3 第一夫人
第一夫人にマリエールの事を尋ねた。第一夫人が領民がマリエールを領主にしたいと望むならそうすべきですと述べた。
3 第一夫人
領主は第一夫人とその家族とは週にニ回夕食を共にしている。その席上、領主は第一夫人に、
「今領民がマリエールを領主にせよという声が高まっている。そちはどう思う。」
第一夫人は、居住まいを正して、
「それが領民の願いならそうすべきです。あの子にはその資質があります。」
そうだ。第一夫人はそういう女性だ。何時も冷静に客観的に物事を見ている。
「まぁ、マリエールも12歳だ。成人までに日がある。熱も冷めるやもしれない。承継問題に遅れが出るが承知しておいて欲しい。」
普通承継の儀、王国なら王太子就任は次期領主が成人して程なく行なわれるのだが、成人している長男の承継の儀は執り行われていない。
こうしてマリエールを次期領主にする事に反対する者は誰もいなくなった。領主はそれとなく次期領主はマリエールに決まったが成人するまでに日があるので正式には公表しない事としたと伝えた。それで全て済んだと領主は思った。
マリエールは日々学習と魔法の鍛錬に明け暮れていた。13歳になったら魔法学院に行くつもりでいる。火、水、土、風の魔法は問題ない。フライとアイテムボックスの魔法があり復興支援に役立った。後は入学試験だけだ。周りに魔法学院の卒業生がいなくて直接指導してくれる人がいないのは不安だが参考書や問題集の類はある。抜かりはないはずだ。相変わらずマリエールを領主にしろという声は多いらしい。鬱陶しい事だ。そのためにも私は王都に行き王都で魔法を活かした仕事に就くつもりだ。領主になど就くつもりはない。
領主がマリエールから魔法学院に就学したい旨を聞いたのはマリエールを領主にする方向で話しが進んでいる頃だ。できれば本人の望まぬ領主就任など認めたくなかった領主には反対する理由がなかった。魔法学院それは魔法を志す者にとっての最高峰であり魔法のいただきに至る登竜門である。マリエールが領に戻ってきて領主になる事は可能だろうが本人がそれを望まないだろう。
領地復興は順調に進み始めた。一からの復興だ。計画的に整備されている。仮設住宅から本格的な住宅への移転も始まっている。マリエールはそんな人々への声かけもしたかったがこれ以上混乱を招く行為は控えた。
マリエールの領主就任の声はと止まる事なく、現領主と今直ぐ交代せよとの声に変わってきた。流石にこの声に領主も応える事はできない。領民と領軍の衝突事件まで発展した。マリエールはそのようなことは望まないと声を上げ領民に訴えた。功を奏したかこういった事件はなりを潜めたが声は潜まなかった。領主は頭を抱えた。領主交代も考えた。しかし12歳の少女を領主に迎えるのは現実的に不可能だろう。名前だけの領主にするか。領民の声と領主の思いに激しい亀裂が走った。このままではいけない。領主は国王に相談する事にした。
国王は領の様子、マリエールという少女に深く興味を抱いた。領民が領主にしたいと思う12歳の少女、王宮に迎えたい。しかしそれで領の問題は解決するのだろうか。
マリエールを領主に望む領民の声はエスカレートした。領民と領軍の衝突事件まで発展した。マリエールは落ち着くように領民に訴えた。




