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第一話 「遥遠なる日々 -Some day,One day-」 02

Middle Phase


01◆ 再会            シーンプレイヤー:嬉野冬也


GM: まずは嬉野のシーンから。……日本に来て頂かないことには。

冬也: そーですね(笑)。(ダイスを振る)2。日本かぁ……テンションが下がりました。

GM: 菅野との再会のシーンとなりますので、菅野も出てください。

菅野: ほい(ダイスを振る)。

冬也: てことは、観鏡市に着いた、と。……更にテンションが下がりました。

GM: ということで、観鏡駅に着いた冬也です。夏樹が「いやー、久しぶりだなぁ。」とか言ってる。

冬也: まあ、確かに久しぶりだよな……。

GM: 君が日本に帰ってくるにあたって、連絡がついたのが菅野くらいなので、その菅野と待ち合わせをしたんでしょう。

菅野: 改札出た辺りで待っていよう。

冬也: じゃあ、日本に着いてすぐに買ったスマホで、菅野さんの連絡先に電話する。

菅野: もしもし?

冬也: あ! (隣に座る菅野のプレイヤーを見て)……隣に居たんですね。(一同笑)

菅野: しょ、少年……かい?

冬也: まあ、ハイ。ご無沙汰してます。

菅野: 何ていうか……育っちゃったねぇ。

冬也: ……菅野さんは、縮みましたか?

菅野: いや、変わってないよ?

八雲: もうちょっと二人とも懐かしがれよ!!

冬也: だって、出来ればあんま会いたくない人だし、懐かしいって感じじゃない……(笑)。

菅野: 驚いてはいるんだよ? まさかこんなに大きくなるとも思ってなかったし。

冬也: 俺もここまで大きくなるとは思いませんでした。――――で、あの……八重樫、は?


 冬也に問われ、菅野は八重樫のことを思い出した。

三年前のあの事件の後、八重樫は日本支部預かりのエージェントとして務めていた。

これは霧谷の判断による措置であり、支部壊滅の責任と事件の首謀者であること、更にUGNの陰部に関わるため表立って処罰が出来ないという理由があったためだ。

更に彼自身の庇護を目的として、霧谷の力が及ぶ範囲で管理をするという目的もあった。

 そんな折。

今から半年前の深夜、菅野の元に一本の電話が入った。

発信者は八重樫だった。


菅野: 出ます。

GM: 「最近の調子はどうだい?」と、変わらぬ様子で尋ねてくるね。

菅野: 最近は、前線に立ってばかりで大変よ? おっさん。

GM: 「やっぱり君はそうやって、何も考えずに武器振るってるのが一番似合ってるよ。」(一同笑)

菅野: いや、別にバーサーカーとかじゃないからね? おっさん。

GM: 「僕、思うんだ。やっぱ君、間違っても管理職になっちゃいけないよ。」

菅野: まかり間違ってなったら、また椅子に座って回ってるよ。

GM: 「……本当なら会って話がしたいところだけど、お互い忙しいしね。」

菅野: まあねぇ。……今、お前は何やってんだい?

GM: 「うーん……まあ、色々。」

菅野: ……ま、仕事の話じゃ、話せないこともあるか。

GM: 「そんなところだよ。」――――と、何気ない会話をしばらくしたところで、最後に八重樫が「とりあえず、何かあったら色々頼むよ。」と言う。

菅野: ああ、それは構わんが……どうした? 改まって。

GM: 「いやほら、色々大変じゃない? お互い。」

菅野: ……なあ、今何処に居るんだ?

GM: 「じゃ、とりあえず……。」

菅野: おい! ……おい!!

GM: プッ、ツー、ツー、ツー……。


 その電話があった三日後。

菅野は、八重樫が自宅で殺されたという知らせを受けた。


菅野: 八重樫の自宅に向かいます。

GM: そこに行くともう調査が行われているのですが、FHのエージェントによる襲撃ということで片付けられてしまいます。


 その調査結果に納得出来ない菅野は独自に調査をしたが、芳しい結果は得られなかった。

「八重樫明仁は、FHエージェントに襲撃され、不覚を取って殺された」……。

菅野の中でひっかかるのは、事件の三日前にあった電話の件。

そして殺された際、八重樫が手に二葉の写真を握っていたことだ。

一葉は、三年前の事件直後に嬉野兄弟と撮った写真。もう一葉は三枝櫻の写真。

その二葉の写真を手に持ち、大事そうに抱え、壁にもたれて死んでいたのだという。


冬也: あの……菅野さん?

