第27話〜ライムのやり方〜
スピカは目を細めて、ボクをチラチラと見た。白いフサフサの尻尾をバタバタと振りながら。
「そん時にな、そこにおるイケメンをネコ質にして星光団を降参させようとしたんやけど、イケメンに返り討ちにされてもうた。それをライムさんに見られてもうて、ウチは軍を解雇されてもうたんや。ほんま、何が“屁ぇ出そう”やねん! 2つの意味でキタナいわ!」
「うるせえ。イケメンじゃねえよ、ゴマだ。ニャンバラ軍クビにされたんは、ボクのせいだって言いてえのか? ボクは悪くねえかんニャ! あと屁はこいてねえぞ!」
ルナが「こら兄ちゃん!」と言ってボクの背中をバシッと叩いた。
だって知らねーもん。騙されるスピカが悪りいんだ。
「……スピカさん、何でネコさんたちが、ワシらの世界を攻め入ろうとしたのか……聞いてもいいですかの?」
ネズミのダンじいちゃんが尋ねる。
「……ライムさんが築いた首都ニャンバラが出来てから、あっという間に都市は発展した。ネコの数もいっぺんに増えたし、エネルギーの消費量も増えた。地底世界はただでさえ水や食料とかの資源が少なくなってるのに、ニャンバラの発展のせいで、供給が追いつかんくなってしもうてん。そしたら今度は、地底世界の他所の国から資源を武力で奪うっちゅう方針になってしもて……そこからずっと戦争や」
地底世界に資源が足りなくなって、戦争が起きた。プレアデスの野郎が、前に言ってやがった事だな。あれは、ライムが地底に行ってからの事だったのか。
いつ自分の住む場所を襲われるか分からねえ……ニャンバラの住民は、そんな恐怖と毎日、戦ってやがったんだ。だからみんな、あんな曇った顔してやがったんだ。
「その、何だスピカ……。テメエも大変だったんだな」
思わず口にしちまった。
「うん……、ほんま、生きた心地せんかったよ。……そんで、戦争はやめて、ニャンバラのネコは地上世界に移住してはどうかっちゅう考えが出てきた」
「なるほどニャ。その方がアホ臭え争いなんかしてるよりはずっといいもんな」
「せやけど、地上世界で暮らすには、野蛮なニンゲンがいて怖いやとか、歩く姿勢が変わるとか、色々と問題があるらしくて、反対の声が多かったんや」
「ニンゲンって、マサシ兄ちゃんのこと? ニンゲンさんは、怖くないよ?」
今度はチップが、スピカに話しかけた。
プレアデスの奴も、スピカと同じ事言ってたな。ニンゲンは怖くねえって事も、教えてやんなきゃな。あ、急にアイミ姉ちゃんが恋しくなってきやがった……。
「何や、あんたらニンゲンと話した事あるん? ニンゲンって、ここにも来るんか!?」
「マサシ兄ちゃんが、こないだまで遊びに来てくれたよ! でももう、帰っちゃったけどね。一緒にたくさん遊んで、楽しかったよ!」
「マサシ兄ちゃん? へぇー、そのニンゲン、そんな名前なんや」
「うん! スピカ姉ちゃんもきっと、ニンゲンさんと仲良くできるよ! ほら、ネコさんと僕らネズミだってこうして仲良く話せるのに。ね、ゴマくん!」
チップはそう言ってボクの肩をポンと叩いてニコッと笑った。ボクは色々とツッコミたくなったが、面倒なのでやめておいた。
「そーなん? まあ、ほな機会あったらニンゲンと話してみるわ。とりあえず話、戻すで?」
スピカは椅子に座り直し、右前足でクシクシと顔を掻いた。




