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記憶の謎

暖かな日差しの中で目が覚める。

その部屋は木のいい匂いが部屋に充満している。


ここは…あれから…?


ハッ!リウスさんは!?

部屋の中は簡単な作りで一人暮らしの家のようにダブルベットと寝室、リビング、台所がすべて一つになったような家だった。悪く言えば小屋…?

なぜかわからないが妙に懐かしい感じがする。


来たことはない…はず…。


それよりもリウスさんを!!

身体をひねり部屋を探すが誰もいない。

俺はベットから降りる。


ん?足が治っている!

マジか…良かった。

ミルクが助けてくれたのだろう。


ミルクを探すも姿がない。

ゆっくり身体の感覚を確かめていく。


「すごい。」

全身あれだけ怪我をしていたはずなのに今はどこも痛くもなんともない。

それにしてもここはいったいどこなんだろう。


ん?


外から変な臭いがしてくる。

俺が扉を開けるとそこには水辺の近くに建てられた小屋だった。

でもその水辺がおかしい。


水から湯気があがっている。

「これは…温泉?」

昔師匠から聞いたことがある。怪我を湯に入って治療する不思議な治療方法があるということを。

俺はこれのおかげで助かったのだろうか。

そんなことを考えていると、


「マイルさん!!」

そこには今にも泣きそうな顔で駆け寄ってくるリウスさんの姿があった。

「リウスさん。」

俺の目からは涙が溢れて止まらなくなっていた。

良かった。生きててくれて本当に良かった。


「マイルさんお身体大丈夫ですか?全身骨折していて本当にもう助からないかと思いました。私のために頑張ってくれてありがとうございました。でも、私のためでもダメですよ。長生きしてください。」


リウスは目にいっぱいの涙を浮かべていた。


「リウスさんこそ。俺なんかのために身体はらないでください。俺はリウスさんのことが世界で一番大切なんですから。」


「…」


あれ?リウスさんの顔が真っ赤になっている。


「リウス…さん?熱でもあるんですか?顔が真っ赤になってますけど…。」


「もっ…バカっそんなこと言ったらば誤解しちゃいますからね。」


そこへリウスの後ろから、ミルクが跳ねて俺の顔面へダイブしてきた。

「ミルク!!ありがとう。色々本当に感謝しかない。」

ミルクを思いっきり抱きしめる。久しぶりのこのプ二プニ、ポヨポヨの感触。

最高だ!!


「大丈夫。気にするな。」

ミルクは平然と返事をしてきた。


「ミ、ミルク話せるようになったのか?」


「あぁ封印が解けたおかげで今までよりも自由度はあがった。ただ、まだ完全に解けたわけではないようでこの省エネの姿をしていないと魔力が少しきつい。でもマイルとまたこうやって話せるようになって嬉しいよ。」


「ミルク俺も嬉しいよ。」


「まぁ積もる話しはあるだろうけど小屋に入ってまずは食事をしながら話しをしよう。」


「そうだな。ミルクには聞きたいことが沢山あるしあれからのこともどうなったのか知りたいし。」

そう話していると、俺のお腹から

「グーーーー。」

と盛大な音がなる。


「もうマイルさんったら。」

3人で笑いながら小屋へ入る。

よく考えればここ数日まともな食事をとっていなかった。まずは食事の準備をしてそれからにしよう。



小屋の中は簡易ながらきちんと台所が設置されており、リウスさんに俺が作るというと、

「ここに来て3日も寝たままだったんですから、今日はゆっくりしててください。何かお腹に優しい食事を作りますから。」


そう言って座っているようにうながされてしまった。

そこでミルクに今までのことを聞いてみることにする。

あれからあの国がどうなったのか。

それと、もしわかればリウスさんの妹のことなど。


「まず、どこから話すべきか。」

ミルクはそう言ってから話し出した。

あれから王都スクルブルはゴブリンの行進が発生し推定10万のゴブリンたちに滅ぼされたということだった。


早く逃げた人は生き残りがいたようだがもう国としての機能はなくなってしまったということだった。

その後ゴブリンたちはさらに人数を増やしたが、増やし過ぎた結果食料がなくなり隣の国の境でほとんどが殺されたということだった。


「あの規模になってしまったらば、もしマイルたちが報告をしていたところで結果は変わらなかっただろう。だから気にするな。」

ミルクは俺にそう言ってくれた。


次に妹のリリアさんのことだった。

リリアさんは少なくともあの時に王都スクルブルにはいないことがわかった。

ミルクが地下牢からすべてを探してまわったそうだ。


ただ、殺されてしまった可能性もあるという。

そのことはリウスにもすでに話をしていた。


だが、俺達がでた街で聞いたエルフ狩りに売られた可能性もあるので、今後はそれを探していくようになるということだった。


ただ、国が滅んでしまい多くの人がいなくなってしまった為情報の集めようがなくなってしまったので、簡単に見つけるのは難しいかも知れないという。


それからミルクのことについて聞いてみたが、

「まだ、マイルの記憶は戻っていないのか。マイルの記憶が戻れば自然と我のことも思い出し力も戻ってくるだろう。」


ということだった。親父の記憶があるが特別記憶を失っているようなことはないと思うが。

でも何かあったのだろう。


「マイルが望むならばまずは各地に封印した力を解放していくしかない。その途中で記憶も戻ってくる。まぁゆっくり探していけばいい。」


ということであまり詳しいことは教えてはくれなかった。


俺の身体とリウスさんの怪我はミルクの力が解放されたことにより完全自己回復の魔法が使えるようになり、スライムの状態で怪我人の全身を覆い自己回復で修復してくれたということだった。

ただ、他人を回復させるのはかなりしんどいらしく時間がかなりかかるということだった。

他の回復魔法のようにすぐに回復というわけにはいかないようだ。


俺の怪我の方は魔人の血が流れているから、なんとかなったが普通の人だったらば死んでいただろうとと言われてしまった。


改めてミルクにお礼を言う。

ここの小屋について聞いてみるとここの小屋は昔ミルクたちが仲間と建てた小屋だそうだ。

もう何百年も前ということだった。


普段はエルフの里と同じ隠蔽魔法がかかっていて普通の人はここまでたどり着くことはできないようになっていて、ミルク自身ここに来たのは数百年ぶりだったという。


ここの温泉は入ることで魔力の回復と疲労回復、そして傷の癒し効果があるんだぞ。と自慢げに教えてくれた。


今までミルクと話せなかったのがミルクがスライムの形で声を発しているのがなぜかすごく嬉しくてニヤニヤしてしまった。


封印について聞いてみると、それも記憶を取り戻せばわかると言われてしまった。

正直、なんの記憶かはわからない。

だけど、このまま謎にしておくのは気持ちが悪い。


リリアさんを探しにいくついでに自分の記憶を探す旅にでてもいい。

まずはリウスさんが作ってくれたご飯をお腹いっぱい食べよう。

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