菅野: えーと……ちょっと場所を変えようか。

冬也: はぁ……。

菅野: ということで、新支部に連れて行くよ。

GM: 因みに旧観鏡支部は閉鎖されています。国有地という形になっていて、完全に封鎖されているため、別の場所に新支部を立ち上げたと思ってください。

菅野: ほい。

GM: というところで、一度シーンを切りましょうか。


02◆ 邂逅             シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


 観鏡市の、とある雑居ビル。

低層階が事務所に、高層階が居宅になっているそのビルのワンフロアに、UGN新観鏡支部は創設されていた。


GM: では、一ノ瀬のシーンです!

豊前: (ダイスを振る)1だ。……サングラスに白スーツをばっちりと決めた俺は、観鏡市支部に着くと、堂々と受付を通って、真っ直ぐに支部長室に向かいます。

GM: すると、受付の人が「申し訳ございません……その先は関係者以外立ち入り禁止なんですけれども――――。」と言ってくる。

豊前: あ、前に立ちはだからない限りは、完全にスルーします。

GM: 慇懃無礼(いんぎんぶれい)って言葉がぴったりくるキャラだね(笑)。

八雲: 私もこのシーンに出る!(ダイスを振る)クロネコ○マトの車から降り立った私が、おにーさん、こっちこっち! と。

GM: 「(引っ越し屋になって)これ、何階に持ってけばいースか?」

八雲: ああ、404号室に。

GM: 「(引っ越し屋で)エレベーター使えるんスよね?」

八雲: 大丈夫、養生してあるから。と言ったところでふと見ると……。

豊前: 受付のおねーさんが困ってるところに出くわす、と。

八雲: そこで、正義感の強い私は、超腹を立てる。アンタ! ちょっと待ちなさいよ!!

豊前: 前に立ちはだからない限りは、完全にスルーします。(一同爆笑)

八雲: 私は自分の背中からバキバキバキ……! と骨を伸ばして、捕まえます。

豊前: じゃあ捕まって、そっちに引き寄せられた! ――ん? ……オーヴァードか。

八雲: UGN査察部の八雲明星よ。あなたがどんな人かは知らないけれど、ルールは守ってもらうわ。

豊前: そうか。俺の名前は“インペレイター”だ。後は自分で調べろ。

八雲: ……まずはこの紙に名前を書いて、このバッジをつけてもらうわ。(一同笑)

豊前: む、そうか。日本ではそんなルールがあったのか。

八雲: 面倒かもしれないけれど、協力して頂戴。

豊前: ん、わかった。

冬也: 「(受付の人になって)あ、ありがとうございます……。」

豊前: では、名前を書いてバッジをもらった。

GM: そこで八雲は「一ノ瀬豊前」という名前を認識するんだろうね。

八雲: 一ノ瀬豊前……ね。覚えておくわ。

豊前: どうした? ヤクモ・アケホシ。……何もないなら俺は支部長室に行くぞ。

八雲: 一ノ瀬豊前――――油断ならない相手ね……。というところで、私はここで一ノ瀬豊前に好奇心/■猜疑心でロイスを結んで、私はシーンを退場します。

豊前: ――――俺を止めたのはアイツで二人目だ……覚えておこう。

GM: ということで、オフィスを通り抜けて、支部長室に向かうということで。

豊前: ノックもせずに、支部長室の扉を開けます。

GM: 菅野は今、冬也を迎えに行っちゃってるので、中には誰も居ませんね。

豊前: じゃあ仕方がない。ということで、その部屋にある一番でかい椅子に座ります。

GM: 支部長の椅子にか……(笑)。


03◆ 合縁奇縁            シーンプレイヤー:菅野道明


GM: では、菅野と冬也がUGN新観鏡支部に到着しました。

冬也: ……前と違って、随分小さいですね。

菅野: まあねー。と言いつつ、受付の人に今帰ったよー、と声をかける。

GM: 「あ! ……あの、お客様――――が、いらして……ます。」

菅野: あれー? 予定よりちょっと早いような……。ま、いいか。で? どこに居るんだい?

冬也: 「(受付になって)いえ、あの……そこまでは。」(一同笑)

菅野: んーと、とりあえず、外部からの人間が入ってきたら、何処にいるかは把握しといて欲しいなぁ。

冬也: 「(受付で)それがその……あまりにも颯爽と入っていかれたもので……。」

菅野: ま、いいや。中に居るのは確かなんだし、僕の方で話しておくよ。

GM: では、所変わって、支部長室の前です。

菅野: 普通に扉を開けるよ。


 菅野が支部長室の扉を開けると、中には既に人の気配があった。

大きな背もたれのある椅子がくるりと菅野達の方を向き、そこに座った背の小さな少年が、見下すような視線と共に声を掛けてきた。


豊前: “クロスブレード”、来たか。

冬也: え? あれ!? ……ええと、菅野さん。アレは……?

