表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/92

私だってなんでこんなに

役所に婚姻届と養子縁組届を出して三人で<家>に帰ると、


「おかえり、お母さん」


観音(かのん)が笑顔でそう言ってくれた。


「……ただいま……」


って応えたけど、そこでまた込み上げちゃってさ。


「なんだよ、お母さんってば、泣き虫だなあ」


笑われちゃった。


「うっさい…! 私だってなんでこんなに泣けてきちゃうのか分かんないんだよ!」


ついそんな風に言っちゃって。


するとそんな私と観音(かのん)を、彼が、穏やかに見守ってくれてた。




で、それから三ヶ月後、 改めて私と彼と観音(かのん)の三人だけで結婚式を 挙げたんだ。


盛大な 結婚式 なんて要らなかったからね。と言うか、本当は結婚式そのものも要らなかったんだけど、観音(かのん)がさ、


『お母さんの ウエディングドレス姿 見てみたいなぁ』


っ て言うからさ。『形に拘る』っていうよりも、とにかく観音(かのん)の要望に応えただけかな。


私と彼が式を挙げたそこは、教会が運営している小さな結婚式場で、私達がしたような小規模な結婚式を専門に執り行っている所だった。


そこで一番安いプランを選んだから、ウェディングドレスも、これまでにも何度もリースされた、最新の流行からは外れたものだったらしいけど、私自身その辺がよく分からなかったし、ドレス選びの時にそこにあったものの中で一番好みに合うシンプルなものを選んで着付けてもらった。


メイクの方も私にとってはすごくて、ここまでの人生の中で一番時間がかかった メイクだったと思う。


それくらい丁寧にしてくれて、鏡を見ると、もう完全に別人だった。私自身が見たことのない私がそこにいた。


だけど、私としてはそれが気恥ずかしくて、まともに見てられなかったけどね。


後から見返したら余裕で<黒歴史>ってのになりそうだなって正直思ったよ。


なんだかいたたまれなくて、


『今からでも中止して逃げ帰りたいな』


って考えてたら、


「お時間です」


って言われて、もう逃げられなくて、正直、十分に覚悟も決められないまま控え室から連れ出されちゃって式場に放り出されちゃった。


祭壇に立つ神父の前には、真っ白なタキシード姿の彼。


『これが馬子にも衣装ってやつかな』


とか思っちゃった。なんかもうバシッと決めちゃっててさ。私のことを優しい目で見てるんだよ。


私の方は 係の女性に促されて<ウエディングロード>?を歩かされて。いやはや、マジで<公開処刑>ってやつだと思った。二度と経験したいとは思わなかったよ。


参列者の席には 観音(かのん)の姿。そしたらまた、私の ウエディングドレス 姿を見た彼女が、


「綺麗だよ、お母さん」


って 。いやいや! 恥ずかしくって死ねるってこんなの! 


これって結局、ただの<見世物>だよね!?


私にはそうとしか感じられなかった。


ま、嬉しくなかったわけじゃないけどさ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