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Part5 ハリウッド映画の撃ち方・構え方のあるある

・映画での銃の構え方

 古今東西様々な映画で様々な構え方が登場する物ですが、その中には時折間違った、と云うより反動制御に著しい欠陥を抱える構え方などがあったりし、それを真似しようとする人が一定数いるが、やめておいた方が良い。

 ・映画的な理想

 俺はプロの殺し屋、ブギーマン殺しのブギーマンを殺すブギーマンと呼ばれている。よく分からねぇが格好いいから個人的にも使ってる。

 今回の対象は日本に乗り込んできたロシアンマフィアの重鎮3人を暗殺してくれと云う山縣有朋会系列のジャパニーズマフィアからの依頼だ。

 家の外には暗殺を警戒してか見張りが6人、内部には銃を服に忍ばせたSPが数人張っているが、大規模な護衛ではなくあくまでも2~3人くらいなら制圧できる程度の人数が揃えられている。

 だが風紀は緩み切り、付け入る隙は何処かしらからやってくる。其処に付け込むだけだ。


 茂みの中から家の壁に向けて2回、石を投げつける。勿論直ぐに見られないよう気を付けながら移動する。

 見張りの一人が茂みに近づいたところで立ち上がり口元を押さえると同時に頭を抱え喉元にナイフを一突き、引き抜き銃を抜こうとする右腕を切りつけ取り落した拳銃と予備マガジンを拾い上げ、死体は静かに寝かせる。

 朝のうちに手懐けておいた猫を見張りの二人固まっている所に放すと、そのまま陰から陰へと縫うように移動。陰から家に近づき、足音を消し二人の見張りの後ろへ。

 片方が猫に気が付き相手をしているうちにもう片方の口を押えナイフで首元を一突き、そのまま放り捨てると異常に気が付いたもう一人の喉を一閃、腹を刺し引きぬくとすれ違いざまに頸動脈を切る。厳密には少し違うが、少なくともこの場において3人、声をあげる間もなく絶命した。


 だがそれも長くは続かない。見張りの中には巡回する人間も当然いて――


『イワンがやられたぞ! ブギーマンだ!』


 ロシア語の叫び声が聞こえると同時に予め用意していたグロック17にコンペンセイターを装着た物を手に、待ち構えた。

 しかしその構えは奇妙だった。

 肘を大きく上にはね上げるようにし、フロントサイトとリアサイトは仲良く地面の方向を向いている。となればグリップ及びマガジンはどの方向を向いているかなど表現するまでも無く分かるだろう。

 上下を逆に構えている。しかも肘を大きく跳ね上げるような姿勢からして分かると思うが、手首も180度近く捻りこまれ、右手はスライドの下を這うように左手に添えられている。

 手首と腕が疲れそうな構えだが、しかし彼はその構えを解こうとはしない。これが彼の戦術理論に最も合致した構えだったからだ。

 その状態で待ち続けること30秒、ついに巡回を強めた見張りが、彼の目の前にそうとは知らずやってきた。

 まずやることは、首筋に向かって銃身をめり込ませるように突っ込むこと。人体の急所である首筋に金属の塊がぶつかればどうなるかなど想像に難くない。

 鈍い音と共にめり込む音が手首から感じられるとそのまま飛びのく様にして後ろに下がるとその勢いのまま頭部に一発、腹部に一発、合計2発を撃ち込むと倒れ込む死体を自分の体とは反対側に蹴り倒すと、不用意に建物の陰から姿を現そうとしたもう一人の見張りの目の前に回り込む。

 首筋を掴んで巴投げの要領で引き倒して袈裟固めをしながら異常に気が付いた屋内の見張りに2発、自分が来た方向からやってくる見張りに立ち上がりざまに2発、彼が拘束した勢いで昏倒した男に2発、構えを殆ど崩すことなく撃ち切って見せた。

