敵方の見分け方
戦場では敵味方の判断がつかなかった。だから、味方同士での殺し合いは多々ある。自分の指揮下の者ならわかっても、他の指揮下の者なら味方でも区別が出来ない。
実際に、関ヶ原の戦いで西軍の島津義弘の部隊に東軍が攻めかかったが、島津軍はそれを識別出来なかった。
そういうことは多々あって、戦場でのそういう描写には細心の注意が必要だ。パッと見ただけで、誰々が戻ってきたのだな、とはならないのだ。
転生して戦をするにしても、味方同士で殺し合うことを避けるために特徴的な鎧を装着させるのが良いだろう。赤備えという鎧を赤一色にするものは存在するから、もっと奇抜な色にするというわけだ。例えば、全身を青色にするとか......。
で、敵味方の区別がつくようになると、次の問題が発生する。敵方の人数である。
敵方の人数を数える者がいるにはいるが、そういう者は実際の敵方の人数より半分ほど減らして報告するなどと『加藤左馬殿百物語』に記されている、と磯田道史さんの『日本史の内幕』(中公新書)に書かれていた。磯田さんいわく、長年歴史を研究していても敵方の人数を減らして報告していたという記述は初めて見たらしい。ここも創作の際には注意が必要だ。
敵方が五千人と聞いて、五千人何だなと安心していて一万人の軍勢だったのなら即死だ。創作の際には、細部までこだわって書くのも良いだろう。