第58話:数百年後の聖域。語り継がれる「名もなき献身」。
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アルスがいなくなった後の、彼が遺した「未来」の物語です。
誰かのために尽くした時間は、数百年経っても色褪せることなく、世界の形そのものを変えてしまいました。
彼の献身は、本物の「神話」となったのです。
賢者アルスが空へ還り、数百年。
世界はかつてないほどの安定と調和の中にあった。
かつてのハルバート領は、今や全大陸の聖都として知られ、そこにはあらゆる種族が手を取り合って暮らす理想郷が完成していた。
街の中央に建つ黄金の像は、長い年月を経てもなお、汚れ一つなく輝き続けている。
「……ねえ、おじいちゃん。このアルス様って、どうしてこんなに優しそうな顔をしてるの?」
像を見上げる幼い少女が、老齢の歴史家へと問いかける。老人は目を細め、かつての神話に思いを馳せるように答えた。
「それはね、このお方が、世界中の誰もが嫌がった『重荷』を、たった一人で、笑顔で引き受けてくださったからだよ。自分のためじゃなく、君のような子供たちが、お腹を空かせずに笑える未来のためにね」
今や、魔法は「奪い合うための武力」ではなく、「補い合うための慈愛」として定着していた。
アルスが示した『肩代わり』という精神は、魔導の根幹となり、強い者が弱い者を支え、持てる者が持たざる者を助けるという、世界の「当たり前」へと書き換えられていた。
一方で、歴史の教科書には、どこを探しても「聖女エルザ」や、かつての仲間たちの名は記されていない。
ただ、一行だけ、こう記されている。
『賢者アルスの傍らには、かつて彼を理解せぬ者たちもいたが、その影は彼の放つ光によって、静かに、そして完全に浄化された』
憎しみすらも残さず、ただ平和だけを遺して。
アルスが命を懸けて守り抜いた「優しさの理」は、数百年経った今も、世界を優しく抱きしめ続けていた。
丘の上では、かつてアルスが愛した花々が風に揺れている。
その花びらの一片一片に、彼の優しい魔力が今も宿っているかのように。
数百年後の世界でも、アルスの意志は人々の心の中に生き続けています。
対照的に、名前すら消え去った旧パーティー。この静かなる完結が、物語の真実を物語っています。
完結まで残りわずか。アルスの魂がたどり着いた場所を、最後まで一緒に見届けてください!
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