アフター②
「東京の連続変死事件ですか。いやぁー、怖い怖い。何が怖いって、きっと記憶とか記録が改竄されているということですよ」
七三分けのサラリーマン風の男性がカフェで1人の女性と、護衛のような威圧感を見せる、ロシア人の男と一緒に話していた。
「心当たりがあるんじゃないですか?ミス麗子。私とダーリヤさんが、こうして駆けつけたんですよ」
「あら、伊賀さん。私はこんなチンケな事に興味は沸きませんことを知らないのですか?」
コーヒーを飲み、酉は愛想よく伊賀を無視してダーリヤの方に笑顔を向けた。
「ね。ダーリヤさん。私はそんなことしませんよね?」
「無論だ。麗子ならよりオゾマシイ事をする」
「ほらー、言ってくれますわ。伊賀さん、あなたはもう少し人を見る目を持って欲しいですわ」
「化け物の目は持ち合わせておりませんので、申し訳ないです」
和やかな会話の内容ではなかった。
しかも、このカフェ。よく見るとお互いの護衛達が客に混じって潜んでいた。
「麗子。このことについて知っている事を話せ。君は伊賀が怒ることをしているかもしれない」
「うーん。何を話せばいいか……別に出会っただけだし」
可愛らしく悩む姿の酉と、セールスマンが見せる妖しさ満天の笑顔を放つ伊賀。
「私の知り合いの、そのさらに知り合いの、さらに知り合いの弟さんが自殺したらしいんですよ」
「君、カンケーないね」
「彼を調べた結果、辿り着いたのがモデルのシィエラ・レイストルという人だったので、本心を探った結果。私達の協力者にも、向こうの協力者にもならないと判断して戦わせただけ。それだけですよ」
一回出会っただけでシィエラの全貌を見抜き、刺激して、広嶋を殺害しようと考えていた酉。
報告を聞いて伊賀は溜め息をもらした。
「いけませんね。せめて、私に連絡をください。誰でも社蓄とするのが私の役割です」
「どのみち、使い様がありませんでしたわ。私なりに上手くやった方ですわ」
「戦場から言って、藤砂や裏切などの手の者だとは分かっている。麗子の判断も妥当だろう。伊賀、退くぞ」
「ええ。ゲームクリエイターより、私はマフィアのボス。ダーリヤさんにいたってはロシアの大統領のようなものですから。暇じゃないんです」
酉を軽蔑する言葉を笑顔で吐き捨てる伊賀と、目標に専念しようとするダーリヤに酉は
「そうよね。あんた等、ラブ・スプリングや藤砂達、天草達の鵜飼組に勝てないと話にならないもんね。人材集めや、鍛錬に集中したいお気持ちが分かりますわ。えー、とっても」
挑発の言葉に、伊賀は指パッチンを行った。
すると周囲にいた人達の動きが止まり、ゆっくりと冷たい視線を酉に向けたのだった。心無く、命令さえもらえれば酉を殺そうとする意志。
「もしですが。私はね、藤砂くんやミムラちゃん、裏切ちゃんなどの人材が手の内に入ったら、あなたなんか捨てます。ただの代わりでしかないことをいい加減自覚して欲しいです。雇われの身ですよ?」
伊賀が指一つ動かせばコーヒーを優雅に飲んでいる酉に、全ての人間が襲っただろう。
本体に力がなくとも人を用いることで圧倒的な戦力を保有する、伊賀 吉峰。
「……今のはかつてと判断し、受け取ろう。私を倒せるのはいない。数、強さ、勝利…………貴様等にそれらがあったとしても、この俺を超える事はできんぞ」
そして、地球上現最強の"超人"。"魔天"と評されるダーリヤ・レジリフト=アッガイマン。
「あなた達に期待はしてますわ」
最後に、謎の魅力を持つ酉麗子。何も能力を持たないはずの彼女だが、それとは反する何かを秘めている。
シィエラの死亡は確かに多くの世界で影響を与えていた。彼女が望まずとも、欲しているところはいくつもあった。
しかし、それも風と時と共に過ぎ去っていく。
こんなこともあったよねっという感じ、彼女は消えていく。
ただ1人だけは覚えて……。
「シィエラ。お前が俺達と来るならここまで元気に来れたのにな」
綺麗に切り取り、大切に保管されたシィエラの頭。広嶋は彼女を持ってきて、佐世保の海を見せていた。海を見た事あるか訊いとけば良かったと思っていた。
無念の顔が少しだけ和らいでいるように広嶋には見えた。
「東京に帰ったら、墓くらい作ってやる」
一通り、彼女に景色を見せてから周りにはバレないようにひっそりと閉まった。
「ホラー!広嶋くーん!こっちこっち」
「コラー!泳げ広嶋!何しに佐世保に来たと思っている!」
「広嶋様ー!泳ぎを教えてください!この裏切、泳げません(嘘)!」
「のんちゃんも待ってます!」
ギャーギャー騒ぐ女の群れ。結局、佐世保までやってきた人数は30人を超えるほどであった。どっかのバスツアーかと感じるほどだ。
しかも、そのほとんどが"超人"という人間の持ち主。ミムラと灯の知り合いのほとんどがどこかがおかしい。
「お前が来て欲しかったよ、シィエラ。俺はあいつ等の平和ボケ過ぎるノリが嫌いだ」
広嶋は残念ながら彼女の死を思っていた。
それだけ彼女を広嶋は認めていたから、一緒に来て欲しかった。この平和の場所まで。
ノリで書いてみました。
色々、まぁいいや。
恥ずかしい事がいろいろとありますが、好きで書いているのでこんなので良いと思います。
酉やダーリヤ、裏切、アシズムなどのキャラは凄く前から自分の中にいるキャラなので出しました。この中で一番の古参は広嶋で、彼が主役級で活躍する話を初めて投稿しました。(この作品は、広嶋、シィエラ、立早の3人を主人公格として書いています。)
広嶋以外にも彼等の話をまた書きたい。アフターの2話は自分だけ楽しんで書きました。マジで書きたくなった。
とりあえず、応募のために執筆しましたが、性格的に絶対に応募は合わないとやはり確信しました。気分が向いたら書こうという気持ちになりました。自分が楽しく書かなきゃダメだわ。そもそも期限がアウトなんよね。ネーミングにかなり悩んだ結果この様というのもあります。
無駄名努力。……その名の通り、無駄な努力。まさに負け犬共が陥る相応しい状況。
シィエラの"陸困花"は時間をかければ全世界の人々を殺したんじゃないかと思いますが、空や海にはきっと咲かないので生存できる場所もあることでしょう。近づくことが困難なだけでも相当だと思います。
広嶋や立早と比べると、やや地味で在り来たりになりましたし、やられ方も少々強引になってしまったのですが、落石で死亡するよりかはマシだと思いました。
この手の話しだとやっぱり、基礎能力が関わるとしか言えませんし、広嶋とシィエラの能力じゃ矛盾状態なので決着自体はこういった相討ちだと思います。
広嶋も述べてますが、運が良かったので生き延びただけです。
かなりの難産となった作品ですが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
こう、……ありがとうございます。言葉は上手くないので、ありがとうございます。




