50話 迎撃準備
第三軍団城砦都市は騒然としていた。
骸骨軍団が予想以上に接近していたことで、20年振りの防衛戦が行われるのが避けられない状況だ。
だが、20年前の戦いを経験している年配者も騎士団には多く残っている。
第三軍の所属騎士は7000人だ。
だが、第二大隊と第三大隊の4000人がここからさらに半日ほど北方の出城に駐留している。
なので、今、この城砦都市にいるのは城砦都市防衛隊1000人と非戦闘員3万人。それに出城から戻り10日間の休暇中の第一大隊2000人。
偵察員の報告では防衛隊と第一大隊の人数を合わせれば戦力的には互角と思われた。
数ではやや負けているが、騎士達の実力を考えれば優勢ともいえる。
第三軍軍団長ルーズ=ゲールマンは最前線にいる第二大隊と第三大隊に伝令を出した。
城砦都市の状況を伝え、増援部隊の派遣を命じる。
城砦側が防衛に専念し、増援部隊が骸骨共の背後を取れば、城砦側からも出陣して前後から挟み撃ちにする。
それが第三軍の参謀達が出した戦略であり、ルーズ=ゲールマン軍団長はこれを承認した。
この骸骨軍団はここで殲滅するのだ。
城砦都市内の住民達にも状況は伝えられ、篭城戦の準備が進められた。
この城砦都市は北側と西側は80mの高さの岩山の上にあるため、難攻不落を誇る。
南側、東側には二重の城壁が連なり、備えは万全といえる。
だが、南東側の城壁は低く、街道に続く東門と南東門、魔導列車の軌道が敷設されている開放部がある。
骸骨軍団は南西より接近中だが、南東側に回り込まれると危険度が増す。
篭城戦に備え魔導列車は城砦都市を離れ、隣の第二軍団城砦都市に向かった。
そして軌道の開放部は防御壁で塞がれた。
第一大隊2000人は北西側の荒野に布陣した。
骸骨軍団にとって無視できない戦力を見せて、徐々に城砦の北側に誘導する。
戦場を北側に設定する事で南側を守る。
城砦からも弓矢と石弾で援護ができるので、数の不利はあるが援軍到着まで持ち堪えられる。
もし第一大隊が撤退する場合には、城砦東側にある石階段を使って東門まで退避することになる。
ここでは迫る骸骨軍団には頭上の城壁から岩を落とす仕掛けがあるので問題ない。
城砦都市側は準備を整え、骸骨軍団を待ち構えた。
◇
鉄騎部隊2騎が戻って来た。
伝えられた情報を聞き、第三軍軍団長ルーズ=ゲールマンは傍らに控える参謀長デレク=ゲールマンに声を掛けた。
「参謀長。どう思う。」
「問題ないでしょう。魔物が昼間より夜の方が手強いのは周知の事実。大砂百足の件は俄かには信じ難いですが、たとえ本当だとしても第一大隊ならば問題ありません。」
「そうだな。」
彼らには自分達が率いる騎士達の実力に自信があった。
◇
第一大隊は迎撃体制を整えて待ちつつ、彼らは一計を案じた。
骸骨達が骸骨馬に騎乗しているとの情報が入っている。
そこで、自分達の周囲の地面に土魔法で突起状の障害物を多数作成し配置した。
同様の障害物を城砦都市の南西側にも作成し、骸骨軍団の南周りを阻止する一助とした。
この日、骸骨軍団は現れなかった。
偵察部隊からは骸骨軍団の動向について続報がこない。
夕暮れになり、大隊長のメドゥン=リンドットは夜間の迎撃は困難と判断して、部隊を城砦都市内に退避させた。
翌朝。
早朝から北西の地に改めて第一大隊が布陣する。
昼過ぎに偵察部隊の鉄騎が城砦に戻ってきた。
すぐに伝令が第一大隊に来る。
骸骨軍団の到着予想は日没頃。約4時間後だ。
さらにその先陣には大砂百足21匹がいる。
メドゥン大隊長は部下達に休憩を取らせ、百足対策を講じる為に部隊長達を招集した。
◇
出城に駐留する第二大隊、第三大隊にも城砦都市に迫る危機は伝えられた。
援軍の重要性は分かる。もし城砦都市が陥落すれば、彼らはこの出城に孤立してしまう。
だが、全軍で戻る訳にも行かない。
遠征期間を3日から4日程度と見積もった彼らは第三大隊1000人を残し、城砦都市へと向かった。
夕刻。
城砦都市の北西側の荒野に布陣する第一大隊2000人に第二大隊2000人と第三大隊1000人が合流した。
大隊長達が状況を確認し終える頃、南側に骸骨達の姿が見えた。




