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第9話:冒険者登録①

王国に足を踏み入れると、そこには今までの殺風景な森とは全然違う賑やかな街が広がっていた。


目の前にある看板には、大きな文字で「ストラの街へようこそ!」と書いてある。


俺が周りを見渡していると、左の方から焼き鳥の様な香ばしい匂いが漂ってきた。


どうやら屋台でおばさんが鶏の唐揚げを売っているみたいだ。思わず匂いの元へと足が動いてしまう。


「お!そこの坊や、食べていくかい?この唐揚げはジューシーで美味しいよ~」


「生憎とお金を持っていないんだ。さすがに無料で貰う訳にはいかないよ」


そこで俺のお腹がグーと鳴った。


「……」


「ははっ。いいよいいよ。今回は無料で」


「さすがにそういう訳には……」


「まあまあ、今回はおまけさ。ほら、どうぞ。熱いから気を付けて食べるんだよ」


「ありがとう。感謝するよ」


おばさんと別れて、俺は唐揚げにかぶりついた。


「……美味いな」


やっぱり自分が作るよりも人に作って貰う方が美味しく感じる。直ぐに食べきってしまった。


ここのおばさんが売っていた唐揚げは想像以上に美味かった。無料で食べさせてもらったお礼も兼ねて、もっと多くの人に食べてもらいたい。


俺はそう思い、おばさんの屋台から漂う唐揚げの匂いを風魔法を使って()()()()の範囲まで拡散させる。


……もっとも、アインにとっての()()()()は王国中に唐揚げの匂いを漂わせる程であるが。


アインが食べた唐揚げは大人気となり、屋台はグルメガイドにも掲載される程の名店になるのだが、この時のアインは知る由もない。





これからどうするかだが、俺はお金を持っていない。《創造》でお金を作ることも可能だが、この世界の貨幣価値が乱れるので止めておいた方がいいな。


そこで登場するのが……ギルドという訳だ。ギルドに登録すれば依頼を達成することで簡単にお金を稼げる。ストラは冒険者の街らしいので、冒険者ギルドに登録するのがいいだろう。


近くにいたお兄さんに道を尋ねる。


「すみません」


「ん?何だい?」


「冒険者ギルドはどこにありますか?」


「えーと、あそこに曲がり角があるだろう?あそこを曲がって突き当たりまで行けば冒険者ギルドの看板が見えてくるさ」


「ありがとうございます」


お兄さんに言われた通りに歩くと、約5分くらいで冒険者ギルドが見えてきた。


扉をそっと開けると、酒の匂いがぷんぷんしてきた。前方には数人の酔った中年冒険者集団がいる。


俺は酔った冒険者集団を掻き分けて受付に向かった。受付にはニコニコと微笑んだキレイな女性が立っている。


女性は俺の格好を見て少し驚いた顔をしたが、直ぐに元の笑顔を浮かべて優しい声色で声をかけてくる。


「こんにちは。何か依頼でもあるのかな?」


「冒険者登録をしたいんだけど……」


「えっと、ボクは何歳かな?」


「9歳()()()だけど……もしかして登録できない?」


お姉さんは少し訝しげな顔をしたが、また元の表情へと戻る。


「冒険者ギルドに年齢制限は無いけど、試験を受ける必要があるからボクには……」


「ああ、そういうことか。それなら大丈夫だから。試験を受けさせてもらうよ」


お姉さんは少し心配そうな顔をする。すると後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。


「ガハハ。こんなガキが冒険者だって?無理だよ、無理。ゴブリンに殺られるのがオチだろうよ」


どうやら酔った中年冒険者集団の内の一人のようだ。とてもガタイが良く、いかにも筋肉鍛えてます感がでている。


俺はその冒険者の言葉に少しイラッとした。俺の見る限り、この冒険者は筋肉は鍛えているものの見た目に反してそこまで強くない。


もし死魔の森の魔物と闘ったら、速攻死ぬだろう。そんな程度の人間に何故そこまで言われなくてはいけないのか。いくらこの冒険者が酔っているとはいえ、聞いていて気分の良いものではない。


俺はほんの少しのーー勿論人間にとっては少しではないーー殺気を込めて男を睨む。


さすがに無関係の人達を巻き込むのは悪いので、他の冒険者達には感じ取られないよう、男にのみ殺気を込める。


すると男は「ヒイッ!」とその見た目からは想像もつかないような声をあげて尻餅をついた。完全に酔いが醒めた様で、顔は青ざめている。


その様子に他の冒険者達は

「ただ子供に睨まれたくらいで何を怯えているのか」と笑っていたが、この場で二人だけ、アインの異様さに気がついた。


一人は先程アインの殺気を浴びた張本人である冒険者……ラガーだ。ラガーは未だにアイン相手にビクビクと震えている。


そしてもう一人は、たまたまその場に居合わせた、ストラの冒険者ギルドのギルド長であるステザリフである。


ステザリフはギルド長だが、昔は冒険者として活動しており、その冒険者ランクはSと、国内屈指の冒険者であった。


だからこそアインがラガーに送った殺気を僅かながらも感じ、その殺気の量、そして濃密さに目を見開いた。


もしかするとこの少年は自分と同等……いや、自分を超える程の実力者かもしれない。


アインの異様さに気が付いた二人は全く同じことを考えた。




ーーこの少年は子供の皮を被った化け物だ、とーー

閲覧、ありがとうございました。

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