豊前: (椅子から立ち上がって)自己紹介が遅れたな。俺の名は一ノ瀬豊前。コードネームは“インペレイター”だ。

冬也: 一ノ瀬……?

豊前: 君達のことは調べさせてもらった。“クロスブレード”と“ファイア・ウォール”。お前達がプロジェクト“エンブリオ”に絡んでいたことは知っている。FHセル“オリジナルシン”を倒したという情報も掴んでいる。ああ、俺はそのセルのセルリーダー・一ノ瀬晃一の息子だ。

冬也: は…………?

GM: 今、さらっと重要なこと言ったな(笑)。

豊前: この観鏡支部を建て直す為に、俺は呼ばれて来た。ここまではOK?

菅野: なんていうか……話に聞いていたとおりの人間だね、君は。

豊前: うむ。じゃあ、続きだ。この観鏡市支部をマネジメントするにあたって、まずここの支部に何が足りないのかは把握しているのか? “クロスブレード”。(一同笑)

菅野: 足りないものが多すぎてね。まだ準備段階といったところだよ。君の意見としてはどうなんだい?

豊前: 様々なものが足りていないということに関しては賛同だ。詳細としては、こんなところだな。


 新支部立ち上げに必要と思われるものを、微に入り細を穿ちリストアップした表を菅野に渡して、支部長室を出て行こうとする豊前。


菅野: あー、ちょっと待ってくれ一ノ瀬君。話はまだ終わってないよ?

豊前: 俺の話は終わった。

菅野: ……とりあえず、意見・陳情としては受け取っておくよ。

豊前: その声を背中で聞きながら、俺は支部長室を出て行く。

菅野: ――――自由だねえ、最近の子は。

八雲: 一ノ瀬豊前……やはり油断ならない奴ね。と言いながら、私は通風孔からにゅるっと出てくる。

冬也: うお!? びっくりしたぁ!!

菅野: えーっと、八雲さん、で良かったかな?

八雲: 八雲明星です。あなたが隊長の菅野さんね? あの一ノ瀬という男だけは、信用しては駄目。――――彼はスパイよ。

菅野: 確固たる証拠はあるのかい?

八雲: あるわ。…………(にお)いよ! ということで、これからよろしくお願いします、支部長。

菅野: うん。ああ、普段の生活でエフェクトはあまり使わないほうがいいよ?

八雲: え? 何がですか?(一同笑)

菅野: 通風孔から出てきたでしょ。

八雲: そうはおっしゃいますけど支部長。隠れてないとバレちゃうじゃないですか。

菅野: …………まあ、支部長室内だけなら、いいか。

冬也: か、変わった子だなぁ……(汗)。

八雲: 私はその声を聞きつけて、ハッ! とそっちを見ます!!

冬也: きょとんとしながら、八雲を見る。


 彼と目が合った瞬間、八雲の頭の中にホイットニー・ヒューストンの「Always love you」が流れた。


八雲: (ぽつりと呟く)嬉野さま……。

冬也: さまっ!?(一同笑)

菅野: 少年、知り合いかい?

冬也: いえ全然……。

八雲: お慕い申しておりました。

冬也: (裏返った声で)へ……?

八雲: 何でも言うことを聞きます……。と言いながら懐から婚姻届を取り出します。

冬也: ええっ!?

八雲: もう私の名前は書いてあります。(一同笑)

冬也: …………。(←頭の中が真っ白)

八雲: 突然のことで、嬉野さまも状況を飲み込めていないと思いますので、改めてはっきりと言わせて頂きます。――――愛しています。


 目をハートマークにして、さながらマシンガンの如く喋る八雲を前に、冬也は完全に思考が停止していた。


菅野: 少年? おーい、少年ー?

冬也: はっ! す、すいません……こういうの、初めてなもんで……。

八雲: 気がつくと私は、嬉野さまの右腕にぶら下がっている。(一同笑)

冬也: えーと……や、八雲さん……?

八雲: とりあえず、今日の晩ご飯は何に致しましょうか?

冬也: え? コンビニででも買おうと思ってたんだけど……。

八雲: コンビニ弁当だなんて良くないです! 添加物がモリモリで……! 気がついたら機械の身体とかにされちゃいますよ!?(一同笑)

冬也: そ、そう……なんだ?

