13:男女の秘め事への好奇心
真っ暗で俺は何も見えなかったが、ベリルは夜目が利くようだった。
左側のサイドテーブルに置かれたベッドサイドランプを素早く点けた。
ベリルは淡いピンク色のネグリジェに、金色のガウンを羽織っていた。
ガウンの前は留められていなかったので、大きく開いたネグリジェの胸元は、サイドテーブルの柔らかい光を受け、白い肌がなまめかしく浮かび上がっていた。首元にはシルバーの鎖状のネックレスが、光を受けキラキラ輝いている。
「ベリル、どうしたんだ……?」
上半身を起こしながら尋ねた。
一方のベリルはベッドに腰を下ろした。
「拓海、お前に頼みたいことがある」
頼みたいこと……?
キョトンとする俺の顔から視線を逸らすと、ベリルはぽつり、ぽつりと話し出した。
「供物を召喚し、血を摂取すると、最初のひと噛みですぐに意識を失う。でも拓海、お前は意識を失わず、意識を保ったまま、魔力による快感を味わっていた……。つまり、とても心地よさそうな顔をしていた。……あんな表情を見るのは初めてだった。快楽を得た時の表情がどんなものか私は知らなかった。
だが今日、ブノワに血を吸われた時、初めて快感を体感した。あれは……なんというか、くすぐったいような、切ないような、名状し難い感覚だった。そしてお前の表情を見て、快感を実感した時、こんな表情になるのか、自分もこのような表情をするのかと驚愕した。と同時に、興味を持った」
全く予想外の話を始められ、俺の頭は混乱していた。
一体ベリルは何を言おうとしているんだ……?
「もう一度、あの表情を私に見せてはくれないだろうか?」
「……はあ?」
「他の者には頼むことはできぬ。拓海、お前だから頼んでいるのだ」
「え、えっと……」
「様々な学問を収めてきたが、この分野については……。学生の頃に保健体育の授業で習ったが、詳細がよく分からないのだ。すべてが手探り。ひとまず快感を得た時の表情、これを学習したい」
ベリルはそう言うとがしっと俺の腕を押さえ、もう一方の手で首を掴んだ。
ヴァンパイアの腕力はとても強かった。人間の俺でどうかすることはできなかった。
頭の中で「そんなこと学習するもんじゃないだろう!」と思ったが、それを口に出すことはできなかった。なぜなら、突然言われた提案に俺はイエスともノーとも答えていないのに、ベリルは既に俺の首に噛みついていたからだ。
激痛と同時に全身を駆け抜ける快感。
その瞬間、すべてがどうでもよくなっていた。
俺の表情が見たいというなら、好きなだけ見ればいい。
⁉
再びベリルが首元に顔を近づけたと思ったら、さらなる快感が全身に襲い掛かってきた。
な、なんなんだ、この気持ちの良さは……。
最初の一噛みを超える快感がもたらされていた。
思わず頬が緩んだ。
ベリルが真剣な表情で俺を見ていた。
俺は快楽の波にのまれ、目を閉じた。
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