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私が頑張るとみんな死んじゃいますわ  作者: 孤独
VS神魔八英傑編
20/57

魔法少女になりたい呪い

広嶋健吾、殺害人数1人。

X76、殺害人数1人。

川城昇、殺害人数2人。(テンバーもわずかながら関与)



神魔八英傑は残り4名。単なる偶然であったが、4名は最後の標的と対峙していた。



「魔法少女になりたい…………」


4人共、頭を強く地面に打ち付けるべきだ。即刻、ヤレ。



「大きくなったら魔法少女になる」

「マジカルルンルンルン」

「へ~んしん、魔女っ子!!」

「あたちは世界を救う魔法少女!タントちゃん!」



見る者に強烈な吐き気を与える台詞と、変身ポーズや着けていないのに、スカートを弄る仕草などの行動をとる4人達。

1人はただの醜いおばちゃん、1人は四人の中でもっとも若い女性であるが、少女には無理があるだろ。ミニスカートを穿いて自慢できない容姿でもある。残りの2人はすでに性別でアウト。男の娘にすらなれない醜い親父共が魔法少女になりたいと言うなんて、吐き気しかわかない。

頭の病院も逃げ出す精神病。


「私は魔法少女になる!命を賭けて、修行するもん!!」

「頑張れば何でもできるもん!私が魔法少女だから!」



おうえぇぇっ。げえぇっ。おっぷ。



「できないことはないんだから!」

「努力って素敵!可能性が無限大だよ!」



ダメだ。吐く事が止まらない。

滑稽じゃない。見苦しくて、汚くて、目を瞑りたい。金払ってでも追い出したい。

自分の幻想は天使がくれるご馳走に感じても、他人から見ればゴミを食べているとしか思われない。

夢が作る相反。



「あら~、素敵な夢ね~」



現実が自分の幻想に追いついた時、自分がゴミを食べている事を知る。それに深く絶望する。頭を強く掻き毟り、首に手の痕がつくほど握り締め、握った刃物で皮膚を剥いている。敏感な舌を指で引っ張りたくなる。

心が丁度堕ちる場所は現実と幻想の中間地。どっちを向いても人が見える。見えるだけで近づくことに恐怖する。同時に愛しく感じる。



「けど努力をもっとしなくちゃ、夢は叶わないわよ」



4人の感情を破壊したのはシィエラ。

彼女の強さは天上に近いというのに、さらに高みに来ようとしていた。

今まではあらゆる力を削り、シィエラに近づくまでに消え失せるという一点だけだった。しかし、彼女は自分の力の根本が"努力"にあるともう一度実感した。

等価交換を使い、新たに生み出した精神拷問。



どんなになっても努力し続けられる……が、必ず無駄になる絶望。



「気持ち悪いわー、本気で魔法少女になるなんて。おバカさんにも程あるわ」



彼等の壊れた精神がやっているのは成長しようとする努力ではない。

努力してれば必ず報われるんだという、希望の話しか聞いた事がない輩がやる行為。

冷静になれば……。いや、常識的に考えればだ。自分の不可能は気付くだろう?無理なんだって。

そのリミッターを壊される。



「頑張ってなりなさい」



努力し続けられるというのは一種の才能とも言われる。

努力がもたらす成功や勝利、名誉など、心が躍る出来事と出会えば努力に集中できるだろう。

しかし、成功や勝利、名誉などを浴びずに育つことができる努力の主なエネルギーは妄想と快楽である。何ゆえ、継続に楽しさが湧くか考えれば単純だった。

自分にはこれができるという自信。自分が成長できるという、言葉不要の娯楽が努力というモノである。

人生は自分を壊すための遊びに過ぎない。



「シィエラ、なにしてんだよ。さっさと殺せよ」

「広嶋君。遅かったわね、もうここは片付いたわよ」



広嶋がここに駆けつけた。

シィエラの言葉通り、確かに戦闘は終わっていた。だが、4人共生かされている。


「手を出しちゃダメ。モテる私に会いに来た人達なんだから、私が相手にするのよ」

「あまり人のことを言えないが、気色悪い能力だ」



広嶋は手を下さない。しかし、見ているとイライラしか湧かない。

性格は多少似ているが、趣向はまったく違うようだ。

邪神が笑っている面でシィエラは努力を狂わせた1人の顔を踏みつけ始めた。広嶋やいずれここに来る連中をお客様として考えているのか、ショーをお見せする。


「ホラホラ!さっきの恥ずかしい言葉をみんなに言ってやりなさい!」

「ふぁ、ふぁ」

「夢なんでしょ!?それに向かって努力してるんでしょ!?恥ずかしいんじゃー、夢と言えないでしょ!?」

「ふぁい!」



まるで、小学校に書いた文集の音読会。全員、耳と目を閉じ、首に手を当てよう。



「あたしの夢は魔法少女になる事でーーーす!」


あの。その。ね。

君はきっと、住んでいる世界が絶対違うと思う。努力が報われるとか、それ以前のお話。



「シューアークをこの世から抹殺するもん!」



醜悪なのがテメェだよ。どこの世界の化け物の名称だよ。幼女向けの戦隊番組にもなれねぇ。それと清楚純情系に値する魔法少女が抹殺という言葉を口にしてはいけない。


「恥ずかしい子ねー。そんな心意気で魔法少女やれるの?」


現実を見ていないことを口走る、行うというのが努力を表す。

これは例外に入るのかもしれないが、自分が何かになろうとするのは一度現実を放棄しなければ夢を掴む覚悟は生まれない。


「まずは下着から変えなさい!地味過ぎるわ!」

「は、はい!」


現実を捨てるほどの覚悟は時に危うい。

夢に向かうというのは自分の希望を振り撒くことでもある。そこにつけこんで、他者がお金や快楽を奪い取ろうとするのは当然であった。



「魔法少女はパンチラから始まるのよ!空飛んだ時、男の子に見てもらわないといけないからね!」


なるほど、シィエラの言うことには納得だ。まずは下着から考えるべきだった。

このようにエセで不確かな情報を流し込めば人は信じたりもする。それだけ今の頭は衰えているのだ。



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