八雲: 身体を全取替えしなきゃいけなくなっちゃうんだから! 駄目よ、そんなものを食べてちゃ……! 私がご飯作るんだから!

冬也: …………なんかちょっと、一般でいうところのお母さんっぽいなと思った。

八雲: 因みにエグザイルのユニークアイテムに悪食の好物というのがあって、つまりは味がどんなであれ、私は食べられちゃうんだよ。

冬也: タチ悪いな!?(一同笑)

八雲: 嬉野さま! 今日は私が何か、腕によりをかけて、美味しいものを作りますから!

冬也: え? うーん……じゃあ、お願いします。ということで、ここで八雲さんにロイスを結びます!

八雲: 何か、食べたいものは?

冬也: んー……牛丼?

八雲: では私は、肉のハ○マサに行くために、シーンから退場します(一同笑)

冬也: ――――……濃い、メンバーですね。

菅野: ちょっと、胃が痛いね。……まあとりあえず、座ってくれ。

冬也: ああ、はぁ……。因みに、今の一連の騒ぎで、さっき菅野さんに八重樫の話を振っていたことをすっかり忘れてます、俺。(一同笑)

菅野: ――――で、さっきの八重樫の話なんだけど。

冬也: ああ! そうでした。

菅野: 八重樫な―――――死んだんだ。

冬也: ――――は?

菅野: 公式の記録ではFHに殺されたことになっている。

GM: 夏樹が「嘘だっっ!!」と叫ぶ。

冬也: あの人がそんな簡単に殺されるわけ――――……。

菅野: 俺も信じられなくてな。俺も独自に調べてみたし、霧谷さんにも頼んで調べてもらったんだが、調査結果に、特に怪しいところは無かった。


 菅野は、八重樫の死に様について、知りうる限りの詳しい状況を冬也に伝えた。


冬也: …………。

GM: 「あのトウヘンボクがそんなことで死ぬ筈がねえ!!」

冬也: 確かにおかしいと思うけどさ。俺には調べようがないぞ? 夏樹。

GM: 「ザけんな! 俺は信じねえ!!」

冬也: ――――……(納得しかねる表情で菅野に向かって)わ、かりました。

菅野: 必要なら情報は提供するよ。

冬也: ……いえ。俺、自分で調べます。

GM: 因みに、八重樫の死を聞いて、冬也としてはどんな感じですかね?

冬也: まあ、信じられないっていうのと……あとは、後悔ですかね。

GM: 何に関して?

冬也: 八重樫が俺の父親だっていう事実から逃げた自分を認識しているので、俺が逃げたまま八重樫が死んでしまったことへの後悔です。

GM: なるほど。

冬也: ということで、八重樫に□幸福感/不信感で結んでたロイスがタイタス化します。――――って、そうだ! 直近で一番重要なことを言っとかないと! ということで、オープニングで起こったことと、今の俺の状態を話します。

菅野: それはまた……君も大変な状態だねぇ。

GM: 「おっさん、元気かー?」

冬也: えっと、夏樹が「おっさん、元気か?」って言ってます。(一同笑)

菅野: おう、おっさん元気だぞー。……でも、俺のツテで、その手の話が分かりそうなのは八重樫と――――伊勢さんくらいか。

冬也: 伊勢さん……ですか。まあ、知識量は確かですよね……。

菅野: 君が覚悟を決めて行くなら、連絡してみるといいよ。と、伊勢さんの連絡先を嬉野君に渡します。

冬也: ありがとうございます。

GM: では、ここでシーンを切りましょうか!

冬也: 長いシーンだったなー……。

GM: ……おっかしいなー。ただの自己紹介のシーンの筈なのに……。

豊前: ちゃんと自己紹介のシーンでしたよ?(笑)


             ◆      ◆     ◆


GM: ではここで、今回のシナリオの目的を改めて言います。“Dillemme”に関して何か良くない研究が行われているらしいので、それについて調査し、対策をとるというのが、今回の任務です。

菅野: はーい。

GM: そして、今開示されている情報項目は『“Dillemme”を使った研究について』です。使用技能は<情報:FH>または<情報:UGN>ですね。


04◆ 疑惑            シーンプレイヤー:八雲明星


GM: えー……では、八雲のシーンいきましょうか!

八雲: はーい!

GM: 先ほどの支部長室での一件が終わって君が事務仕事をしているところへ、菅野の配下である大神さんがやってきます。


 査察部から来たという八雲明星は、菅野にとってプラスになる者ではないのではないか――――?