 ここまでに消費した弾薬は8発。マガジン内の残り弾薬は7発。一人に付き2発換算とした場合、6人と1人殺せるくらいだ。


 そのまま扉を叩き破り屋内への侵入を果した彼は、各部屋の梁に潜むSPたちを順繰りに殺していく。

 一人は梁から足が覗いているのを撃って体を遮蔽物から出させて頭に一発。

 後ろに回り込んだSPと囮として目の前にSPが飛び出れば、後ろのSPが発射する瞬間、目の前のSPのネクタイと襟首をつかんで巴投げをすることで身代わりにし、そのまま後ろのSPに投げつけ、好機と見て遮蔽物から上体を出した別のSPを確認すると躊躇いなく頭部に一発、胴体に一発。

 振り向きざまに先程仲間を投げつけたSPの頭部と胴体に一発ずつ、投げつけられたSPの頭部に一発、クローゼットから飛び出たSP胴体に一発――残弾無し。


 スライドが開き切りマガジン内に弾がないことを銃が告げると銃を横に振りながらマグキャッチを押し込み痛みに悶絶するSPの顔面にぶつけると予備のマガジンをグリップに叩き込みスライドストップを落として装填、間髪入れずに頭部に一発。残り16発。


 今ので全てだったのか、1階にこれ以上のSPはいないようで、死体からグロックのマガジンがあれば回収し、周囲を警戒しながら2階へと足を進める。

 階段から頭を出し過ぎない程度に2階の様子を窺えば、直後に銃弾の洗礼が襲い来る。待ち伏せだ。しかしそれにも先ほどのSPから奪ったジャケットを投げつける。

 ある程度以上の集中状態、若しくは興奮状態にある人間は、相手の特徴と似た色や物体を見ると、それを相手だと誤認しやすい。案の定、投げつけたジャケットに銃弾が集中する。

 誰かが気が付いて辞めようとする頃にはすでに彼は階段を駆け上がり手近な位置にいた巨漢の足を払い盾にすると寝そべりながら一番手近なSPの頭部と腹部に一発ずつ、盾にしているSPの顎先から撃ち抜く様に一発、階段から最も遠い位置にいるSPに三発を撃ち込んだ。

 しかしそれが最後の抵抗だった。

 屋敷にいたSPは彼が今殺した三人が最後で、三人の背後には扉が一つ。鍵が掛けられているようだがそれも鍵穴を銃弾で破壊してしまえば突破は容易。部屋の中には三人の男たちが銃を構えていたが、しかし大した抵抗も出来ずに死んだ。


 こうして彼はミッションを果した。


 ・現実

  俺はプロの殺し屋、ブギーマン殺しのブギーマンを殺すブギーマンと呼ばれている。よく分からねぇが格好いいから個人的にも使ってる。

 今回の対象は日本に乗り込んできたロシアンマフィアの重鎮3人を暗殺してくれと云う山縣有朋会系列のジャパニーズマフィアからの依頼だ。

 家の外には暗殺を警戒してか見張りが6人、内部には銃を服に忍ばせたSPが数人張っているが、大規模な護衛ではなくあくまでも2~3人くらいなら制圧できる程度の人数が揃えられている。

 だが風紀は緩み切り、付け入る隙は何処かしらからやってくる。其処に付け込むだけだ。


 茂みの中から家の壁に向けて2回、石を投げつける。勿論直ぐに見られないよう気を付けながら移動する。

 見張りの一人が茂みに近づいたところで立ち上がり口元を押さえると同時に頭を抱え喉元にナイフを一突き、引き抜き銃を抜こうとする右腕を切りつけ取り落した拳銃と予備マガジンを拾い上げ、死体は静かに寝かせる。

 朝のうちに手懐けておいた猫を見張りの二人固まっている所に放すと、そのまま陰から陰へと縫うように移動。陰から家に近づき、足音を消し二人の見張りの後ろへ。

 片方が猫に気が付き相手をしているうちにもう片方の口を押えナイフで首元を一突き、そのまま放り捨てると異常に気が付いたもう一人の喉を一閃、腹を刺し引きぬくとすれ違いざまに頸動脈を切る。厳密には少し違うが、少なくともこの場において3人、声をあげる間もなく絶命した。


 だがそれも長くは続かない。見張りの中には巡回する人間も当然いて――


『イワンがやられたぞ! ブギーマンだ!』


 ロシア語の叫び声が聞こえると同時に予め用意していたグロック17にコンペンセイターを装着た物を手に、待ち構えた。

 しかしその構えは奇妙だった。

 肘を大きく上にはね上げるようにし、フロントサイトとリアサイトは仲良く地面の方向を向いている。となればグリップ及びマガジンはどの方向を向いているかなど表現するまでも無く分かるだろう。

