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世界樹の世話役神官ですが、役立たずだと辺境に飛ばされました。開き直って辺境でスローライフをします。え、世界樹が枯れかけているって? そんなの知らんがな  作者: 江本マシメサ
第二章 世界樹を育ててみよう!

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依頼

 さっそく本題へと移る。


『それで、今日はどうしたんだい?』


 イグナート様がケット・シーの職人達への依頼を簡潔に説明してくれた。


「昨日の雹で、世界樹のための温室が壊れてしまった。それで、巨大な雹が当たっても壊れない、強固なガラスを作ってほしい」

『強固なガラスねえ』


 そもそもガラスは人間が作りだした代物で、ケット・シーの職人の専門外だと言われてしまう。

 ケット・シーの長の夫、コートさんが意見してくれた。


『壊れないように、レンガみたいに分厚い強化ガラスを作るのはいかがでしょう』


 ケット・シーの里のように、ドーム型に積み上げたら基礎も必要ないのではないか、とコートさんが着想を述べる。


「重量が気になる。不同沈下(ふどうちんか)――地盤が歪んで沈み、温室自体が崩れる心配が懸念(けねん)されるだろう」 


 問題はそれだけではないという。


「温室としての機能にも、疑問が生じる」


 ガラスが厚すぎると太陽光が上手く集まらなかったり、夏場に温室内の気温が上昇しすぎたりなど、懸念点があるようだ。


「着想自体は面白かったように思う」

『ふうむ』


 ケット・シーの里にある住居の窓にもガラスは採用されている。

 もしかしたら作ったことのある職人がいるかもしれないから、一度相談を持ちかけてみるようだ。


「あとは、丈夫な鉢が欲しい」

『またまた、あんたは難しい問題ばかり持ってくるねえ。どうせ、ただ丈夫なだけの鉢ではないんだろう?』

「ああ。それで世界樹を育てたい」

『やはり、そういう目論みがあったんだね』


 何か着想があるのかと聞かれ、私に注目が集まる。

 突然聞かれても、パッと思い浮かぶものではない。


「も、申し訳ありません、今は何も思いつかず……」


 助けを求めるようにイグナート様を見ると、何か思いついたのか、着想を説明し始める。


「たとえば、この里にある井処魔法のような、水やりを自動でできる鉢とかは作れるだろうか?」

『はあ?』

『いいですねえ、面白いです!!』


 コーシュカさんは呆れた表情を浮かべる一方で、コートさんは瞳を輝かせる。


「ただ、世界樹が必要とする水は聖水でして」

『なるほど! では、聖水にする聖術も組み込ませる必要もありそうですね!』

『ああ、はじまったよ』


 コーシュカさんが額に手を当ててため息交じりに言う。

 なんでもコートさんは新しいアイテムを発明するのが大好きで、一度熱中すると他のことが目に付かなくなるようだ。

 紙を取りだし、設計図を書き始める。

 さらさら動くペンは止まらない。


『できました!!』


 コートさんが考えたのは、鉢の底や雨から水を集めて聖水と化すだけでなく、世界樹の成長によって大きくなり、さらに地中に埋めたら土になるとっておきの物のようだ。

 設計図を見たイグナート様は、感嘆するように言った。


「これは……すばらしい品だ」

『ありがとうございます』


 ただ、問題があるという。


『この鉢を作るには、特殊な粘土質の土が必要となります』


 それは魔力がたっぷり含まれる、魔石土(ませきど)だという。


『それがあるのは、ここからさらに北に行った場所にある森の中に、涸れた湖があるはずなんです』


 水流の中で質のいい土だけが残り、低地となっているという。


「わかった。では、我々でその魔石土とやらを採りにいってこよう」

『よろしいのですか?』

「ああ、任せておけ」


 その間、コーシュカさんはガラスについて職人達に聞き回り、コートさんは設計図をさらに煮詰めておくという。


『あと、世界樹の一部があれば、鉢がよく馴染むと思うのですが』

「世界樹の葉があります」


 取りだして見せると、コーシュカさんとコートさんは驚愕の表情を浮かべる。


『これが、世界樹……!』

『なんてすばらしい力を放っているのでしょう!?』


 これがあれば、分析をしてさらに世界樹に合った鉢を作ることができるという。


『預かっていてもよろしいでしょうか?』

「もちろん!」


 そんなわけで世界樹の葉をコートさんに預け、私達は鉢を作るための粘度を探しに行くこととなった。 

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