その疑いを確かめるべく、八雲を訪ねて彼女の執務室にやってきた大神の耳に、異様な騒音が聞こえてきた。

激しく暴れまわる何かの足音。「大人しくしなさい!」という女性の声。そして特徴的な――――牛の鳴き声。


冬也: ちょっと待てー!!!!(一同笑)

菅野: ハナ○サに生きてる牛買いに行ったのか!?

八雲: うるさいうるさーい! ここは私のシーンだ! 文句なら登場してから言えー!!(一同爆笑)


 馬の蹄の音――――ドスッ、という鈍い音……そして聞こえてくる、闘牛で演奏される音楽。

意を決してオフィスに入った大神が見たものは、張り詰めた空気の中、手に赤い布を持ち、大きな黒い牛と対峙する、女の子の姿だった……。


GM: 「や……八雲さん?」

八雲: 黙って!!


 その刹那、八雲に向かって牛が猛然と突進する!

その角に完全に腹を貫かれながらも、八雲は自らの両手で牛の首を捕まえる。

「ゴメンね……あなたはいいライバルだった。でも! でも、あの人に新鮮な牛丼を食べてもらいたいのーっっ!!」

そう叫ぶと、八雲はその手をドリルへと変貌させ、牛の首筋に突き刺した。

飛び散る鮮血。

そして牛は、徐々にその動きを止めていった……。


八雲: ゴメンね? おいしく食べるからね……。(くるっと大神のほうを向いて)すいません、お待たせ致しました。(一同爆笑)

GM: 「今のが、査察任務ですか……?」

八雲: あ、今のは個人的なお仕事です。(一同笑)UGN査察部の八雲明星です。

GM: 「この支部で菅野支部長の秘書――――みたいな仕事をしています、大神(おおがみ)です。……ちょっといいかしら?」

八雲: ええ、どうぞ。

GM: 「では、屋上でお話しましょう。」

八雲: ええ。


 手ずから倒した牛を引きずりながら、大神の後について、支部のある建物の屋上へと登った八雲。そんな八雲に向かって、大神は厳しい表情で問いかけた。


GM: 「回りくどいことは嫌いなので、単刀直入にお聞きするんですけど――――。」

八雲: 何でしょう?

GM: 「この時期に査察部の人間である貴女が来るというのは、どういうことなんですか?」

八雲: では、ここで私は素早く計算を巡らせて――――(情けない声で)私だって査察業務で来たかったですよぅ!!(一同笑)

GM: 「――――え?」

八雲: ほら、査察部に配属されたら、査察業務をやると思うじゃないですか!

GM: 「ち、違うんですか?」

八雲: 私もそうだと思ってたんです。でも……私の兄が、査察部に居るんですけれど……。

GM: 「ええ。有名ですよね。」

八雲: 査察業務をやりたい、って言った私に何て言ったと思います?

GM: 「…………。」

八雲: 「お前に査察業務が出来るわけない。」って言ったんですよ!!(一同笑)と、作り話をします。

GM: 「じゃあ、貴女は査察業務じゃなくて、ここには純粋に戦力増強の意味で来た、と?」

八雲: (しょんぼりしながら)はい、残念ながら……。“ハングリーアント・ライオン”ってコードネーム、ご存知ですかね?

GM: 「ええ。噂によると、どんな相手でも引きずりこんで消化してしまうとか……。」

八雲: それ、私なんです。

GM: 「(口に手を当てて)!!」

八雲: (情けない口調で)すいません。私、どっちかっていうと、戦闘部隊寄り……っていうか、ほぼ戦闘部隊っていうか……。そんな感じで、来たんですよね。

GM: 「…………。」

八雲: あ、でも! 査察部ですよ? 何か文句、あります?

菅野: 今のところ、査察部っていうか屠殺(とさつ)部だけどな。(一同笑)

八雲: 誰がうまいこと言えと……(笑)。

GM: 「いえ……。査察部からの人間ということだったので、てっきり何かしらの横槍を入れに来たのかと勘違いしていました。」

八雲: じゃああの、そういうわけで、私はちょっとこの後、この子を料理しなきゃいけないので、良かったらこれで失礼させて頂きますけれども……。

GM: 「とりあえず今のところは、貴女の言うことを信じることにしました。――――ただ、まだ完全に信用したわけじゃありませんから。……ほら、あの人って、そういうところに気が回らなさそうじゃないですか。」

八雲: ……じゃあ、おいおい仲良くなりましょうねー! と、牛を引きずりながら去っていく。

GM: ――――これって、計算をした上で、八雲が演技をした、ってことだよね?

