今後の戦略
最近、キャラの台詞が少ないです・・・・・
真珠湾攻撃に参加した日本海軍、海自の艦隊は合流し、内地へと帰還しようとしていた頃。第一機動部隊旗艦[大淀]艦内達哉に割り当てられた部屋で一人、机に置かれた資料を見ながら考えていた。
真珠湾攻撃が成功し、太平洋艦隊は壊滅した。
これで最低一年は米軍による反攻作戦は起こらないだろう。
この一年は優勢に戦え早期講和夢ではない。すでに皇軍は忠実以上の速さで南方に進出。英東洋艦隊との海戦であるマレー沖海戦は金剛型四隻と英戦艦[プリンスオブウェールズ][レパルス]と戦い、勝利を掴んだ。
史実では航空機による攻撃だったが航空機が戦艦に対しても有効であることを隠すために航空機では戦艦の補助にしかならず海戦の勝敗は戦艦同士の戦いで決まるように仕立てた。
真珠湾攻撃の時、出撃した太平洋艦隊に対しても戦艦で攻撃した理由もこれだった。
コタバルに上陸した部隊が今シンガポールへ進撃中。
来年には蘭印へ進撃して資源、特に石油を確保することになっている。今のところ順調に作戦は進んでいる。
だが油断はできない。まだ空母が[エンタープライズ][サラトガ][ホーネット][ヨークタウン][ワスプ]の五隻が残っている。
これをなんとかしなければ、ミッドウェーのように主力を一挙に失い、戦線は崩壊。忠実同様の敗戦となる。
史実では太平洋艦隊司令官がキンメルからチェスター・ニミッツに代わり彼は空母と残存艦を使い各方面に進出していた日本軍に対してゲリラ攻撃を仕掛け米軍の準備が整うまでの時間稼ぎをする。
これが行われるのが42年2月1日からのこと。
最初はマーシャル・ギルバード諸島を攻撃。次にラバウルだったがこれは日本の哨戒機に発見され航空機による空襲を受ける。
この海戦をニューギニア沖海戦と呼び、日本側の戦果はゼロ。
理由として出た航空隊はゼ新編成されたばかりで魚雷が無く、さらに増槽が無かったために護衛機を付けることがてきず、空母艦載機と対空砲火によりほぼ壊滅してしまった。
大戦果を上げた米軍だったが位置を特定されてしまい、ラバウル攻撃を諦め撤退。
その後、ウェーク島や南鳥島を空襲して、4月18日あの東京初空襲が行われる。
早期に空母を撃滅するには初空襲までが望ましい。しかし蘭印攻略とインド洋通商破壊作戦のことを考えるとかなり難しい。
インド洋通商破壊作戦は忠実ではヒトラーからさんざん要請されていたが海軍が消極的だったためにあまり行われず、英国はインド・オーストラリアから補給を受けることができた。
日本からしてみればあまり関係無さそうに見えるがそうでもない。
インド洋通商破壊を行えばオーストラリアは完全に孤立、英国はインド・オーストラリアからの補給を受けられなくなりヨーロッパ戦に大きな影響になりえる。
さらに英国支配が弱まればインド独立も高まる。これを阻止するには講和もしくは休戦を結ぶしかない。
つまり英国との早期終戦は十分可能となる。
対英講和を優先して考えるといくら自衛軍が加わって海軍が増強されていても空母撃滅のための戦力が足りない。
初空襲の後で空母撃滅の機会は珊瑚海海戦とミッドウェー海戦。
できればミッドウェーまでに空母を減らしたいのでもう珊瑚海海戦しか残っていない。
初空襲で出される空母は[エンタープライズ][ホーネット]の二隻、珊瑚海海戦は[ヨークタウン][レキシントン]の二隻。
すでに[レキシントン]は沈めているから[サラトガ][ワスプ]とどちらかが導入されるだろう。
達哉はどうするかと考えながら資料のページをめくり新たなページに書かれている文を読んで「忘れてた・・・・・」と頭を悩ませた。
そこに書かれていたのは改正両洋艦隊法だった。
米国は40年7月に第四次海軍拡張法 別名両洋艦隊法を可決。
日本連合艦隊に匹敵する艦隊を保有するというものであった。
となるのが忠実だったがこの世界では39年10月に可決されて内容はノースカロライナ級、サウスダコタ級、アイオワ級建造が中心でインデペンデンス級と巡洋艦や駆逐艦を少しずつ建造するものでモンタナ級建造が無くエセックス級も入っていなかった。
41年8月に一部改正された。
改正内容はモンタナ級戦艦五隻建造、インデペンデンス級などの空母を建造しつつエセックス級空母建造と護衛の巡洋艦、駆逐艦の大量建造となった。
それはさておき最初の計画で建造していたインデペンデンス級三隻が半年後に実戦に送り込まれるだろうとの予測が資料に書かれていた。
この資料、総力戦研究所からの報告書は高確率で当たる。
史実でも開戦前から日本の敗戦を結論付けていた。
達哉はこの報告書を参考に連合国の動きをよそうしている。
さてなんで未来知識があるのにこのようなものが必要になるのか、それは単純にこの世界が達哉たちが知る歴史と異なり始めているからだ。
そのもっともな原因が自分たち漂流者であるのは間違いないだろう。
コンッコンッ
ノックされて「どうぞ」というと下士官が入ってきた。
「防衛省からの連絡です」
「読んでくれ」
「発防衛省、宛矢野達哉特務参謀
米政府ハ早期休戦ヲ拒否セリ
です」
「わかった。ありがとう」
礼を言うと下士官は出ていった。
それを見送るとため息を突いて天井を見上げる。
やはりか米国は負けた状態で休戦さえも結ぶ気はないらしい。
だがそれもいつまで続くか、政府としては勝利を掴むまで戦おうとするだろう。しかし世論はどうだろうか、世論は戦争に反対している。今回は日本が米国に宣戦布告したから戦争することになったが世論が講和休戦を望めば政府も受け入れなければならない。
さて世論をどう講和休戦に向けるか、浮かんだ案は三つ。
一つ目は米軍に多大な損害と大量の戦死者を出させる方法。
これは非人道的に思える部分があるから却下。
二つ目は捕虜を使い世論にこちらの講和の意思があることを広めてもらう方法。これにはビラを米国内に撒く方法も含まれる。
これは一部を除いて捕虜は返還中。ビラは準備中である。
三つ目は史実でも行われた米本土攻撃。
これが一番効果的だろう。実際数発の14センチ砲の砲弾で市民が混乱し内陸へ疎開する人が増えたとか。ついでに日本軍が上陸してくるのではないかという噂も出たとか。
やはりするのは二と三だな。
とりあえずそう考えていた達哉。
その頃米西海岸沖の海中に連合艦隊司令長官山本五十六の指令により伊号潜水艦数隻が待機していた。
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