 上下を逆に構えている。しかも肘を大きく跳ね上げるような姿勢からして分かると思うが、手首も180度近く捻りこまれ、右手はスライドの下を這うように左手に添えられている。

 手首と腕が疲れそうな構えだが、しかし彼はその構えを解こうとはしない。これが彼の戦術理論に最も合致した構えだったからだ。

 その状態で待ち続けること30秒、ついに巡回を強めた見張りが、彼の目の前にそうとは知らずやってきた。

 まずやることは、首筋に向かって銃身をめり込ませるように突っ込むこと。人体の急所である首筋に金属の塊がぶつかればどうなるかなど想像に難くない。

 鈍い音と共にめり込む音が手首から感じられるとそのまま飛びのく様にして後ろに下がるとその勢いのまま頭部に一発、腹部に一発、合計2発を撃ち込むと倒れ込む死体を自分の体とは反対側に蹴り倒すと、不用意に建物の陰から姿を現そうとしたもう一人の見張りの目の前に回り込む。

 首筋を掴んで巴投げの要領で引き倒して袈裟固めをしながら異常に気が付いた屋内の見張りに2発、自分が来た方向からやってくる見張りに立ち上がりざまに2発、彼が拘束した勢いで昏倒した男に2発、構えを殆ど崩すことなく撃ち切って見せた。

 ここまでに消費した弾薬は8発。マガジン内の残り弾薬は7発。一人に付き2発換算とした場合、6人と1人殺せるくらいだ。


 この後彼は右腕側からやってきた男に気が付けずに死亡した。


 ・解説

 ハリウッドだったか何かで一度見た構えです。余りにもバカバカしい構え方だったので覚えていました。

 何が悪いかって云うと全部です。

 肘を大きく上にはね上げると、そもそもその時点で腕が疲れやすくなり銃口がブレやすくなります。さらに右目側が死角になり接近に気が付きにくくなるうえ、サイトを覗こうとした際に自然とスライド下側から覗き込むことになるのだが、ブローバックした際に顔面を傷つける恐れがある。

 次に、銃を逆向きに構えるとフロントサイトとリアサイトがほぼほぼ合わせられなくなります。其れだけでなく、エジェクションポートは射手の行う銃の操作に支障がない方向に向かって排莢するように設計されていますが、こうした場合左胸の方に勢いよく薬莢が飛んでくることになり非常に危険。

 しかもこの構えだと右腕がスライドの下にあるので間違って右手の指がチャンバーとスライドに挟まれると、指がとれることはないがかなりの痛みを伴うことになるほか、胸に当たって跳ね返った高温の薬莢が右腕に落ちてくることになりこれも危険。

 その他に、有効射程50mの弾薬の有効射程を徒に下げる他、発射炎や発射煙が目の前を舞うことになり射手の視力低下や失明に繋がるほか、銃を持つ側の手を挫いてしまうなどの大けがをする可能性がある。

 何故有効射程が短くなるかと云えば、エアガンについているホップアップ機構が分かり易いだろうが、弾丸もバレルが上方向に動く(ティルトバレル及びショートリコイル)瞬間に釣られてそちら方向への力が加わっている。さらに弾がジャイロ回転もしているため自然と回転数が落ちると多少上向きに飛翔する。その後しばらく飛翔を続けると人体にダメージを与えるのに必要最低限以下の回転数になり、徐々に速度が下がり揚力を与えていたジャイロ効果が無くなるため落下していく(最大射程)。

 これが下向きになった場合、ティルトバレルショートリコイル(ブローニング式とも呼ばれる)機構を持つ一般的な拳銃(グロックもそうだしベレッタ92もそうだしM1911A1もそう)ならバレルが下向きに動くため弾は発射段階から若干下向きに発射されることとなる。こうなるとジャイロ効果を加味しても(そもそもジャイロ効果自体に大きく弾道を変える様な効果自体がないのだが)大きく弾道が変化することはないため最大射程も下がるうえ、そもそも“命中した際に人体に対する加害効果を保持する距離(有効射程)”を飛びきるまでに揚力が失われるか若しくはあらぬ方向へ飛ぶなどの危険性がある。

