たかがその程度で友達やめるとか
ただ、今回の件については、私が言わなくても、観音自身が、キツい言い方をしてしまったことを悔やんでる様子だった。
それもあって、しつこくお説教はしなかったんだ。
本人がすでに反省してるのに、そこにやいやい言うのは逆効果だしさ。
その上で、これでもし五月と真凛が遊びに来てくれなくなったとしても仕方ないと思ってた。
『たかがその程度で友達やめるとか、おかしい!』
って言うかもしれないけど、相手がどう受け取るのかを指図することはできないからね。それを指図しようと考えるのは、相手を人間として扱ってないってことだと私は思う。
自分が他人の思い通りにはなれないのと同じで、他人も自分の思い通りにはなってくれないんだ。
親として、観音にもそれを分かっていてもらわないといけないよ。
あの時、彼女が激昂してしまったのも、結局は、五月が自分の思い通りに振る舞ってくれなかったことに感情的になってしまったからだしね。
そこで感情的になってしまうと、相手も余計に意固地になってしまうことが多いと思う。人間同士のいざこざってやっぱりそういう形で起こるのが多いはずだしさ。
私の一言の後、観音は、「うん……」って頷きながら私にすがりついてきて。
そんな彼女を私は、そっと抱きしめて頭を撫でてあげたんだ。
こういう失敗を繰り返して、経験を積んで、人間は成長していくんだろうな。
なんて思ってたら、次に学校に行って五月と顔を合わせた時に、
「昨日はごめん……」
って謝って来てくれたから、観音も、
「私も言い過ぎた。ごめん……」
と返せて、あっさり仲直りできたって。
やっぱりお互いに非を認められるというのが、和解の近道なんだなと。
相手にばっかり一方的に非を押し付けるのは、拗れる原因だよね。
こっちが非を認めたからってそれにつけこんで一方的に責任を押しつけてくるような相手とは付き合いたくないからね。自分がそうだったら他人もそうなんだって理解しなきゃ。
観音がそれを理解してる子だから、五月も、彼女を失いたくなかったんだろうな。
だから謝ることができた。
確かにウェーイなタイプの子達とはノリが合わないかもしれないけど、観音は本当にいい子なんだよ。
「ねぇねぇお母さん! 五月と仲直りできたよ!」
私が仕事から帰ると、嬉しそうに、五月と仲直りできたことを報告してきた彼女は、ものすごくホッとした表情をしていた。
彼女にとっても、五月は、失いたくない友達だったんだろうな。家族以外で自分を認めてくれる数少ない相手だったしね。




