第98話 暗号解読
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2
「アマデウスの謎」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
前回までのあらすじ
2008年。
リナ、そして父親の魁斗が、謎の組織に狙われた。
イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。
2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾と共に誘拐犯を追うリナ。
2人は黒幕が警視庁捜査官の藤岡である事を突きとめるが、彼等のアジトで捕まってしまう。藤岡はリナに、ウィーン大学のサーバに侵入すれば、家族を解放するともちかけた。
一方慎吾は、藤岡に自白剤を注射された直後に心停止してしまう。
リナは父親のセキュリティをついに突破し、藤岡からは慎吾が生きている事を告げられた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第98話 暗号解読
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2012年12月21日(金)、0時49分。目黒基地内。
藤岡「君は・・・ 知っているんだろ?」
リナ「・・・ ・・・」
藤岡「彼氏がまだ・・・
生きているって事を・・・?」
そう言うと藤岡は・・・リナの目の前に、破れた紙包みを放り投げた。
リナ「・・・ ・・・」
藤岡「そしてそれを知っているという事はもちろん・・・」
リナ「・・・ ・・・」
・・・ ・・・。
数時間前。
リナ「・・・ ・・・」
とある一室。藤岡に【大学のサーバに侵入する】というミッションを与えられていたリナ。行き詰まったかに思えたが・・・
574A7-2-17B-6-99F26B4452-79B-3-1B77847-2
5-194DA-99-3BF06BF2DF5B488ACF0-6E-4F066
06-20AC23-63F0B06F57E9F3AADEC-43719-9-8
-4-47-A8-4C-4-19-96B8C-41D82-278-305-D7
-1-93A9-1B-863-249-75BA-84-98-51AB-4-C5
4CF1-6B-67-3-2-7593F08-A0D0129-3-1-523-1
-942-AA-6541-2-1-90697B ・・・
リナ「・・・ ・・・」
母親に届いた、ハドリアンズ・ウォールをくぐり抜けたメール。そして、殴り書きしたモーツァルトの【K.545】のスコア(楽譜)。
リナ「・・・ ・・・」
その両方を交互に見つめながら、リナは頭の中で何かを高速で計算する。
(リナ「この曲が・・・ 暗号を解くキー・・・
どんな複雑なコードなんだろう・・・」)
最初はそう思っていた。
(リナ「暗号解読に必要なのは・・・
まずは対応だけど・・・。いったい・・・」)
果たしてリミット内に間に合うのかと思ったが・・・
リナ「・・・ ・・・」
あっさりとそれを解く術を見いだした。
(リナ「五線譜第1線(1番下の線)・・・つまり【レ】を【0】に。
そして音階順に【ミ】を【1】、【ファ】を【2】・・・
中央の【ド】は、【-1】に変換・・・
とても単純な変換だけど、これで・・・」)
中央の【ド】=【-1】、以下
【レ】=【0】、【ミ】=【1】、【ファ】=【2】、【ソ】=【3】
【ラ】=【4】、【シ】=【5】、高音の【ド】=【6】 ・・・ ・・・
となる。この対応なら、【K.545】の最初の5小節
ドミソシドレドラソドソファミファミラシドレミファソラソファミレドシラ
は・・・
最初の高音の【ド】を【6】と変換し・・・
6 8 10 5 6 7 6 11 10 13 10 9 8 9 8
4 5 6 7 8 9 10 11 10 9 8 7 6 5 4 ・・・
と30個の数字に変換される。
そして、ハドリアンズ・ウォールをくぐり抜けてきたメールの1行目。
574A7-2-17B-6-99F26B4452-79B-3-1B77847
これを
5 7 4 A 7 -2 -1 7 B -6 -9 9 F 2 6 B 4 4 5 2 -7 9 B -3 -1 B 7 7 8 4 7
31個の数字として捉える。アルファベットは16進数として考える。
【A】=【10】、【B】=【11】、【C】=【12】
【D】=【13】、【E】=【14】、【F】=【15】
リナは元々、アルファベットを16進数として覚えていたため、結果それがそのまま使えるわけだ。
そうすればメールの1行目は全て数字として
5 7 4 10 7 -2 -1 7 11 -6 -9 9 15 2 6
11 4 4 5 2 -7 9 11 -3 -1 11 7 7 8 4 7 ・・・
となる。
(リナ「あとは・・・ スコアから得られた数列と・・・
足すだけで・・・」)
スコアから得られた数列。
6 8 10 5 6 7 6 11 10 13 10 9 8 9 8
4 5 6 7 8 9 10 11 10 9 8 7 6 5 4 ・・・
そして、ハドリアンズ・ウォールをくぐり抜けたメールから得た数列。
