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私が頑張るとみんな死んじゃいますわ  作者: 孤独
VS神魔八英傑編
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VS神魔八英傑戦②

広嶋とX76が速やかに始末し、残りは6人。

各々、別のルートから街へと侵入しており、出会った人間に襲い掛かって命を奪っていた。こいつ等とまとも以上に戦えるのはこの世界では4人だけであった。



「商売あがったりです」

「テンバーさん!」

「皆さん、隠れていてください」


戦闘におけるまともというのは、熱い拳のぶつかり合いのようなものか。

戦争におけるまともというのは、先ほどX76が使った非人道的な兵器を使う事を指すのかもしれない。

しかし、テンバーは自ら戦闘向きではないと肯定するほど、まともな戦闘手段をとらない。

まともって何?



「強さに興味はないんですが。こーゆう時、商人は便利なんですよ」


相手がどんなに強かろうが関係ない。暗殺率100%にして、絶対に足跡を残さない。

相手を一度でも視認し、名前を知る事、能力の発動中は対象者の10km内にテンバーが存在すること。

テンバーは作り上げた仲間達を自分から離れさせ、隠れさせた。それは彼等を守る目的ではなく、自分の能力を他人に知られたくないからだ。X76とは違うが、彼もまた人を人のようには扱わないのだ。


テンバーの掌に、魔力で作り出された本が現れる。



テンバー・ギル・ワイステン

スタイル:魔術

スタイル名:歴史偉人本

詳細:

対象者の現在からその先にテキトーに起こる未来が描かれている小説本。栞より前のページを読むと過去が分かる。テンバーがその本を読んでいき、最終まで読み切ると対象者は絶対に死亡する。ただし、ページは常に増えていくため必死に読まないと追いつけず、飛ばし読みもできない。

対象者を変更する際、創った本を破棄しなければいけない。



能力の発動条件を満たす難度の高さ、完全な暗殺をこなせても時間がかかり、見つかれば即終了、相手が複数いるだけでも極めて不利。

元の世界では敵国のスパイとして活動した彼は戦闘力より、情報の入手にこの能力を使い評価をもらっていた。相手の過去を覗くことに必死になる必要がないからだ。



「………………」


対象者の1km内で黙々と本を読むテンバー。集中すると、無言になってしまい周囲に気を配れない。

不自然なところは何もない。まさか、本の中に自分の過去と未来が書かれているとは誰も思わない。

また、対象者は最後のページまで読み切ると死ぬといっても、テンバーはその死因を知るだけに過ぎないだろう。

読んでいけばどう死ぬかが分かる時もある。


「!……川城」



対象者が対峙した相手を知った瞬間。そこから先を読むことは止めた。残りページも少ない。

別の相手の情報を知ろうと、本を製作した。



「君を知っている」


川城は出会った相手に言葉を送る。親しいわけではないが、顔は覚えている。話しかけたのは数回ほど。


「確か数週間前に来た人だね。死んでしまったか。そっちは辛いか?」


完全装備の川城。しかし、川城は相手が所持している未知の装備が自分を上回ることに気付いている。

未確認の相手には慎重さをみせる。

意志を立早に奪われ、NPCとなって自分と対峙する。そして、自分は彼を倒さなくてはいけない。今まで倒した連中も、元人間だ。

悲しいという気持ちを一瞬だけ見せる弱さ。



「妻に、子供に、私は会わなければいけない」



強さというボーダーを調整できる川城の底は分からない。強さランキングなどあくまで指標。あれが最弱なのかもしれないし、最強なのかもしれない。

剥き出しにする威圧感や闘志は死闘に強く呼応するが、戦いに熱くなる必要はない。


非情で冷静な対応で仕留める。

相手の装備が自分を上回るというなら、剥ぎ取るという野蛮な事(倒したらするけど)はとらない。相手の武器を利用することだけに集中する。



「私は昔、なんで足し算を覚えるのか。疑問に思ったことがある」



立早の装備は確かにチート性能。



「なんてことはなかった。引き算と掛け算、割り算を覚えられないからだ」


しかし、それらをキチンと扱える器量がない。

強者と強者のぶつかり合いは必ずしも所持する武器の性能差で決まるわけではない。攻撃力2500の《鬼剣・蠍殺し丸》を握る手首を川城は掴んだ。その結果に辿り着くまでに一太刀か二太刀、避けて握っている。触れれば致命傷であるにも関わらずにだ。

剣を振り回して当たれば苦労しない、時に避け、時に防御され、時に攻撃される。



「君にこの剣は荷が重かろう?」



また防御とは迫り来る衝撃だけを防ぐだけだろうか?鎧という装備は誰が考えたのだろうか?

いきなり命を一撃で消すことはできない。ろうそくの火を息で消せるほど、強者の命は優しくない。時に厳しく襲っている。

掴んだ後、すぐに地面に叩きつける一本背負いを行う川城。

鎧や盾を装備しても、防げない攻撃だ。そもそも防具の防御力は曖昧過ぎる。

川城の狙いはまず、相手の命ではなく。相手の握る、《鬼剣・蠍殺し丸》


相手は背中を強打された後、自然と剣が手から離れた。



「この武器なら君の鎧も貫けるようだ」



剣を取り上げる川城。言葉のとおり、実行するのかと思いきや。近くで心配そうに見守っていてくれた人間に投げ渡した。



「君が使うと良い。パンパン」

「ええっ!?か、川城さん!」

「私は剣が嫌いなんだ。それに君の装備じゃこれから先が思いやられる。まともな装備をした方が良い」

「このチート装備は川城さんやX76さんが身に付けた方がいいですよ!見合ってます!」

「おいおい、私はX76と違って武器と防具の装備は一つずつが限界だよ」



武器を奪い取るのはまだ楽な方である。川城は武器を奪った相手に告げる。



「自分から脱いでくれないか、手荒な真似はもうしたくない」

「ふおおぉぉっ!な、なんか別の意味に聞こえます!」


パンパンが両手をあげて驚く言葉である。

武器をとられては抵抗する術はない。しかし、立早の命令は絶対であり、川城には何も通じないお粗末なビンタだけを繰り出すのだった。それに残念がる顔をみせ、仕方なく川城は相手の命を奪う事にした。

そして、川城は手にした武器と防具のチート装備の一式をパンパンに譲った。


パンパン。

武器、《鬼剣・蠍殺し丸》 攻撃力2500 形状 剣

防具、《鯨の如く》 防御力2600 形状 鎧




「私もそこらへんで手に入れてくるよ」

「え?」

「敵がもう1人やってくるようだ」



川城はまたやってきた神魔八英傑の1人とすぐに戦い、先ほどと同様に武器と防具を奪い取って装備した。

これにより川城も大幅に強くなってしまったのだ。


川城昇。

武器、《暗黒騎士の魔槍・グングニル》 攻撃力2600 形状 槍

防具、《大雨具龍文字》 防御力2100 形状 合羽



「川城さんは槍が好きなんです」

「ああ。相手を突くことが得意だからな」

「えっ…………」

「?」

「い、いやその……突くのが好きなんですか」

「ああ。刺せば一撃で逝かせられるからな」

「…………会話が少し…………その」

「?」




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