八雲: だよ。天然じゃないよ。

GM: わかりました。


05◆ 遺志           シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


GM: 次は豊前のシーンなんですが、ちょっと冬也も出てきてください。

豊前: お!(ダイスを振る)

冬也: はーい。(ダイスを振る)

GM: 自分の父親でもある一ノ瀬晃一に手を下した冬也への、豊前のファーストインプレッションを知りたいですね。さて、場所は……。

豊前: 支部長室を出て行った俺は、受付のおねーちゃんと遊んでいます。(軽いノリで)へぇ~、白鳥ちゃんって言うんだー? おっぱいおっきーね♪

冬也: 「(白鳥になって)ヤメてください?」

豊前: いやぁ、声掛けられちゃったからさあ♪ 俺に声掛けてくる奴って、珍しいんだよね~!

冬也: というところで、厳しめの表情で俺が通りかかります。

豊前: お?(白鳥に)ゴメンねぇ~、また今度♪

冬也: 「(白鳥になって)はーい、バイバーイ。」

豊前: “ファイア・ウォール”。

冬也: 声を掛けられて、そちらに気付く。

豊前: ――――今は“アイギス”だったか。

冬也: ……そこまで知ってんのか。

豊前: まあ、とりあえず座れや。と、近くにあった応接セットに促す。

冬也: 警戒しながら、豊前の正面に座る。……一ノ瀬――――。

豊前: (遮って)お前の経緯は調べさせてもらった。

冬也: …………。

豊前: 数年でそこまで育って、その後三年――――てことは……ん、社会経験が足りねぇな。

冬也: ――――は? 何を……。

豊前: お前、学校行かないか?

冬也: 行かないよ!

豊前: とりあえず、ここに転入届がある(転入届を冬也の方に差し出す)。

冬也: ……(転入届を見つめる)。

豊前: 力の使い方は習ってると思うが、お前がここで戦力としてやっていく上で、人との繋がりっていうのは重要なんだ。

冬也: …………。

豊前: ま、興味があったらそこにサインしろ。――――で? 何か言いかけてたようだが?

冬也: 一ノ瀬、豊前……って言ったよな。――――あの人の……。

豊前: “コマンダー”の息子だ。何を言いよどんでやがる?

冬也: っ!!

豊前: 話はそれだけか?

冬也: お前からは、何か無いのか……?

豊前: だから高校行けよ。(一同笑)まあ、大学でもいいが。こんなちっちぇえトコに閉じ篭ってねーで、人間関係が築けるトコに行けよ。――――アメリカはで広いぜぇ?

冬也: …………(呟く)なんで年下にそんなこと言われなきゃならないんだ。

豊前: 人生経験的には、俺の方が年上だ。

冬也: ――――……。(素になって)それは、その通りなんだよね。

豊前: お前にとって、居場所ってのは何なんだ?

冬也: ちょっと考えちゃってから、ふいっと豊前から目をそらす。

豊前: ケッ、ひねたガキに育ちやがって。

一同: お前が言うなーっ!?(笑)

冬也: ――――――っ、イラっときて思わず殴る!


 激昂して放った冬也の右拳が、豊前の左頬に炸裂する。

殴られ、瞬き一つせずに吹っ飛ぶ豊前。

受け身もとらずに床に転がる豊前を睨みつけ、冬也は唸るように言った。


冬也: お前に、何が分かる……っ!!

豊前: (頬をぬぐって)すっきりしたかい?(一同笑)

冬也: ――――――――ッッ!!

豊前: さて、と。これ以上殴られちまったら、俺もいてーしな。これで退散させてもらうとするよ。

冬也: …………転入届を見つつ、立ち尽くす。ここで、一ノ瀬豊前にロイスを結びます! 執着/■憤懣で!

GM: まあ、そうでしょうね(笑)これって、豊前はあくまでも、冬也のことを考えて動いてるってこと?

豊前: です。晃一の遺志を継ごうと思ってるので、冬也に居場所を作ってやろうと思ってる。

GM: なるほどね……。

豊前: ってとこで、情報収集って出来る?

GM: いいですよ。

豊前: じゃあ、『Dillemmeを使った研究について』を調べます! ここでミーミルの覚え書きを使用! これで、<コネ:情報収集チーム>を手に入れました! これで達成値+2。そして、アイテムの能力値強化を使用!【社会】の達成値がこれで+1。更に強化ビジネススーツで+2、使う技能は<情報:FH>で、達成値に+5(ダイスを振る)14!!

