第7話〜謎のニンゲン、現る〜
よく寝た。
思わずデケえあくびをしちまったぜ。
ここは、ネズミどもが住む街だったな。
寝ぐらにしていた箱の中に、お日様の光が射し込んでいる。既に昼を過ぎちまっているようだ。
「……疲れてたんだね」
箱の外から突然、プレアデスの声が聞こえた。
「うおあっ!?」
「しーーっ! 兄ちゃん静かに!」
思わず声を上げちまった。
ネズミのかぶり物をかぶったままのプレアデスが箱の蓋を開けて、ぬうっと覗き込んできた。
どうやってボクらの居場所が分かったんだ? やっぱりニオイか。
「よく寝られた? ごめんね、少し休んでから出発すべきだったね……。でも今はネズミたちがたくさん出てきてるから、チャンスだよ」
「あ、ああ……ホントか……?」
「うん。よろしく頼むよ。じゃあ一段落ついたら“ニャイフォン”で連絡するから、その時に一度ここへ集合しよう。それじゃ!」
プレアデスはまた、素早い動きで街の方へと行っちまった。
ボクらはネズミのかぶり物を着け直して、服装も整えてから、箱を這い出た。
「行くぞ、ルナ」
「うん。静かにね、兄ちゃん」
そーーっと、抜き足差し足で、公園の広場へ出てみた。
だが、服着たネズミらしき姿は、どこにも無え。
もう少し、通りのある所へ行ってみるか。
「へへ、ボクらの新しい大冒険の幕開けだぜ、ルナ」
「遊びに来たわけじゃないんだよ」
ワクワクしながら歩道に出た、その時だった。
「兄ちゃん、兄ちゃん! いま何か動いた!」
「何だと!?」
ルナが前足を伸ばしたので、その方角を注意して見てみた。
耳を澄ますと、何やら話し声が聞こえる。
少しずつ、足音を立てずに、話し声の方へ近づいてみた。
いた。服着たネズミだ――。
ボクと同じくらいの背丈のネズミ1匹と、ルナよりちょっとチビなぐらいのネズミ1匹が、ニャンバラの奴らと同じように2足歩行で、服着て、言葉を話してやがるじゃねえか。
「おい、いたぞ、ネズミたち。うまそうだな」
思わずヨダレを垂らしてしまった。ちょうど腹が減ってたんだ。……と、ダメだダメだ。捕って食っちゃダメだって言われてたんだ。クソ、あんだけデケえサイズのネズミ、1匹で何日分も食えそうなのに。
それよりも、おい。やっぱりかぶり物のネズミの顔と実物じゃ、全然違うじゃねえか。プレアデスのマヌケ野郎め。
ネズミの方へ真っ直ぐ行こうとしたが、ルナが後ろからぐいと服を引っ張りやがる。
「ダメだよ、見つかっちゃう!」
「わかってるって……うわっ!」
「あーもう! 物音立てちゃダメだって……!」
「気づかれてねえよな……? このまま後をつけるぞ。“ニャイフォン”貸せ」
「はあー、もう。ほんとに心配……」
ネズミが2匹と、ニンゲンが1匹、何やら荷物を持って、丘の上へ歩いて行くみてえだ。
よし、ついて行ってみよう。
……ん?
おい、ちょっと待て待て!
何で、ニンゲンがこんな所にいるんだ。
しかも、ボクらやネズミどもと同じくらいのデカさのニンゲンが。
見た目からすると多分、アイミ姉ちゃんと同い年ぐらいの、ちょいと痩せ型の男だ。
一体、どういう事だ。2匹のネズミと一緒になって、ナチュラルにお喋りしながら歩いてやがるじゃねえか。
何なんだ、アイツは――?




