第13話〜冷静になれ〜
「囮作戦か。そんな陳腐な作戦、俺には通用せん! フン!!」
「な……!?」
ムワッとした熱い風が巻き起こった。ソールさんが後ろに吹き飛ばされる。
「喰ら……チッ!」
ボクは“暗黒剣・ニャインライヴ”を突き出したが、外してしまった。
直後、デネブはソールさんの方へ素早く移動すると、持っているデカい剣をソールさんの剣に叩きつけた。なすすべなく、ソールさんは茂みへと弾き飛ばされてしまった。
「うわああ!!」
「ソールさん!」
鎧を着ているとはいえ、あのデカい剣で斬られれば、ケガじゃすまねえだろう。
続けて、デネブはボクの方へ素早く駆けてきて、デカい剣を振り下ろしてきた。
……が。
「……ほう」
“暗黒剣・ニャインライヴ”で、軽々と止めてやった。た。余裕だ。アクビが出るぜ。
デネブはゆっくりと、一歩退がった。
ニャハハ、やっぱりボク――“暁闇の勇者・ゴマ”は、最強ニャんだ。
よし。ソールさんを巻き込まねえように、今からデネブを潰してやる。
ボクは心を落ち着けるべく、目をつむった。
すると。
やっぱり、見える。瞼の裏に。
ぼんやりと……、文字や数字が浮かんできた。
白熱の星 デネブ 白ネコ♂ Lv.30
魔法戦士
属性……火
体力 355/420
魔力 40/40
攻撃力 180
防御力 60
魔法攻撃力 55
魔法防御力 48
素早さ 38
耐性……氷
弱点……水
必殺技……
ホワイト・ヒート
ニャるほど。“サターン”の奴らよりは強えらしいが、やっぱりボクの敵じゃねえな。
……とか考えてたら。
「【ホワイト・ヒート!】」
デネブが叫んだ。
目の前が白く光ったと思ったら、一瞬で周りの草木が、燃え盛る炎に包まれた。熱気が辺りを焼きながら迫って来る――!
「クソ、ゴチャゴチャ考えてねえでさっさと潰しゃあ良かったんだ!」
“暗黒剣・ニャインライヴ”を構えたが――。
「うわぁああ! 熱い……!」
「このままだとみんな焼けちまう! マーキュリー! お前の忍術で火を消してくれ!」
「ダ……ダメダメダメダメダメダメ! 私の忍術なんかじゃ無ー理ぃーー! マーズは火に強いから任せるー!!」
「マーキュリー! 勝手に逃げないでくれ!?」
マーズさんとマーキュリーさんが近くにいる……!
クソ、迂闊に剣を振るうと、巻き込んぢまう!
落ち着くんだ。ボクはもう一度、目をつむった。
ホワイト・ヒート
火属性
威力……95
消費魔力……9
特殊効果……火傷(10%)
瞼の裏に、また文字が映る。
デネブの必殺技の威力とかの数字が、ハッキリと見えた。
「も……もうー! やるしかない! どうせダメだけど! ……【水遁の術】!」
水遁の術
水属性
威力……65
消費魔力……5
特殊効果……無し
また見えた。これはマーキュリーさんの技だな。
このチカラを使って、敵のステータスを味方に知らせれば、戦いを有利に進められるかも知れねえ。
ここは、マーキュリーさんに任せるか。
マーキュリーさんの“水遁の術”。
いきなり、空から滝みてえにすげえ量の水がドザーッと降り注ぐ。
周りの火が、あっという間に消えてしまった。そのまま水は大波へと姿を変えて、デネブを飲み込もうとする――!
「マーキュリー、やればできるじゃないか!」
「マ……マーズぅ! 見てないで助けてよー! ……み、み、みみみ水柱よ、そのまま、敵を飲み込んでー!!」
ボクはすぐにその場から離れた。
ボク、小っちぇえ頃に溺れた記憶があって、水がトラウマなんだ……。
あふれる水が、デネブ、リゲル、スピカを飲み込もうとするが、奴ら3匹は同時に地面を蹴って飛び上がり、大波をかわしやがった。
「ホホホホホ! やはり水攻め……。作戦通りですネ! アナタたちの手は読めているんですよォ……。【メイルシュトローム】!」
今度はリゲルが高笑いしながら、宙に浮かんだまま杖をかざした。




