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たいして読まれないだろうしタイトルなくてもいいよね  作者: くろのわーる
田舎の村編

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12/37

12本目



 父不在の為、1人で森に通うようになり、10日が経った。


 そして、この10日間の間になんと俺には新しい下僕が出来ました。

 まあ、もともと弟という名の下僕はいたんだけど、もっと従順なのが出来ました。


 だいたいわかっているとは思うけど、例の森狼フォレストウルフです。はい。


 初めは気まぐれで与えていた肉だったが与えるようになってから10日が経った今日、奴は森の入り口で座り、威嚇もなしに俺を待っていた。

 初めはエサ欲しさに俺を待っているのだと思い、ゴブリン肉を与えてからいつも通り森に入ったのだがどうやら違った。

 そう俺の後に付いてきたのだ。


 そこでこいつ仲間にして欲しいんだなと勘の良い俺はピンときたのと同時にこいつは人をる眼がないんだなと悟ったが聖人のような俺は早速、下僕足り得るのか、また不意に襲われてはたまらないのでこいつの従順度を測る為に色々なことを命じた。


 まずは基本のお手から始め、次はゴブリンの骨を投げては取りに行かせ、ほんとに服従しているのか仰向けにして腹の上に足を置いてみたり、逆立ちで木に登れと命じてみたり、焼きそばパン買ってこいと命じてみた。


 残念ながら後半の命令を果すことが出来なかったので服従具合はイマイチだが厳しく教育していけば良いだろう。

 それに俺にはこの先、肉壁が必要になることもあるだろうし、犬を連れているとより狩人っぽい気がしたから飼うことにした。


 我ながらふところの深さに震えてくる。


 そんな下僕だが村に着いて早々に問題を起こした。

 森狼である下僕の姿を見た村人達が驚いたのだ。


 ここは田舎の村、驚く村人達を無視してはどんな変な噂を立てられるかわかったものではないのできちんと説明しておく。


「この森狼フォレストウルフは俺の威光に平伏して下僕になりました。ついでにあなた方もなりませんか?」


 なんだろうかこの詐欺を働く偽教祖を見るような目は・・・。みんなつぶれてしまえ。


 家に着くと母さんが開口一番、『元の場所に返してきなさい』という。


 これだから大人は困る。


「代わりにカイトを捨てるからこいつを飼ったらだめ?」


 子供特有の可愛さをアピールしつつ、お願いしてみたのだがええ、そりゃあこれでもかってくらい殴られました。殴られている間、家の隅でカイトと森狼が抱き合って震えているのが印象的だったな。


 そんな二人の仲睦まじい姿を見て、母も改心したのか結局は飼うことを許してくれた。


 この事に弟のカイトも一緒に喜んでくれて何かと森狼を構うので俺は心良く世話係りに任命し、早速小汚ない森狼を洗うよう命令して行かせた。


 そんな事をしていると10日ぶりに父が帰ってきた。


「父さん、おかえり」

「おお、ただいまっ!?ってお前その顔どうしたんだ!?」


「ちょっと、母さんにね・・・」

「そ、そうか・・・お前もほどほどにしておけよ」


 父との10日ぶりの会話をしてくると声を聞き付けた母が奥から顔を出す。


 母さんは父を労り、亡くなった人達の家族は見つかったのか聞いている。


「その事なんだがアガト、お前も一緒に聞きなさい」


 父に言われ、3人でテーブルを囲む。


 父は遺族を捜すために2つ向こうの村ちょうど今いる村から森を挟んだ反対の村まで足を延ばしたらしい。しかし、結果から言うと見つけられなかった。

 それもそのはず、森の反対側の村はゴブリン達に襲撃されて壊滅していたそうだ。


 父が言うには今回、見つけた女性達は恐らく壊滅した村の人間ではないかとのこと。


「せめて彼女達は故郷である村に埋葬してあげたいと思う。そこでだ。アガト、悪いが俺と一緒に彼女達を運んでくれないか?」


 流石に人でなしな俺でも断るのを躊躇う案件なので了承しておいた。


「悪いな。助かる」

「別に良いよ」

「それで普通に村へ向かうと時間が掛かるから今回は森を突っ切る予定だ。その覚悟だけはしておけよ」


 これはこっちの人生で初めての遠出になりそうだ。




◇◇◇





「ただいま~、にぃちゃんこいつ洗ってきたよ~。あっ!父さんだ!」


 俺の言い付け通り、森狼を洗濯してきた弟は父を見るなり、笑顔で父の胸に飛び込んでいた。


 父は「カイト、ただいま」なんて言いながら弟が連れてきた森狼をめっちゃ見ている。


「カイト、この森狼はどうしたんだ?」


「ん?こいつ?にぃちゃんが拾ってきたよ」


 弟の言葉に父がどういうことか説明しろと目で訴えてくる。


「たまたま森で見かけて例のゴブリンの処理を手伝わせてたら懐かれた。以上」


「非常に簡潔だが事情はわかった。森狼を連れているのは珍しくはあるが猟犬を連れた狩人もいるからこいつも役に立つんじゃないか」


 母とは違い、なかなかに理解のある父だ。


「ところでこの森狼には名前をつけていないのか?」


 そういえば、まだ名前をつけていないことに気付き、考えてから思い付いた名前を言う。


「こいつの名前は今日から『肉壁』にする」


「そうか、なんだか聞き慣れない名前だが良いじゃないか」


 突っ込まれることを想定していたのに受け入れられたよ。おい!


「わー!にっくかべ!にっくかべ!」


 どうやらこの世界では『肉壁』の意味が通じなかったみたいだ。・・・まあ、良いか。


「新しい家族の名前も決まったことだし、ご飯にしましょうね」


 カイトが嫌いな野菜を肉壁に食べさせようとして両親から怒られ、初めての夕飯はなかなかに賑やかだった。



 夜、明日の準備の為に弓の手入れやらステータスの確認を行う。



名前:アガト

属性:《無》

職業:弓士見習い『Lv:0/20』

SP:22


STR:80

VIT:80

INT:80

MND:80

DEX:80

AGI:140

LUK:80


《スキル》

1.『弓術Lv:6/10』

2.『索敵Lv:5/10』

3.『隠密Lv:5/10』

4.『解体Lv:6/10』

5.『体術Lv:3/10』

6.『回復Lv:3/10』

7.『無魔法Lv:5/10』

8.『クリティカルLv:1/10』

9.『健康体Lv:7/10』

10.『無限収納』



 父が出掛けている間に下級職業の『斥候見習い』はマスターしてAGIが60上がり、現在は見ての通りだ。

 新しく覚えたスキル【クリティカル】は中級職業の『斥候』を開放したことにより、覚えた。


【クリティカル】

 スキルレベルが1つ上がるごとにクリティカル率3%上昇させる。


 今後、活躍しまくる俺には必須のスキルだ。


 さて確認も終わったので恒例のやつでもやっておこうかな。


 この10日間、欠かすことなく訓練を受けていた弟は55秒まで記録を伸ばしている。今日あたり、ついに1分を超えるんじゃないかと俺はふんでいる。


 それではレッツ・スタート!!



10秒経過。




30秒経過。

「(よしっ!カイトいけるぞ!)」




50秒経過。

ビクビク、ビクビク!

「(頑張れ、後少しだ!)」





55秒経過。

ビクンッ!ビクンッ!

「(まだ、いけるっ!)」




60秒達成。

ガクン!

「(カイトォォォ!?)」




【本日の記録:失神により棄権】





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