第52話:救世主のプロポーズ。俺の隣を、一生預かってくれないか。
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ついにアルスが、自分を支えてくれた女性たち全員への誓いを行いました。
誰かのために身を削る「肩代わり」から、誰かと共に歩む「共有」へ。
アルスの心が真の救済を迎えた瞬間です。
ハルバート領の夜は、アルスの魔力が灯す柔らかな光に包まれていた。
かつて孤独に耐え、泥を啜っていた青年は今、領主館の最上階にあるバルコニーで、自分を信じ抜いてくれた女性たちと向き合っていた。
「……みんな。俺、ずっと考えていたんだ。俺がここまで来られたのは、俺の力じゃない。君たちが、俺の心を支えてくれたからなんだ」
シルフィア王女、女神ルナリス、エルフの女王セレスティーヌ、そしてリアナ。
立場も種族も違う彼女たちが、今はただ一人の女性として、熱い視線を俺に向けている。
「アルス殿。貴殿が何を言わんとしているか、分かっているつもりだ。……私たちは、最初からその覚悟で貴殿の傍にいる」
シルフィアが代表して、静かに一歩前に出た。
俺は深く息を吸い、彼女たち全員の手を包み込むように取った。
「俺は不器用で、いまだに自分の価値なんてよく分かっていないかもしれない。……でも、これからの俺の人生は、君たちを幸せにするために使いたいんだ。俺の隣を、一生預かってくれないか」
その言葉が響いた瞬間、ルナリスは涙を流して俺の胸に飛び込み、リアナは顔を覆って泣き崩れた。
世界を救い、神にまで昇り詰めた男が、最後に求めたのは「家族」という名の、ささやかで絶対的な愛だった。
一方、王都の場外。
壊れた荷車の下で夜露を凌いでいたエルザたちは、夜空に打ち上がった祝福の魔力花火を見上げていた。
「……あ。……あぁ……」
エルザは、かつてアルスが自分に贈ろうとしていた、安いけれど心のこもった指輪を思い出していた。
当時は「安物」と罵り、目の前で踏み潰した、あの愛。
今、アルスの隣に並び、世界中の祝福を受けているのは、自分ではない。
自分が泥に投げ捨てたはずの愛が、今や世界で最も尊い絆となり、自分とは一生交わることのない天上の光として輝いている。
エルザは震える手で泥を握りしめ、二度と戻らない幸せの残滓を胸に、暗闇の中でただ一晩中、むせび泣くことしかできなかった。
領主館のテラスでは、祝福の音楽がいつまでも響き渡っていた。
俺は大切な人たちの温もりを感じながら、初めて「生まれてきて良かった」と、心からそう思うことができた。
最高の幸福を手に入れたアルス。
彼が守り抜いた世界が、今度は彼と彼の愛する人たちを祝福しています。
物語はいよいよ、真の完結へと向かう最終盤です。
皆様のこれまでの【★★★★★】評価、そしてブックマークという応援が、アルスをここまで幸せな場所へと導いてくれました。
彼の伝説が完成するその時まで、ぜひ一緒に走り抜けてください!
よろしくお願いいたします!




