表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/23

リリアーナ7

しばらく抱き合っていたけれど、ジークは泣き止んでもわたしから離れようとしなかった。何度もジークの顔を拭いたハンカチは、もうびちゃびちゃに濡れている。

わたしがお父様に婚約継続を願い出ると伝えても、ジークはわたしの側を離れない。ずっとわたしの手を握っている…指をからませて、手を繋いだままだった。

「今日はもう帰って?明日また来て?ね?」

ジークは、本当に明日また来ていいのか。門の中に入れてくれるのか。わたしが会ってくれるのかをしつこいくらいに確認し、ようやく帰って行った。

帰る前に、アランに必死になってお礼と謝罪をしていた。わたしへのとりなしと、一目見るだけという約束を破ってしまったこと…。泣きながら頭を下げるジークに、アランは困り顔になっていた。

予想はしていたが、やはりアランがジークを連れてきたのだと聞いた。

ぐちゃぐちゃになったジークの顔に、アランは若干引いていたけど、面白いのでそのままにしておいた。新しいハンカチで彼の顔を拭いてあげると、名残惜しそうにジークは帰って行った。


父の帰宅を待って、ジークとの婚約を継続したいと伝えると、父はただ抱き締めて頭をなでてくれた。


その日、久しぶりにぐっすり眠れた。夢に出てきたジークは、ずっとわたしの手を握っている。

二人で花冠を作ったあの日のことも夢に見る。

あの日、一緒に出かけたわたしとジークは、教会で結婚式を見た。花冠を被って、真っ白なドレスを来た花嫁が、幸せそうに微笑んで新郎と歩いていた。

それから数日後、ジークがわたしに花冠を作ってくれた。「リリアーナ、いつかぼくの花嫁になってください」そう照れたように微笑んで、わたしに花冠を被せてくれた。決して上手にできたものではなかったけれど、一生懸命練習したのだと、あとから彼の侍女がこっそり教えてくれた。わたしも、ジークに花冠を作って被せた。「もちろん、喜んで。ジークハルト、ずっとわたしと一緒にいてください」二人でお互いを見つめて笑い合う。愛しい時間の、大切な思い出…。

あれからも、時々ジークは花冠を作ってわたしに被せてくれた。微笑むわたしを、愛しそうに見つめるジークの瞳が大好きだった。


ジークと繋いだ手を見つめ、彼に視線を戻すと優しく微笑んでいた。彼の唇が言葉を紡ぐ。

「あいしてる」

陽だまりの中にいるように、その言葉が暖かくわたしを包む。穏やかな眠りの中で幸せな夢を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