第9話〜“もふネコ戦隊・星光団”、正式加入〜
「……どうだ。思い知ったか、デカブツ」
吹っ飛ばされたタイタンは、まん丸な腹を上にして、気絶しちまっている。
「ニャハハ、ボクの勝利だ! ……そうだ、メルさんたちは!」
ハッとして後ろを向くと、離れた場所にいたメルさんとじゅじゅさんが体を丸めて、ルナを守ってくれているのが見えた。
ホッとしたボクはすぐに、ソールたちの所へ走った。
「す、凄いぞ! 何なんだ、あの技は……!」
ソールが目を丸くして言いながら、こっち向かって駆けてきた。母ちゃんは優しい顔して、ボクを見てる。他の3匹――マーズ、マーキュリー、ヴィーナスだっけ――は、ポカンとした顔している。
ボクはすっかり、得意な気分だった。
「……ゴマ……!」
後ろからはメルさんが、悲しそうな声でボクを呼びながら、駆け寄ってきた。
だがボクは気にせず、
「見たかよ、“暁闇の勇者・ゴマ”のチカラ!」
言って、ドヤ顔をしてみせた。
ボクもこの世界を守るために、戦うんだぜ!!
ゆっくりと歩いてきたソールが、右前足を差し出してきた。
「君は、ムーンの息子のゴマくん……いや、“暁闇の勇者・ゴマ”、だね。きっと“守護神”が認めたのだろう。これからは、ともに“星光団”として、一緒に僕らとニャンバラ軍を……」
「ダメ! 絶対ダメ!!」
メルさんが、ソールの言葉を遮った。
「これ以上この子たちを危ない目に遭わせたくないの! もしゴマに何かあったら、私……!」
ボクは、メルさんたちにはもうこれ以上心配かけたくはねえ。だがそれ以上に、抑えきれねえ思いがあるんだ。
その思いを……ボクは、メルさんに、そして星光団の5匹に、伝えるんだ。
「これは、負けられねえ戦いニャんだ。この平和な世界が、何の罪も無えネズミたちの世界が、ニャンバラの奴らの自分勝手な理由でメチャメチャにされるのって、おかしいだろ!? それを指をくわえて見てろってのかよ! ボクとルナは、ネズミの家族の優しさに助けられたんだ。チップたちキョーダイは、ボクの友達だ。友達なら、力になってやんなきゃ。今度はボクらが、ネズミたちを助ける番ニャんだ。そうだろ!?」
「ゴマ。……そして、メル」
母ちゃんがゆっくりとこっちに来て、ボクとメルさんを見てから、目を細めた。
「ゴマ、一緒に戦いましょう。メル、ゴマは私がしっかり守りますから。どうか、心配しないでください」
「母ちゃん……!」
「母さん……。母さんがそう言うなら、信じるわ。ゴマ、くれぐれも無茶はしないで。もし星光団のみんなに迷惑かけたら、承知しないからね」
母ちゃんと目が合った。優しくて、あったかい眼差しだった。だが、ボクを見て微笑む母ちゃんの表情の裏に、大きな覚悟を感じた。今の母ちゃんは、まるで何があっても変わらず空で輝き続ける、満月のようだった。背筋がゾクッとした。そう、その覚悟――命をかけて戦う覚悟は、ボクもこれから持たなきゃいけねえものなんだ。
そしてメルさんの忠告も、今度こそはちゃんと守ろう。ボクは強えから簡単には死ぬつもりは無えが、他の誰かも死なせちゃいけねえからニャ。
「母ちゃん。ボク、絶対ニャンバラの馬鹿野郎どもをギャフンと言わせてやるから。そして、ボクらの姉貴……ライムの企みを、絶対止めてみせるから!」
母ちゃんがうなずいて一歩退がると、さっきまで黙って様子を見ていたソールがボクの前に来て、今度こそはとばかりに右前足を差し出してきた。
「ゴマくん、今日から君も、【もふネコ戦隊・星光団】の一員だ。よろしく!」
「ああ。よろしくだぜ……ソールさん!」
ボクはソールさんと、肉球を重ね合わせた。




