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「よし、今日の練習はこれくらいにするか」










「ウッス!!」










「気をつけ!レイ!アラッシタ!」












バッティング練習が終わる頃には、石原ら既にいつものテンションに戻っていた。

地獄は夜の9時を回っていた。

石原はスタスタと静かにグラウンドを後にし、それでも残った殆どの部員たちは自主練習を始めた。これが安室高校野球部にとっての、ひとつの慣習になりつつあった。








ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!






ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!







ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!











ベンチ入りの資格を得るために皆必死だ。

大半の部員たちが日付が終わるまで各自自主練習をした後、今日からの31日間は1人の例外もなく、野球部寮に戻る。幸い空き部屋がいくつかあるので、特別に金串ら通学組も泊めてもらえる事になったのだ。











「金串ぃ、俺の部屋こいよ、涼しいで」












「おう、矢澤。ていうか、エアコンの温度、下げすぎだろ(笑)」












「ははは、まぁ、入り入り」











安室高校野球部寮は、なんと部員ひとりにつきひとりの部屋が用意されている。












「なぁ、金串、今朝はすまんな、俺のせいで」













「いや、別に関係ないよ、矢澤は。そんな事よりも不甲斐ないよ、自分に対してね。せっかく俺を選んでくれた御木本さんに申し訳ない」











せやんな、と、考え込んだ後、再び矢澤は口を開く。













「でもさ、俺、金串がいくら完璧にやってても、石原監督は同じようにキャプテンをクビにしてたと思うで」











「えっ」











あからさまに驚きの声にうん、と反応し、矢澤は持論を展開する。













「監督は、御木本から与えられたっていう気持ちよりも自発的にチームを仕切る金串になってもらいたいんやないかなって。その為にさ、あんな事言うたんやろ」












監督も悔しかってんなー、なんて言いながら、矢澤は椅子に座り、机の上に広がっていたいかがわしい雑誌を広げる。

おそらく、真面目な空気に耐えられなくなったのだろう。実に矢澤らしい。

金串は矢澤の言葉が自然と腑に落ちた。たしかに、自分がチームを引っ張る、そういった心意気が安室高校野球部にとって必要不可欠なのだ。












「ありがとうな。矢澤」













「ん?この雑誌か?あげねえよ!」












「ちげえよバカヤロ!」











そう言って2人は、寝るまで無邪気にじゃれあっていた。しかし、合宿の1日目の夜は、矢澤のおかげでしっかりと意味のあるものななった。

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