 


 こういった類の所謂映画内と呼ばれる構えは多く、身近な物だとヤクザ撃ち/マフィア撃ちなどもその一つ。

 1950年代若しくはそれ以前、アメリカ映画の撮影技法の関係と映画を撮る関係上どうしても出演者を映えさせねばならず、そのためには普通に構えさせると出演者の顔が隠れてしまうなどしてしまい目立たせにくかった。そのため急遽映えさせる撃ち方を考えた結果体を半身にさせ腕をぴんと伸ばして拳銃を撃たせるという物が考案された。

 その構えが存外格好良かったため全米どころか日本でまで人気沸騰。子供から大人まで真似するようになり、実際にヤクザがそういった撃ち方をするところをヤクザを取材していた記者が見て、何故かそれが正しい銃の構え方と誤認し、以降日本のやくざ映画や刑事ドラマでこういった撃ち方が流行るようになる(大元のアメリカでもほぼ同時期に流行っていた)。

 しかしこの構え方は利き手一本だけで銃を操作せねばならず、またシングルアクションオートの場合は予めコッキングしておかなければ発射出来ないため実用性は低く、例えダブルアクションだったとしても、ガスガンなどと違い空撃ちしたとしても次弾が装填されることはないので全て手で操作する必要がある。

 また、コッキングしてから態々半身になって撃つよりも両手でしっかりと保持して撃った方が命中性は高まる。利き手一本で銃のリコイルを支えるよりは両手で銃のリコイルを支えたほうが合理的だという話だ。

 マガジンキャッチボタンやパドルタイプマガジンリリースなどが最近主流(百年位前からの流行だけど)だが、これら以外の古い形式(ワルサーP38やSIG P220、FN M1910やベレッタの古いシリーズに見られるような)マガジンキャッチレバーの場合でも、結果的に再装填時には両手で操作することになり、映画の通りならその後また半身になり片手で射撃するということだが、それならばそもそも最初から両手で操作すればいい。

 この他多数のデメリットもあり間違った射撃姿勢の代表的なマフィア撃ちもタクティカル面でのアドバンテージに乏しい。

 このほかに最近はサバゲ界隈でタクティカルトレーナーのクリス・コスタの撃ち方を真似するのが流行っているが、タクトレ系の記事や本人も言っている通り、全人種があの撃ち方をして上手くなるとは限らないことと、コスタ撃ちというのは撃ち方の一つでありそれだけが正しく他の撃ち方が間違っているなどという訳の分からない世迷言が散見されるがそういうことではない。

 特にアサルトライフルの構え方がそうだが、ある程度の軍事教練を受けて下地の出来ている人間やガタイの良い人間が行うこと前提なので、Twitterなどで散見される疲れやすいや非実用的と云う言葉はある種正しいのだがそもそも鍛えていたり本物の銃を握ったことがない人間が殆どの日本人ではそりゃ疲れやすい。

 逆に、コスタ撃ちと呼ばれる構えをデファクトスタンダードと云って強要する人間もこの例である。何らかの技術にはそれ相応のメリットとデメリットがあるため何を前提とするかにもよるが『これこれはこうでなければいけない』という押し付けは見ていて見苦しい。



 Twitterでも報告しましたが、タイプライター風キーボードが壊れてしまったので耐久性などの観点から栃木常駐半自作半自作PC(紛らわしい)に使用しているのと同じメカニカルキーボードを購入しました。LogicoolのG610青軸です。

 青軸を選んだ理由は簡単で、押下圧が強めなのでキーストロークが長くないと指の動きとキーボードの動きがズレて使いにくいのと青軸の五月蠅めの音が好きだから。押下圧との兼ね合いや反応速度的にこの軸種はゲーム向きじゃないですが、私が良ければ全てよし。自分の責任で買っている物だし。

 と云うことで、ゲーミングPC作った人あるある、頻繁にキーボードやマウスなどのPCアクセサリーやPC内部パーツが入れ替わる、でした。良ければ評価ボタン押してちょ?

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