GM: それは分かりますね。

八雲: 「(エージェントになって)やあ、ブゼン。日本での生活はどうだい?」

豊前: まあ、ぼちぼちってところだ。中には骨のありそうな奴も居るしな。って左頬を見せる。

八雲: 「(エージェントで)あんまりおイタをするんじゃないぞ? ハハッ。」

豊前: ちょっと捻ってやったらすぐこれだ。やっぱり日本の教育はなってないぜ。ハハハ。

GM: お前幾つだよ……?(笑)まあ、以下の情報が分かりますね。

 ・かつて観鏡市支部で培養されていたDillemmeを使ってジャームの育成研究が行われている。

 ・研究を行っているのは、コードネーム“フラッシュアウト”という、FHのはぐれエージェント。

 ・彼はその能力値の低さから、どのセルでも相手にしてもらえず、見返すために独自に活動しているようだ。


GM: ということで、『研究場所について』を調べることが出来るようになりました! これも<情報:UGN>または<情報:FH>です。

豊前: はい。…………ま、送っとくか。ってことで、菅野に今の情報を送ります。

菅野: はーい。

豊前: そして、嬉野について、きっと社会的なポジションを求めていると思うので、ジャーム化を防ぐためにも学校に行かせたほうがいいんじゃないか? ということを提案しておきます。


06◆ 召集           シーンプレイヤー:菅野道明


菅野: ちょっとここらで全員を集めて、今回の件に関する調査を命じようかな?

八雲: 一応、全員菅野の部下ってことでいいの?

GM: 実は冬也だけ、菅野の部下ではないんですよ。

冬也: まあ菅野さんから請われれば、可能な限り応じますよ。

菅野: 『Dillemme』って単語も出てきてるからな。少年にも連絡しておこう。

冬也: じゃ、出てきます(ダイスを振る)。

八雲: 私としては、菅野に近づけば近づくほど情報が出てくるだろうということで、出来る限り協力します(ダイスを振る)。

豊前: 俺は、「あれしろ」「これしろ」とか言われるとやらないと思うんで、勝手に泳がせといてください。

冬也: つまり、この召集には応じないんだよね? きっと。

豊前: です! なので、俺は居ません。

菅野: では、支部長室に皆を呼び出した。

冬也: さっきのトラウマがあるんで、こっそり中の様子を伺ってから、部屋の中に入ります(笑)。

菅野: さて、一ノ瀬君以外は集合かな?

冬也: 八雲さんて、もう居るの?

八雲: (力強く)勿論居ますとも!!(一同笑)

菅野: さて、支部のほうはまだ準備段階なんだけれども、三年前に問題になった『Dillemme』を再度研究しているというFHの存在が明らかになりました。

冬也: …………。

菅野: これを看過するわけにはいかないので、UGNの新観鏡支部としては、調査を本格的にしていこうと思います。

八雲: …………。

菅野: 嬉野君は現状、まだ我々との業務上の関わりはないのですが、前回の――――……。

冬也: (遮って)協力します。大丈夫ですよ。と、なるべく三年前のことは話して欲しくないので、先回りして言う。……ここでカヴァーをUGNにしておきます。

菅野: では、細かい手続きは後ほど。とりあえずはイリーガルということで。


 「では、研究場所についての調査とFHエージェント“フラッシュアウト”に関する情報収集から始めたいと思います。」


冬也: 情報収集と聞いて、月島さんのことをふと思い出します。彼女が居れば、俺でもどうにか情報を得られるかもしれないのになぁ……。

菅野: 八雲さんも、来て早々で申し訳ないですが、まずはこの事件に関して調査を進めてください。

八雲: …………そうですね。そういえば全然関係ないんですけど支部長、さっき大神さんって方と会いましたよ。

菅野: ああ、大神君がどうかしたのかい?

八雲: (ずばっと)支部長と大神さんて、どこまでいったんですか?(一同笑)

菅野: あー……いや、彼女には良くしてもらってるけどね。あくまでも上司と部下だよ。

八雲: (楽しそうに)良くしてもらってるのに、あくまでも上司と部下……?

GM: そこで大神が「支部長、頼まれてた書類なのですが……。」と登場する。

冬也: あ!! って思わず言う。

GM: 「え?」

八雲: へぇ~、支部長と大神さんて、単なる上司と部下だったんだ~? って大神さんに向かって言う。

GM: 「(一瞬きょとんとしてから、八雲のほうを見て)ええ、そうですけど。」

八雲: あ! 大神さん、なんか怒ってません~?

GM: 「いえ別に……。」

八雲: ねえ、嬉野さま! 怒ってますよねぇ!?

