他人を傷付けようとする人より、癒してくれる人の方が
最近では、子供の友達が家に遊びに来ることを快く思わない親もいると聞く。
正直、私も、観音を大切にしてくれないような子だったら、来て欲しいとは思わない。ましてや、彼女のことを<金づる>だとか<自分の友達の数を水増しするための道具>程度にしか思ってないようなのは、付き合わない方がいいとさえ思う。
だけど、大上五月と藤波真凛は、そうじゃなかった。
二人とも、親が、
『あんまり友達とか連れてこないでね』
と口にするタイプだそうで、仕方なくうちに集まってるというのもあるんだとか。
それぞれ、<家庭の事情>というものもあるだろうから、その辺りについてはあまり口出ししないでおこうと思う。
だいたい、ここは元々は<ダンナと観音の家>であって、<私の家>じゃなかったわけだし。
まあ、今は確かに<私の家>でもあるけどさ。
シッターさんやヘルパーさんは、それこそ、口出しできる立場にないから、何も言わないみたいだ。
でも、だからこそ、
「お疲れさまです」
私は、事ある毎にそう声を掛けるようにしてる。
『金を払ってるんだから、気遣う必要とかない!』
みたいに言う人もいるみたいだけど、私はそういうの、好きじゃない。
『お客様は神様です』
とかいうのを拡大解釈してるようにしか思えないし。
何より、私自身が、<保育士>として給料を貰って働いてて、それで、
『金を払ってやってるんだから、すべてこっちの言いなりになれ!』
的な態度を、園児の保護者とかにされるとすごく嫌な気分になるんだから、それと同じだよ。
てか、コンビニバイトとかでも同じじゃないの? お客に横柄な態度取られたりしたら嫌でしょ? 逆に、気遣ってもらえたりしたら嬉しいでしょ? そういうことだよ。
ここ久遠家に来てるヘルパーさんとシッターさんは、元々、ダンナや観音に気遣ってもらえたり労ってもらえてたから働きやすかったみたいだけどね。
ホントにそういうことなんだと思う。
観音は、他人に対して横暴だったり横柄だったりしないんだ。確かに<ノリ>は普通とは違ってるのかもしれないけど、他人を見下したりってこともしないし、ノリがあどけない程度の何が問題なのか分からない。
大上五月と藤波真凛もそう思ってくれてるから、観音に癒されるんだろうな。
他人を傷付けようとする人より、癒してくれる人の方がいいに決まってる。
その方が結局は他人からも大切にしてもらえると思うんだ。
だからこそ私は、観音やダンナを愛せてるんだし。
他人を平気で傷付けられる人のどこがいいのか、私には分からない。
だって、いつ、どんな理由で、その矛先が自分に向くか分からないんだよ?




