11:両性の魅力を持った不思議な存在
前菜を食べながらベリルは、その場にいるメンバーの紹介をしてくれた。
と言ってもキャノスについてはスピネルから聞いていたし、知らないのはオレンジがかった赤髪ショートヘアの女性騎士だけだった。
そしてこの女騎士の名前はバーミリオンで、男みたいな名前に感じたが、それは思い違いではなかった。
バーミリオンの家、レンジ家はレッド家に代々仕える騎士の家系だ。ところが、バーミリオンの両親の間には4人の子供がいるが、4人ともすべて女子だった。
女でも騎士になれないことはないが、三騎士に選ばれるのは圧倒的に男が多い。
ちなみに三騎士というのは、貴族のヴァンパイアの護衛のための騎士のことで、ベリルの三騎士はヴァイオレット、キャノス、バーミリオンの三人だ。
騎士を輩出するレンジ家にとっての一番の名誉は、三騎士に選ばれること。
もし次期当主が女であれば、女騎士が三騎士に選ばれる可能性もある。だがその時、レッド家では長男のカーネリアンが生まれたばかりで、次期当主は彼になるとみんな思っていた。だから男子に恵まれなかったレンジ夫妻は、こうなったらと長女の名前をバーミリオンに改名し、男子として育てることにしたのだ。
その結果、見習い騎士としていち早くカーネリアンのそばに、バーミリオンは仕えることになった。正式な騎士となり、三騎士の一人に選ばれたバーミリオンは、カーネリアンに末永く仕えると思っていたら……、カーネリアンは魔女にさらわれてしまう。
これでバーミリオンはお役目御免となると思ったのだが……。
バーミリオンが実は女であると知ったロードクロサイトは、バーミリオンの父親になぜそのような偽装を行ったのかを尋ねた。そしてその理由がレンジ家としてレッド家にどうしても仕えたかったこと、次期当主のカーネリアンと守りたいという思いから行った偽装であると分かると、ロードクロサイトはレンジ家を不問に処した。さらに、ベリルの三騎士として、バーミリオンが仕えることを許可したのだという。
ベリルに仕えるのだから、もう女として生きて構わなかったが、バーミリオンは男らしくすることが抜けず、会話でも自分のことを「ボク」と言っていたし、仕草なども男っぽかった。それでいて甲冑をつけていても分かる豊かなバスト、ツンとしたヒップと、まさに両性の魅力を持った不思議な存在だった。
ちなみにベリル専属の三人の騎士は、その能力や武功から、第一騎士がヴァイオレット、第二騎士がキャノス、第三騎士がバーミリオンとなっている。そして今俺がいる部屋は、この三騎士や執事兼医師のスピネルが普段食事をする部屋であることも、この時の会話の中で知ることになった。
まだ身分が定まらない俺は、レッド家当主のロードクロサイトとその奥方と食事をすることはできなかった。






