表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/92

感謝してもしたりない

「今まで本当にありがとうございました」


タブレットに録画したダンナのメッセージと共に、ホームヘルパーさんとシッターさんに、契約の終了を告げた。


ダンナはもう仕事を辞めてたし、完全に<緩和ケア>に入ってたし、ちょうど、契約を更新するかどうかっていうタイミングでもあったから。


「残念ですけど、仕方ないですね……」


「……分かりました……」


この時点ではダンナはまだ生きてたこともあって<お悔み>はなくて、だけど二人ともとても残念そうだった。


特にシッターさんには、観音(かのん)の修学旅行の時にも、必要なもののダブルチェックをしてもらって、見落としてたものを指摘してもらったりってこともあったからね。


高校の時の修学旅行の準備はその時の失敗を教訓に、ちゃんとやった。なんとかやれた。


ホント、一応の<法律上の母親>のはずの私よりもよっぽど母親らしい人だったよ。


ホームヘルパーさんだって、彼女がいたからこの家もいっつも綺麗だったんだしさ。今よりずっと。


感謝してもしたりないくらい。


そんな二人も、今は他の家に派遣されてるって年賀状が届いたことがあった。


こうやっていろんな人に助けられながら生きてるんだって改めて実感するなあ。




そして、ダンナが亡くなってから五年。なんとか観音(かのん)と二人でやってこれた。


二人でアニメを見て、笑って、たくさん話して。時には泣いて。いろんな人生を垣間見てきた。


もちろんそれらはただの<作り物の人生>だけど、自分達のそれと重ね合わせて考えると、いろんなことを感じるんだ。いろんなことが学べると思うんだ。




私にとってのダンナ以上の男性に出逢える予感はまったくない。だから再婚なんて考えてもいない。再婚しない、男性に好かれる必要もない。だとしたら、別に、仕事の時に『保育士として』ちゃんとできてたらそれで何も問題ないよね。


昨今の社会情勢もあって、観音(かのん)と一緒に休日を家でだらだらと過ごしストレスを解消して、朝、化粧をして着替えて<保育士の顔>になって仕事に行く。


ダンナが亡くなってからも淡々と繰り返してきたことだ。


ダンナの病気のことで何度か休ませてもらったり忌引きをもらったりしたけど、幸い、退職を促されるようなことまではなかった。おかげで、今も仕事は続けられてる。


退職を匂わされたりしたら、辞めてもいいと覚悟してたんだけど、ちょっと拍子抜けだったかな。そんな職場ばかりじゃないってことだ。


ただ、同僚の保育士や園児の保護者には、ちょっと困った人がいるのも事実だけどね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