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自分達と違う

どうして人間は、自分と違っているものを蔑まずにいられないんだろう。見下さずにいられないんだろう。貶めずにいられないんだろう。


どうして人間は、自分が持っていないものを持っている相手を妬まずにいられないんだろう。足を引っ張らずにいられないだろう。


自分と違っている相手を蔑んでも見下しても貶めても、


自分が持っていないものを持っている相手を妬んでも足を引っ張っても、


自分が幸せになれるわけじゃないのに。


それとも、自分が幸せじゃないから幸せそうな相手を自分と同じところまで引きずり落とすことで『自分だけが辛いわけじゃない』とでも、思いたいんだろうか。


だから、


『人間なんてどこまでも愚かな生き物だから滅んでしまえばいい』


と考えるのが出てくるのかな。アニメの悪役とかには、そういうの多いよね。


だけどさ、全員がそうじゃないっていう現実から目を逸らしている時点で、自分も、その<愚かな人間>と同じだということにも、どうして気付けないんだろう。


愚かな人間と同じものが愚かな人間を裁こうなんて、本当にとんだ思い上がりだよね。




低学年の頃は、教室でイルカの真似をしたりして、みんなを楽しませたりして、そこそこ人気者だった観音(かのん)だけど、五年生になる頃には、彼女のそういうノリは、<子供っぽい>として、周りからは冷めた目で見られるようになっていったみたい。


特に、一部の男子からは、


『イルカ人間www』


『バカイルカwww』


みたいに呼ばれてしつこくからかわれるようになったそうだ。そしてその頃から観音(かのん)は、積極的に他の子と関わらなくなっていったらしい。


観音(かのん)は元々は、決してコミュ障とかではなかった。むしろわりと知らない人にでも初めて顔を合わす人にでも平気で話しかけるタイプだった。


なのに、彼女のそういう物怖じしないところが『子供っぽい』と評されるようになり、バカにされるようになっていったみたい。


本当にどういうことなんだろう。彼女はただ朗らかで明るくて、みんなを楽しませたいと思っていただけなのに。誰のことも傷付けるつもりなんかなかったはずなのに、ただ『自分達と違う』というだけで、周りは、彼女を貶めるようになっていた。


そしてそれは、とてもいつもとても楽しそうにしていた彼女に対する妬みもあったみたいだね。


自分達は、いつも誰かを蔑んで見下して貶めて笑いものにすることで笑っているのに、観音(かのん)の笑顔はそういうのとは違っているというのを、感じ取っていたみたいだね。だからそんな風に穏やかな笑顔を浮かべられる観音(かのん)のことが妬ましかったんだろうな。



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