表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

154/155

第百五十一話:収穫の時、あるいは「害虫」の最終処分


 王都から送られてきた「経済の地雷」の爆発は、俺が予測していた以上の破壊力をもって、市場という名の戦場を席巻していた。

 リーフ村の集会所。そこには、王都から戻ったばかりのクラウスさんが、顔中の汗を拭うのも忘れて立ち尽くしていた。その手には、取引の成立を証明する分厚い羊皮紙の束が握られ、彼の全身からは「歴史が動く瞬間に立ち会った者」特有の高揚感が溢れ出している。


「ルークス殿……! やったぞ! 王都の市場は、あんたの『氷晶大麦』に完全に屈服した。宰相オルコが買い占めていた穀物は、今や家畜の餌にするにも高いと言われ、奴の息がかかった商会は次々と不渡りを出して破産を宣言している!」


「……そうですか。これで少しは、市場の『風通し』が良くなるといいんですが」


 俺は努めて冷静を装って応じたが、視界の端で荒ぶるシステムウィンドウの数値には、流石に奥歯が鳴った。


【ミッション:経済の地雷(王都輸出計画)大成功】 【基本ポイント加算:50,000pt】 【王都の市場支配率50%突破ボーナス:30,000pt】 【宰相オルコへの経済的打撃ボーナス:20,000pt】

【累計保有ポイント:106,850pt】


(……じゅ、十万。ついに六桁の大台に乗ったか……!)


 前世のブラック企業時代。激務の合間にスマホを握りしめ、数円分のポイントを貯めるために攻略法を分析していたあの日々 。あの時の俺に教えてやりたい。いつか、一回のプロジェクトで十万ポイント……日本円にして一億円相当の「力」を手にする日が来るのだと 。十万ポイントあれば、設定資料集にある『瞬間移動』や『錬金術の知識』、あるいは神の領域に近い『創造』にすら手が届き始める 。


 だが、俺の「気配察知」が、歓喜に沸く集会所の外から届く「不吉な地鳴り」を捉えた 。


「……フェン、来たみたいだ。王都からの『最後のお客さん』が」


「フム……。主よ、今度の連中は、今までの『掃除人』とは毛色が違うな。冷たい鉄の匂いと、淀んだ魔力の匂いが混じっている」


フェンが低く唸り、その身に漆黒の魔力を纏わせる 。

 村の境界線――俺が夜な夜な設置した「ガチすぎるセキュリティ」のさらに向こう側から、数百の足音が重厚に近づいていた 。


---


 村の北門。そこには、辺境伯領の正規兵ではない、宰相オルコが私的に雇い入れたと思われる「黒装束の魔導騎士団」が布陣していた 。

 彼らの手には、農業用の村を焼き払うには過剰すぎるほどの、高価な魔導触媒が握られている 。


「……宰相閣下よりの命である! 反逆者ルークス・グルトを捕縛し、その『魔法の種』の権利を没収する! 抵抗する者は、この村ごと灰にせよ!」


 騎士団長らしき男が、夕日に光る剣を掲げる。

 経済戦で完敗し、私財すら失いかけたオルコが選んだのは、これ以上ないほどシンプルで、それゆえに最も醜悪な「暴力」による解決だった 。


 だが、俺は門の前に一人で立ち、彼らを見据えて小さく溜息をついた。


「……やれやれ。不備のある取引を無理やり力で通そうとするなんて、本当に営業妨害も甚だしいな。フェン、準備はいい?」


「主よ、ポイントは潤沢だ。……何を『収穫』するつもりだ?」


「ああ。せっかく十万ポイント貯まったんだ。……農民らしく、『害虫』は根こそぎ駆除させてもらおう。――ショップ、展開」


 俺は猛烈な速度でウィンドウを操作し、新たな「農具」を召喚する。


【アイテム:防衛用・自律旋回型『案山子改バルカン・スケアクロウ』:15,000pt × 4基】 【スキル:土壌改良 Lv.3(大規模地雷原化)への即時強化:10,000pt】 【称号ボーナス発動:『胃袋の支配者』により、敵対者の戦意を30%低下】


(残高:56,850pt。……ふふ、ポイントを極めた俺に、物量戦を挑むのがどれほど愚かか、その身で後悔させてやるよ)


 村の四方に設置されていた案山子たちが、一斉に「ギギギ……」と首を回し始めた。

 昨夜までの『魔力散弾』とは比較にならないほどの高密度な魔力光が、案山子の腕部分……改良された銃身に集束していく 。


「な……!? あの案山子、魔力反応が伝説の魔獣級だぞ!? 退け、退けぇッ!!」


 騎士団長の悲鳴が響く。だが、もう遅い。

 俺が指をパチンと鳴らした瞬間、リーフ村の周囲の地面が、侵入者の足首を掴む「生きた泥」へと変貌した 。

 それはルークスが強化した『土壌改良』による、敵対者の殺意にのみ反応する「底なしのトラップ」だ。


「……さあ、収穫の時間だ。……掃除が終わったら、母さんの焼いたパンが待ってるからね」


俺の金色の瞳が、青白く鋭い閃光を発した 。

 最強の農民による、害虫駆除フルコース

 それは、オルコ卿の野望が、ただの「土の肥やし」に変わる瞬間だった 。


---



【読者へのメッセージ】

第百五十一話をお読みいただき、ありがとうございます!

ついに保有ポイントが十万の大台を突破! そして、経済で破滅したオルコによるなりふり構わぬ武力行使。 ルークスが「ポイントの暴力」をもって、平和な案山子をさらに凶悪な自動防衛兵器へとアップデートし、魔導騎士団を圧倒する姿……楽しんでいただけたでしょうか。


次回、魔導騎士団、全滅!? そして、ルークスが手に入れた『十万ポイント』で召喚する、最大の「ご褒美アイテム(スローライフ用)」とは……!? 「案山子が強すぎる!」「ザマァ最高!」という方は、ぜひ評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