27本目
辺境都市アンドリュースに腰を据えて、1ヶ月が経とうとしている。
今日も冒険者ギルドに併設されている酒場で俺専用ソファーに女の子達を侍らせている。
右手には僧侶見習いから見習いが取れたソフィア、左手には此方も見習いを卒業して魔法士となったレベッカ。
そして、俺の足にしなだれるはジュリアン。
これで終わりだと思ったか?まだいくぜ。
ソファーの後ろから抱き付くのは最近入ったばかりの新人受付孃のイリスだ。
最早、自由に身動きがとれないんだぜ。
しかし、これがモテるということなのだろう。
俺はひとつの悟りに至ったような気がする。
さて、こんなにも余裕をかましているには理由がある。
俺の成長ぶりが順調なのだ。
とりあえず、見てもらおうか。
名前:アガト
属性:《無》
職業:魔弓士『Lv:0/100』
SP:96
STR:1140
VIT:880
INT:790
MND:690
DEX:690
AGI:880
LUK:390
《スキル》
1.『弓術Lv:10/10』
2.『風魔法Lv:9/10』
3.『火魔法Lv:9/10』
4.『水魔法Lv:9/10』
5.『土魔法Lv:3/10』
6.『体術Lv:8/10』
7.『無魔法Lv:9/10』
8.『クリティカルLv:10/10』
9.『夜空の魔眼Lv:―』
10.『健康体Lv:10/10』
11.『無限収納』
どうだ?また更に成長しただろう。
そして、特筆すべきはやはり、レベルが10になった弓術だろう。
これで討伐の効率が飛躍的にあがる。
次は増えたスキル欄。
これは先日に行われた月間討伐数発表会にて見事ぶっちぎりで1位なり、その副賞でスキル欄が増えるポーションをゲットしたのだ。
貰えるのは1回きりではあるが必要なことにはかわりない。
後は魔法戦士・弓聖・拳聖をカンストさせている。
次の目的の為にはまだまだチカラが足りないがこの都市では俺に敵う奴はもういないだろう。
左手でレベッカの張りのある太ももをなでながら、右手でジュリアンの髪を撫でる。
まさに至福のひととき。
なのに俺の至福を邪魔する奴等が現れた。
そいつらはこの辺境に溢れる冒険者達とは違い、チャラついた雰囲気を漂わせており、明らかに都会から来た冒険者達だと思う。
実力の方もその身のこなしからして上級冒険者と思われる。
パーティーメンバーは全部で5人。男が3人に女が2人。装備からして前衛2、後衛3とさほどバランスも悪くない。
その中のひとり、リーダーと思われる男が酒場を見渡し、知り合いを見つけたのか近寄ってくる。
「来るのが遅くなって悪かったな」
話しかけている相手は俺の下僕である下僕A。ひょっとしたらBだったかもしれない。
「そ、そんなことないですぅ・・・」
男のくせにキョドるわ、声が尻すぼみだわ、変な下僕だと思っていると新参冒険者が暴露してくれた。
「それで俺達に躾ほしいって言う調子に乗ってるクソ生意気なアガトとかいうガキはどいつだ?」
明らかに俺を見ながら言ってやがる。
それにしても、下僕A君はなかなか面白い事をしてくれるぜ。
下僕Aを見てみれば、青褪めた顔をしているが今更手遅れだ。
「もう、わかってんだろ?俺がアガトだよ」
「ほう、やっぱりな」
ほう、やっぱりな。真似してバカにしていると話は進むようだ。
「ガキのクセに昼間から女を侍らせやがって、手紙に書いたあった通り、お灸を据えた方がよさそうだな」
上から目線が気に入らない。にやにや顔が気持ち悪い。これは殺るしかないな。
「見たところ、大道芸人みたいだけど、お前らごときが俺に何をするって?あぁん?」
「てめぇっ!?・・・」
パーティーメンバーも刺激されたのか武器に手をかける。
しかし、空気を読まない急使がギルド内に飛び込んできた。
「た、大変だぁー!!オークの大軍勢が攻めてきやがったぞっ!」
オークの襲撃など、ここ辺境都市アンドリュースではテンプレである。
他の奴らも同じことを思ったのかツッコミを入れているが急使には通じなかった。
「ち、違うんだっ!いつもの襲撃なんかよりもとんでもない数が来てるんだっ!」
皆が事態を理解すると同時にいつもよりも激しい警鐘が鳴り響く。
「ちょうど良い。おいっ!売れない大道芸人共!討伐数で勝負しようじゃないか?」
「なんだとっ!てめぇ、今何つった!?」
「討伐数で勝負って、言ったんだよ。耳も悪いのか?」
耳以外は特に顔と頭が悪そうだ。
「くっ!・・・いいだろう。ただし、俺が勝ったらお前には奴隷落ちしてもらうぜ、くっくっく」
「いいぜ。むしろ、そっちはパーティーの合計でも構わないんだぜ」
「ガキがぁその大言、今更引っ込めるんじゃねぇぞ!」
5人はそれぞれ俺を睨みつけるとギルドを出ていった。
さて、俺も向かうかな。
だがその前に・・・。
「おいっ!下僕A、待て!」
俺の呼び掛けに肩を震わせて止まる下僕A。
俺はゆっくりと下僕Aの肩に手を置くと笑顔で言う。
「お前には後でO・HA・NA・SIがある」
膝から崩れ落ちる下僕を置き去りに絶対に負けない戦いへと向かうのであった。




