第38話〜ネズミの世界の秘密・2〜
――覚めねえ。
ウソだろ。コレ、現実だってのか。
頭がおかしくなっちまいそうだ。
「母ちゃん、そもそも、このネズミたちの世界って何なんだよ。ニンゲンが作ったとかカミサマが作ったとか、よく分かんねえ。分かりやすく教えてくれ」
気を紛らわせるように、ボクは必死で母ちゃんに質問した。
「ネズミさんの世界の構想自体は、ネズミさんを題材にした絵本作家のニンゲンが創り上げました。そこに、“太陽の神様”の意図が介入したのです。分かりますか?」
「んー、何となくは分かったつもりだ」
「“太陽の神様”は……、世界中に生きる存在の“意識改革”のため、生きとし生けるもののお手本となる世界を創り上げようと意図なさったようです。そして、選ばれし者を招き入れよう、と……。そこで、絵本作家のニンゲンが描いたネズミさんの絵本が、生きとし生けるもののお手本となる世界そのものだったため……それを元に、具現化なさった、という事です」
ルナやメルさんは「なるほど」といった顔をしてるが、じゅじゅさんやポコやユキ、そしてネズミたちは「分かんねえ」って顔してる。もちろん、ボクも8割は分かんねえ。
「ここは“太陽の神様”によって創られた天国に近い世界で、私たちが生きる世界とは、全く別の世界だとも言えましょう」
全く別の世界……。
そういや、“ワームホール”を抜けてネズミの世界へ来てからは、白く光ってた“結界”の壁が全く見えなくなってた。どこまでも、ネズミたちの世界の景色が続いてた。
母ちゃんが言うように、ここが全く別の世界だという事は分かる。
ようは、“ニンゲンが絵に描いた世界が、カミサマの力で現実になった世界”、って事でイイみてえだ。
「ねえお母さん」
ルナが尋ねる。今度は何を聞くんだ? もうボク、すでに話についていけてねえぞ……。
「何でしょう、ルナ?」
「ゴマと僕がプレアデスさんと一緒に、ここネズミさんの世界へ来る事になった本当の理由って、分かったりする?」
ルナが何か鋭い。プレアデスに騙されたのは確かだろうが……、ボクらがネズミの世界に来る事になった本当の理由、だと?
母ちゃんの顔が、少し暗くなる。
「ニャンバラの軍隊は、ゴマとルナを、スパイとして使いました」
……スパイ? 軍隊?
だとしたら、プレアデスの野郎は……。
「やっぱり。僕たち、騙されてたんですね。プレアデスさんに……」
「そういう事ですね。ゴマとルナは、ネズミさんたちの生活の様子、政治、資源、軍備の状態などを探るため、利用されたのです。ニャンバリアンが、ネズミさんの世界を、侵略するために――」
そういう事だったか。だから、ネズミに見つかっちゃいけねえって、しつこく言ってやがったんだな。
プレアデスの野郎は、ニャンバラでいつバクダンが降ってくるか分かんねえような時に、へっちゃらでボロボロの街を歩き回ってやがった。アイツ、ニャンバラの軍隊の奴だったんだ。
で、ボクらを騙して、ネズミの世界でスパイ活動に協力させようとしてやがったんだな。
クソ野郎……!




