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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第1部〜未知なる地底世界編〜
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第21話〜アヤシイ研究者のジジイ〜


「うんしょ……。さ、ゴマくんルナくん。中に入って」

「お、おう……」


 プルートのジジイを支えるプレアデスに言われるまま、ボクらは勝手に開くガラスの扉をくぐった。

 真っ暗な天井の下、訳の分からねえ機械とか乗り物がいくつもあるのが見える。

 

「プルート、遅くなってごめんね。8時間後に出発でいいかい?」

「はいぃい、プレアデスさんもお疲れ様でしたああ。お部屋へぇ? 案内いたしますぅ。グッフフフゥウ?」


 プレアデスは、こういう変な奴との付き合いに慣れてるんだろうか。ボクならこんなジジイとは1日たりとも一緒にいたくねえ。


 ヒンヤリとした空気の中、真っ直ぐに続く廊下を通って行く。豆電球のような明かりがぼんやりと光ってるだけで、廊下自体は薄暗い。


「このお部屋でぇぇえすぅ? グフフ」


 ジジイが壁のスイッチを押すと、音もなく扉が横に動いた。

 部屋の中は真っ暗で、かろうじて見えたのは大きなテーブルと、そのそばに並べられた5つのイス。そしてボロボロに欠けた床のタイルだ。

 訳の分からねえ虫がカサコソと音を立てて、そこかしこにうろついている。


「おいジジイ。明かりは無えのかよ。薄暗いしホコリ臭えし」

「あはぁ~? ここはぁ、誰にもぅ見つかってはぁいけぇない場所なのでぇーね。豆電球だけ点けまぁ〜す。クラァいですが、我慢してくだぁ~さいねぇ~? あ、お名前ぇを伺っても〜?」

「ゴマだ」

「ルナです……」


 テーブルの真ん中に、ぼんやりと光る1つの豆電球だけが点けられた。

 そこら中にガラクタが放置されていて、お世辞にも居心地がイイとは言えねえ部屋だ。

 ボクとルナは、テーブルのそばのイスに座らされた。

 全員が席に着いたところで、プルートはまた蚊の羽音のような声を出し始める。


「ではぁ~? ワタシのマシン【パルサー】に乗ってぇ地上へ至るまぁでの安全についての、説明をぉいたしぃます。ぃ命ぃぃに関わるぅ事柄なぁので、ゴマさん、ルナさん〜、しっかり~ぃ、メモをぅ、取ってくださぁい?」

「おう、メモって何だ」

「僕、字なんて書けないよ……」


 ルナと一緒に困っていると、プレアデスはカバンから書く物と紙を取り出した。


「僕がちゃんとメモしとくから。でも話は聞いててね、ゴマくん、ルナくん」


 

 プレアデスとルナは真剣にプルートのジジイの話を聞いてやがるが、やっぱり訛りのある話し方にイライラして、話が全く頭に入ってこねえ。

 それに歩きっぱなしだったから、睡魔ってヤツがジワジワとボクを襲ってきた。


「……て、……のう~? それを着けながら……あはぁー、飛行中は~、……ら、ベルトをぉぅぅしっかぁーり? 着けてぇ~……そ」

「兄ちゃん! 何寝てるの!」


 ルナの声がしたと思った途端、顔面に痛みが走った。ヒゲを思い切り引っ張りやがったんだ。


「痛えなコラ! ちゃんと聞いてらあよ」

「兄ちゃん、いびきかいてたじゃん!」

「ゴマくん、命に関わることだから、しっかり聞いといてよ」


 げ、プレアデスも少し怒ってやがる。

 だが、そんなこと言われてもこのジジイ、モタモタと話しやがるし声も蚊の羽音みてえだし、聞く気が失せるんだよ。


 そうこうしてるうちに、ジジイの説明は終わったみてえだ。結局、話の中身は全く頭に入ってねえ。


「それではぁ、今日はここでひと眠りしてぇ? それから出発しましょおう? プレアデスさんん、ゴマさんとルナさんをお部屋に案内してさしあげなさぁい?」


 次に案内された部屋も、やっぱり真っ暗だ。目を凝らしてみれば、ふかふかのクッションがあるのが分かる。

 プレアデスが明かりをつけた。ここも明かりは豆電球だ。

 部屋の広さは、さっきのテーブルの部屋とそう変わらねえみてえだ。ただ、ガラクタも無くて、隅々まで掃除もされていて、ホコリの匂いもねえ。

 水道もあるから、いつでも喉を潤せる。


「それじゃ、ひと眠りしたら出発するからね。おやすみ、ゴマくん、ルナくん」

「おう、待てプレアデス」

「なに?」

「地底のお日様……ナントカサンとやらがまた眩しく光り出したら朝だってことだよな? たしか」

「“セントラル・サン”だよ。……本当はもうとっくに明るくなってるはずの時間なんだけど……。とにかく、今はよく休んで」

「おう。また後でな」


 扉が閉められると、廊下に響くプレアデスの足音だけが聞こえた。

 

 ルナは大きなソファに横になるなり、すぐに寝っこけちまいやがった。

 知らねえ世界での知らねえ体験ばかりで、最初はちょっとワクワクしてたボクですら、今はもうヘトヘトなんだ。ルナ、疲れただろ? よく休んでくれ……。

 

 ボクは窓を開け、夜空を見上げてみた。

 真っ黒に染まる空にたった1つだけ、ひときわ輝く星が見える。

 あれが、昼間はお日様みたいにオレンジ色に輝いてた“セントラル・サン”のようだ。しばらく時間が経てば、また光り出すってことか。

 

 しかし、この世界で夜になってから、地下室を出発する前に1度ひと眠りしているはずなんだ。なのにその“セントラル・サン”とやらは、まだ一向に明るくなる気配が無え。

 この真っ黒な夜は、どれだけ続くんだろうか。

 プレアデスも何か変な事言ってたから気になったが、襲ってくる睡魔には勝てず、いつの間にか眠りに落ちてしまった。

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