表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン探偵  作者: 桜岡かなた
第一話 はじまりの事件
PR
1/12

第一話 はじまりの事件(1/6)

昼休みを告げるチャイムが鳴り、教師が出ていくと同時に教室内が喧騒に包まれる。

「なあ、(さとる)、今日も行くのか?」

前に座っている関が弁当を持ちながら振り向き、話しかけてくる。

「まあな。普通のバイトなんかよりも稼げるし、それに面白いからな。」

俺は鞄から弁当を取り出しながら答えると、関はいつものように俺の机に弁当を広げ、笑いながら問いかけてくる。

「そんなに稼いでどうするんだよ」

「金はいくらあっても困らないからな。」

「まあ確かにな。稼ぐってんだったら、血を撒いてモンスターをおびき寄せれば、短時間で稼げんじゃね?SNSの動画で見たぜ?」

そういうと、関はスマホでその動画を見せてきた。

「あー...その動画な、俺も見たが多分デマだぞ?」

「デマなのか?」

スマホを見せた態勢で固まっている関をよそに、俺は食べながら短く答える。

「前に試した。」

「試したのかよ」

「ああ。ただ、一時間たっても何も来なかった」

「まあ、少なくとも3階層ではの話だがな。もっと深いところは試してないからわからない」

「まあ、そう簡単には稼げないか。」

関は大げさに肩を落とすしぐさをすると、続けざまに

「じゃあさ、ダンジョンでチーズ作るとかどうよ?湿度や気温ってダンジョン内は一定だろ?それに、『ダンジョンチーズ』なんて名前つけたら、ブランド化もできてめっちゃ儲かりそうじゃん!」

「いやいや、ダンジョンに食い物置いておいたら、翌日にはなくなってるぞ?それに、その前に、お前、チーズ作れるのか?」

「...それもそうだな。はぁ、どこかに楽して稼げるようなもの落ちてないかねぇ」

肩を落としたまま、関は窓の外へ視線を向けた。

「悠斗も稼ぎたいんだったら、今日、一緒にダンジョン行かないか?」

「いや、今日はパスかな。今日はゲームの発売日だからな。また今度誘ってくれ」

なるほど。さっきから楽して稼ぐ方法ばかり考えていたのはそのためか。

「了解。ところで、どんなゲーム買うんだ?」

「よくぞ聞いてくれた!あのビッグタイトル『ドラゴンファンタジー』の最新作だ!」

さっきまでの落胆はどこへやらのハイテンションだ。

「それって、あれだろ?ダンジョン攻略して世界救うやつ。リアルにダンジョンあるのにゲームでやるのか?」

俺には本当に違いが分からない。

「それはそれ、これはこれだよ。神坂(みさか)クン」

むかつくどや顔で、まくしたてるように講釈を始める関の言葉を聞き流しながら、箸を進める。

「俺には違いが判らんね。むしろ、金が稼げるダンジョンのほうがお得じゃないか。」

関の講釈が一区切りしたところで、再び質問を投げかけた。

「わかってないね。神坂クンは。人生の9割は損しているよ。例えるなら…」

再び講釈を始めた関をよそに、後ろの時計に目をやる。

昼休みも残り僅かになっていた。

「講釈をしてくれるのはありがたいが、飯食う時間なくなるぞ?」

箸で時計を指し、関に時計を見るように促す。

「うぉ!まじか!」

九割近く残っている弁当を見て関の顔色が変わった。

「明日にはクリアしてるんだろ?そん時に、感想聞かせてくれ」

「おうよ!」

返事だけは妙に早い。

「明日にはクリアしてるってのは否定しないんだな。」

「もちろん!徹夜でやるからな!」

ゲームのこととなると、とことん全力なやつだ。

ただ、

「その気力を少しでも勉強に振り分ければ、テスト前に泣くはめにならなくて済むのにな」

「ほっとけ」

そういうと、関は急いで弁当を口に掻きこんだ。俺は、残りのおかずをたいらげ、弁当をしまい始めた。

昼休みは、関が弁当を急いで食べてむせたこと以外、いつも通りに過ぎていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