込む、キンキンに冷えた酒を持て!!」
「エビの追加だ!! アワビもだ! いくらでも払うから、もっとあの残酷焼きを食わせろォォォッ!!」
ビーチは、完全に狂乱の宴(集金祭)と化していた。
圧倒的な海の暴力に理性を失った富裕層たちは、我先にと追加注文の声を上げる。
俺は、待ってましたとばかりに、悪魔のメニュー表を突きつけた。
「追加の神話級アワビ、1個『500万ポイント』! 伊勢海老は1匹『800万ポイント』になります! さらに、この極上の海鮮に合う、神話級のブドウで造った『幻の極上白ワイン』、ボトル1本『1000万ポイント』でございます!!」
「安い!! 全部持ってこい! 私のテーブルにワインを5本入れろ!!」
「私には海老を3匹追加だ!! 隣の侯爵に負けるな!!」
理不尽な税金で奪われるのとは違う。
彼らは騙されているわけでも、脅されているわけでもない。
俺たちの提供する圧倒的な美味さと、この最高のロケーションに、自らの見栄と欲望の赴くまま、「自ら進んで(喜んで)」大金を支払っているのだ。
追加注文、夕日を独占できるVIP席の特別チャージ料、高級酒のボトル入れ……俺が仕掛けた、富裕層から合法的に金を巻き上げるあらゆる『課金システム』に、彼らは最高の笑顔で、狂ったようにハマっていく。
厨房の奥で、俺とガリウス所長は、システムウィンドウの『口座残高』の画面を開き、息を呑んでその数字を見つめていた。
今日この日のエントランスフィー、そして狂乱の海鮮BBQでの怒涛の追加注文による売上が、システムを介して次々と、まるで滝のように俺の口座へと振り込まれていく。
チャリンッ! チャリンッ! ジャラララララララッ!!!!
数字のカウンターが、猛烈な、かつてないスピードで回転する。
5000万……7000万……9000万……!!
そして、ついに。
その数字の回転が、ピタリと止まり、黄金色に輝くポップアップウィンドウが、ファンファーレのような祝福の音と共に空中に現れた。
**【システム通知:ユーザー『ルークス』の口座残高が更新されました】**
**【現在の口座残高:102,580,000 新pt】**
**【※目標金額『100,000,000 pt』の到達を確認しました。メインクエスト『1億ポイントの走破』、完全クリアとなります。おめでとうございます】**
――静寂。
いや、静寂などではない。俺の耳には、これまで散々苦しめられてきた理不尽な税金のアラート音でも、借金取りのサイレンでもなく、ただひたすらに温かく、祝福に満ちたファンファーレだけが鳴り響いていた。
「……1億、だ」
俺は、画面に表示された『102,580,000』という数字を、瞬きもせずに見つめ続けた。
「1億……ポイント……。1億ポイント、だ!!」
俺の両目から、ブワッ!と、これまでで最も熱く、最も大粒の涙が、堰を切ったように溢れ出した。
「やった……! やったぞォォォッ!! ついに、ついに1億ポイント達成だァァァッ!!!」
俺はエプロン姿のまま床に崩れ落ち、声を上げて号泣した。
税金でむしり取られ、みなし課税で殺されかけ、クオータ制に泣き、密漁で罰金を払い、リボ払いの地獄に落ち、自己破産してブラックリストに入り、挙句の果てには死んでアンデッドになってまで借金を相続させられた。
そのすべての、理不尽で地獄のような搾取の道を乗り越えて。
俺はついに、自分の力で、仲間たちの力で、この異世界のシステムを完全にねじ伏せ、1億ポイントの頂へと到達したのだ!
「ルークス君……!! よくやった! 本当に、本当によくやり遂げたね!!」
「ルークス様ァァァッ!! おめでとうございます! わたくしたち、やりましたわねェェェッ!!」
「ガウゥゥゥッ!! 主よ! お前は最強だ!! 間違いなく最強の農民だァァァッ!!」
ガリウス所長が涙ぐみながら俺の肩を抱き、エレナ様がドレスを汚すのも構わずに抱きついてきて大号泣し、フェンとシルフィ、マリアさんが俺の上に飛び乗ってくる。
俺たちは、厨房の床で全員で重なり合い、涙と鼻水まみれになりながら、子供のように歓喜の声を上げて抱き合った。
ピロリン、という無慈悲な税金徴収の警告音は、もう二度と鳴らない。
システムエラーも、理不尽な没収もない。
あるのは、俺たちが流した血と汗と涙の結晶である「1億ポイント」という揺るぎない事実と、この上ない最高の達成感だけだ。
「さあ! 最高の客たちからもっともっとポイントを落とさせろ!! 今日は朝まで、俺たちの完全勝利の宴だァァァッ!!」
焦げたバター醤油と、伊勢海老の濃厚なミソの香りが漂う、満天の星空の下のビーチで。
理不尽な経済地獄をすべて乗り越えた最強農民は、最高の仲間たちと共に、これまでで一番の、涙と希望に満ち溢れた最高の笑顔で、1億ポイント達成という大団円の祝杯を上げるのだった。
***
**【読者へのメッセージ】**
第三百二十八話、いかがでしたでしょうか!
皆様、長らくお待たせいたしました!
ついに、ついに、ついに!!!!
ルークスが長きにわたる経済地獄(インフレ対策)の旅路を終え、目標であった**「1億ポイント到達」**を達成いたしました!!
王室御用達のブランドを盾に、入場料100万ポイントでも富裕層を群がらせる圧倒的な集客力!
そして、彼らの理性を完全に破壊した今回の飯テロは……「神話級・伊勢海老と黒アワビの地獄焼き(残酷焼き)」!!
生きたまま炭火に乗せられ、身をよじるアワビに垂らす「特製・肝醤油と極上バター」! そして、真っ赤に染まった殻の中でグツグツと煮えたぎる伊勢海老の超特濃ミソ!
上品な貴族たちに手掴みで食わせ、追加注文で数百万、数千万ポイントを笑いが止まらないほど巻き上げるルークスの姿は、まさにビジネスのカタルシスでしたね!
ラストは、理不尽なオチや税金没収など一切なし!
純度100%の達成感と、仲間たちと抱き合って涙を流す、最高の大団円をお届けいたしました。
読者の皆様、これまでルークスの借金地獄、税金地獄、そして数々の限界突破飯テロにお付き合いいただき、本当に、本当にありがとうございました!!
皆様の応援とツッコミがあったからこそ、ルークスはここまで走り抜けることができました。
本編としての「1億ポイントへの道」はここに完結となりますが……大富豪となったルークスたちの**「その後のスローライフ(番外編)」**などで、またお会いできる日が来るかもしれません!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました! ぜひ、お祝いの評価とコメントをよろしくお願いいたします!