冬也: え!? あ……うー……。

GM: 「支部長、書類ここに置いておきますね。」(一同笑)

冬也: ……お、怒ってるかも。

八雲: あ! 書類に何か紙が挟まってますよぉ? って聞こえよがしに言う。

菅野: じゃ、じゃああの……さ、早速調査を始めてくれたまえ……。私はちょっとやることが出来たから……(一同笑)

冬也: 菅野さん、動揺しまくってるなあ……。

GM: ということで、ここで情報収集が出来ますよ。

八雲: じゃあ『研究場所について』を<情報:UGN>で調べます!(ダイスを振る)14!

GM: では、研究場所が分かります。旧UGN観鏡市支部の研究施設の一つに居座って、勝手にそれを使っている状態です。

菅野: なるほど。

GM: ただ、この市は今、FH一強の状態なのですが、それとは関係なく、勝手にやってるという状態です。なので、特別FHから援助が出ているわけではありません。

菅野: えーと……可哀想な子?

GM: はっきり言ってそうです。因みに“フラッシュアウト”は役立たず、という意味ですね。

冬也: そんなコードネームつけられてんのか……!

GM: なお、この施設には外敵対応用のセキュリティが存在しており、施設が生きていた場合、これらに対応する必要があります。具体的には、セキュリティに見つからないように侵入するか、セキュリティを物理的に破るか、が必要となります。

八雲: ふっはっはっはっは! 潜入か!!

冬也: 潜入、別に得意じゃないんでしょ?(笑)

GM: そして、この情報を得たことで、研究施設に行くことが出来るようになり、セキュリティ突破の目標値が下がりました!

八雲: 私はここで、菅野にロイスを結びます! □好奇心/憐憫で(一同笑)

GM: このシナリオとしての情報項目は以上ですが、その他の情報についても、このシナリオで公開可能な範囲については調べられます。

菅野: じゃあ、観鏡市に現在あるFHセルの数について調べられる?

GM: いいですよ。<情報:FH>で!

菅野: 情報収集チームを使用します!(ダイスを振る)13!

GM: では、分かります。今あるセルは1つ。“ネヴァーモア”という名の、ある程度大きな規模のFHセルです。セルリーダーは“レースノウァエ”。


 調べてみると、“ネヴァーモア”は、特色のあるセルだった。

無差別の破壊を一切行わない、社会派セルなのだ。

社会インフラなどに非常に強く結びついている、いわゆるインテリヤクザのような組織のようだ。

三年前、UGN観鏡市支部が無くなってから急激に勢力を伸ばしてきたセルらしい。


冬也: GM、今回の“フラッシュアウト”の件について、“ネヴァーモア”としての対応は?

GM: 静観、ですね。いわゆる、ほったらかし状態。

菅野: じゃあその情報を簡単にまとめて、一ノ瀬君に送っておこう。

豊前: ん。よし、よくやった(一同笑)


07◆ 豊前の計画        シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


豊前: では、俺はUGNのプロフィールとかから、八雲明星がアイドルになりたいという情報を手に入れたいんですが!

GM: それは、(八雲に)分かるの?

八雲: 書類上には一切出てこないけど、本人と接したことのある人なら知ってるレベルですね。

GM: その情報を何に使うの?

豊前: この支部の力を大きくするために必要なことなんですよ。ここがUGNエージェント達の夢とかを叶えられる場所であれば、この支部の力も強くなるだろうと!

GM: 一応、論理的な理由はあったんだね。

豊前: ええ。で、嬉野に対しては、夢とか希望とかいう前に人生経験を積ませなきゃいけないってことで、学校に行かせようとしてるんですよ。

GM: ほー……。

豊前: 八雲に関しては、人生経験を積んだ上でアイドルになりたいっていうんなら仕方ない、叶えてやろうじゃないかと!(一同笑)

冬也: エグゼクティブっぽい動き方だよね。

八雲: 調べるとしたら<情報:噂話>かな。目標値は8で。

豊前: ではミーミルの覚え書きで、<情報:噂話>が振り直せるようになりました!(ダイスを振る)22!!

八雲: では、一つのDVD-ROMが出てくる。

豊前: これが八雲明星についての情報か……。


 豊前がDVD-ROMを再生すると、そこにはオーディション風景が映っていた。

「エントリーナンバー3番、八雲明星14歳。歌います。」

アイドルの有名ナンバーを、決して上手いとは言えない振り付きで、歌い踊る八雲。

そして――――。

「ありがとうございました。(ぺこりとお辞儀)」

DVD-ROMの映像は、そこで終わっていた。


豊前: ……で、結果は?

冬也: 「(エージェントになって)残念ながら……。」(一同笑)

豊前: 歌唱力――――その他に感性が足りないな。……ということで、彼女に対するアプローチが決まりました!

GM: はい(笑)。

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