最終回 【 第60話】救世主の帰還。そして、幸福な物語の始まり。
最終回をご覧いただき、誠にありがとうございます。
不遇な「魔力タンク」としての追放から始まり、世界の守護神、そして一人の人間としての幸福へ。
アルスの歩んできた道は、皆様の応援によって、これ以上ない最高のエンディングに辿り着くことができました。
最後まで彼を信じてくださり、本当にありがとうございました。
無限に続く、光の回廊。
そこは時間の流れさえも止まった、神々の領域よりもさらに深い場所。
俺は、どこまでも澄み渡るその中心で、ゆっくりと目を覚ました。
肩が軽い。心が温かい。
かつて俺を締め付けていた「誰かのための魔力」は、もう俺を縛る鎖ではなく、俺を支える優しさに変わっていた。
「……アルス様。お目覚めですか?」
聞き覚えのある、愛おしい声。
顔を上げると、そこにはリアナが、シルフィアが、ルナリスが、そしてセレスティーヌがいた。
みんな、俺が最も愛した、あの幸せな頃の姿のままで。
「ああ。……ずいぶんと長い間、眠っていたような気がするよ」
「お疲れ様でした、アルス様。……貴方が守り抜いた世界は、今も貴方の優しさを糧に、美しく回っています。……もう、何も心配いりません」
リアナが俺の手を取り、立ち上がらせてくれる。
ふと、遠い下界の方角を見つめる。
そこには、かつて俺を「無能」と呼び、泥の中に突き落とした者たちの残滓は、もう欠片も残っていなかった。
彼らがいたことさえも、俺の記憶からは淡い霧のように消え去っている。
恨みさえも残らない、完全な決別。
それが、俺が世界を丸ごと「肩代わり」して救った後に残った、唯一の、そして最高の静寂だった。
「さあ、行きましょう。みんな、アルス様との新しい生活を楽しみに待っているんですから!」
ルナリスが俺の腕に抱きつき、シルフィアが隣で凛とした微笑みを浮かべる。
俺の前には、どこまでも続く黄金の草原が広がっていた。
誰の身代わりでもない。
誰の道具でもない。
俺自身の意志で、大好きな人たちと、大好きな場所へ。
救世主アルスの伝説は、ここで一度幕を閉じる。
けれど、ただの青年アルスの幸福な物語は、ここから永遠に続いていくのだ。
「――うん、行こう。みんなと一緒に」
俺は一歩、光の中に踏み出した。
その顔には、かつて一度も見せたことのない、太陽のような満面の笑みが浮かんでいた。
これにて、『「無能の君にはもうついていけない」と聖女に追放された俺、実は【全魔法のコストを肩代わり】していただけだった。』、全60話をもって完結となります。
ここまで完走できたのは、一重に読者の皆様が灯してくださった「星」と「ブックマーク」という名の光があったからです。
アルスは今、皆様のおかげで、物語の向こう側で最高の幸せを噛み締めています。
もし「最高の結末だった!」「アルスにお疲れ様と言いたい!」と思ってくださったら、
最後の仕上げとして、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、この物語に完結の祝福をいただければ幸いです。
皆様と過ごしたこの時間は、私にとっても最高の宝物です。
またどこか、別の物語でお会いしましょう。
本当に、本当にありがとうございました!