5 7 4 10 7 -2 -1 7 11 -6 -9 9 15 2 6
11 4 4 5 2 -7 9 11 -3 -1 11 7 7 8 4 7 ・・・
これらを単純に足せば・・・
11 15 14 15 13 5 5 18 21 7 1 18 23 11 14
15 9 10 12 10 2 19 22 7 8 19 14 13 13 8 ・・・
あとはこれを、これまた単純なアルファベット列・・・つまり
【A】=【1】、【B】=【2】、【C】=【3】・・・【Z】=【26】
として照らし合わせれば・・・
最初の【11】は【K】、【15】は【O】、【14】=【N】・・・
以下
【15】=【O】、【13】=【M】、【5】=【E】、【5】=【E】
【18】=【R】、【21】=【U】、【7】=【G】、【1】=【A】
【18】=【R】、【23】=【W】、【11】=【K】、【14】=【N】
【15】=【O】、【9】=【I】、【10】=【J】、【12】=【L】・・・
KONOMEERUGARWKNOIJL・・・
(リナ「ローマ字読みで、【このめええるが】と読めるけど・・・
そこから先が意味不明・・・」)
壁にぶつかった。
(リナ「偶然で、【このメールが】と読めるには確率が低すぎる。
方向はあってる。あと一ひねりあれば・・・」)
リナはメールの最初の1行が、モーツァルトの楽譜の1行目・・・すなわち最初の5小節がマッチしていると考え・・・
(リナ「アルファベットは26文字。
16進数1つと、スコアの数字だけでは・・・
全ては表せない。ならば・・・」)
リナはローマ字読みが意味不明になる部分に対応する、メールの部分を凝視する。
リナ「・・・ ・・・」
いくつか組合せを考えた結果・・・
(リナ「あった! 【F】と【2】を【F2】と捉えればいい!
16進数表示じゃないけど・・・
単純に15+2=17で置き換えれば・・・」)
5 7 4 A 7 -2 -1 7 B -6 -9 9 F2 6 B 4 4 5 2 -7 9 B -3 -1 B 7 7 8 4 7
【F】と【2】を【15】と【2】でなく、【F2】として【17】と捉える。そうして、再び暗号解読を試みると・・・
スコアから得られた数列。
6 8 10 5 6 7 6 11 10 13 10 9 8 9 8
4 5 6 7 8 9 10 11 10 9 8 7 6 5 4 ・・・
そして、ハドリアンズ・ウォールをくぐり抜けたメールから得た数列。
5 7 4 10 7 -2 -1 7 11 -6 -9 9 17 6 11
4 4 5 2 -7 9 11 -3 -1 11 7 7 8 4 7 ・・・
修正後に和を取った数列は
11 15 14 15 13 5 5 18 21 7 1 18 25 15 19
8 9 11 9 1 18 21 8 9 20 15 14 14 9 11 ・・・
さらにアルファベットに変換すれば・・・
KONOMEERUGARYOS
HIKIARUHITONNIK ・・・
ローマ字読みで【このメールが良識ある人に・・・】
(リナ「読める・・・ 変なローマ字もあるけど・・・
読める・・・」)
ノートパソコンで解読プログラムを作れば・・・リナなら1分で出来るだろう。しかしパソコンは、藤岡に管理されている。
リナ「・・・ ・・・」
リナは全て暗算で、暗号の解読を行う。多少読みづらいところはるものの・・・アルファベットをローマ字読みする事が出来た。
リナ「・・・ ・・・」
約1時間・・・ リナは全ての解読に成功した。
(リナ「解読法自体は・・・ けして難しいものではなかった」)
そう。このメール暗号は・・・ 送信者が解読して欲しいとの思いから、単純な数値変換で解読できるメールだった。しかし、それを解こうとする者は、大きな責任を背負うことになるのだが・・・
リナ「・・・ ・・・」
その暗号の示す内容は・・・
【このメールが良識ある人に解読される事を祈る 私は】
その先を読み・・・
リナは涙をこぼした。
【私は羽鳥魁斗 中国のスパイに拉致されていた】
【おそらく日本では死亡したと報道されているだろう】 ・・・ ・・・
・・・ ・・・。
12月21日(金)、0時49分。
藤岡「君は・・・ 知っているんだろ?」
リナ「・・・ ・・・」
藤岡「彼氏がまだ・・・
生きているって事を・・・?」
そう言うと藤岡は・・・リナの目の前に、破れた紙包みを放り投げた。
リナ「・・・ ・・・」
藤岡「そしてそれを知っているという事はもちろん・・・」
リナ「・・・ ・・・」
藤岡「父親である羽鳥教授・・・彼が生きている事も知っているわけだ?」
リナ「・・・ ・・・」
リナは時計をじっと見つめ、【その時】を待っていた。
(第99話へ続く)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回予告
父親の魁斗が生きていた。
藤岡に捕らえられる前、魁斗は自分のセキュリティウォールを・・・
くぐり抜けられる、たった1つのワームホールを用意していた。
リナ、父親の魁斗・・・ そして彼等を結びつけたのは・・・
次回 「 第99話 コンタクト 」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




