第23話:隣国の商会長、聖域の豊かさに商機を見出す。
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アルスが「普通」だと思っていることが、世間では「奇跡」として扱われる。
その認識のズレが、さらなる豊かさを領地にもたらしていきます。
ハルバート領の特産品を保管している倉庫にて、俺はリアナと共に在庫の確認を行っていた。
「アルス様、この『霊水リンゴ』ですが……あまりに育ちが良すぎて、王都の市場価格ではもはや計算が合わない状況です。一つで金貨数枚の価値があると鑑定されました」
「……ただのリンゴなんだけどな。魔力を少し流すと、みんなこれくらい大きくなるだろう?」
俺が苦笑いしながら手に取ったリンゴは、宝石のように輝き、部屋中に芳醇な香りを漂わせている。
そこへ、青ざめた顔の門番が、一人の男を連れてやってきた。
大陸全土に網を広げる『ガルド商会』の会長、ボニス。
金にがめついことで有名な彼が、俺の前に跪き、額を床に擦り付けんばかりの勢いで叫んだ。
「アルス男爵! お願いです、この領地の果実……いや、この『神の恵み』を我が商会で独占的に扱わせてください! 利益の九割を差し上げても構いません!」
ボニスは、倉庫に並ぶ果実や野菜を見ただけで、それが一国の経済を揺るがすほどの価値があることを見抜いていた。
アルスにとっては「日々の食事」に過ぎないものが、商人の目には「国家予算並みの宝」に映っているのだ。
一方、王都の片隅。
鉱山での過酷な労働の合間、エルザたちは配給された泥まみれの芋を、三人で分け合ってかじっていた。
「……ねえ、エルザ。さっき聞いたんだけど……アルスの領地のリンゴ、一つで私たちが一生働いても稼げない額で売れるらしいわよ」
ミレーヌの虚ろな言葉に、エルザは手に持っていた芋を握りつぶした。
かつて、アルスが「これ、美味しいよ」と笑顔で差し出していた果実。
当時は「そんな安物いらない」と投げ捨てていたそれが、今や自分たちの命を繋ぐために必要な、全財産よりも価値のあるものになっていた。
「……あはは。嘘よ、そんなの嘘に決まってるわ……。あいつが、そんな……」
エルザは笑いながら涙を流し、冷たい地面に崩れ落ちた。
彼女たちの知らぬ間に、アルスの生み出す価値は、もはや人の理解を越える領域へと達していた。
商会長すら平伏させるハルバート領の豊穣。
アルスの魔力は、ただ破壊するだけでなく、世界を潤す力としても完成しつつあります。
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